次なる為替介入に警戒 米ISM製造業景況指数から計る経済状況
-前営業日サマリー-
ドル円は144.42円でオープン。東京市場では月末(ゴトー日)のため、本邦実需勢からの買いに支えられると一時144.77円まで上昇、しかしその後は上値の重さを意識した売りに押される展開となりました。ロンドン市場では財務省の為替介入実績が公開され、その金額は市場予想を下回りましたが相場への影響は限定的となりました。NY市場では、PCEからインフレ圧力の根強さが改めて示されると利上げ観測が強まり、ドル円は上昇。その後も上昇基調が続くと前日高値144.80円を付け、取引を終えました。
-次なる為替介入に警戒 米ISM製造業景況指数から計る経済状況-
本日のイベントは日銀短観、スイス消費者物価指数(CPI)、トルコCPI、米ISM製造業景況指数が予定されています。
先週末に発表された財務省の為替介入実績は、2兆8382億円と過去最大規模の円買い・ドル売りだったことが明らかになりましたが、市場では2兆9000億円から3兆6000億円程度と予想されていたため、為替への影響は限定的となりました。日本の外貨準備は約185兆円ありますが、すぐに使えるドルは約20兆円と言われており、今回の介入規模が続くと仮定するとあと6~7回程度が介入の上限であると予想されます。また昨日のPCEデフレーターが市場予想を上回ったことでFOMCの利上げペースに変化はないと観測されており、それによってドル高地合いは継続すると思われます。過去の推移を見ても介入効果は瞬間的なものであったことが多いため、再び介入が実施されたとしてもドル円の下落は一時的なものである可能性が高いです。
本日のISM製造業景況指数では、世界経済の動向を知る上でも重要です。米国の供給管理協会(Institute for Supply Management)が国内の製造業約300社の購買・供給管理責任者を対象にアンケートを実施したもので、今回の市場予想は前回値を下回る52.2です。米国の利上げ姿勢に加えて、経済見通しが良好となればドル高要因となりますが、日銀と財務省の為替介入がちらつくため145円付近では上値が重たくなるかもしれません。そのため本日も為替介入の動向を注視しながら米国経済指標の結果を鑑みて取引に挑みたいです。