FXレポート

ジャクソンホール通過、今週もドル高地合い継続か?

-前営業日サマリー-
 先週末のドル円は136.48円でオープン。東京市場では、ジャクソンホール会議でのパウエル米FRB議長の講演を控えて売買は交錯気味、方向感は限定的ながら137円台に乗せ底堅く推移しました。欧州市場では、引き続き神経質な展開の中でドル安・円安の流れが優勢に、また米個人消費支出(PCE/PCEコアデフレーター)が総じて予想を下回る結果となるとドル売りが加速し、ドル円は136円台中盤まで下落しました。対して、ポジション調整や米指標結果によるドル安に加え、一部通信社の報道を受けたECB大幅利上げ観測からユーロが急上昇、ユーロドルはNY市場入りにかけて上昇し一時パリティ水準を回復しました。そしてNY市場では、注目のパウエルFRB議長の講演を迎えると、金利を高い水準でしばらく維持する可能性などに言及したことで、直後ドル円は70銭程度急上昇しました。しかし、講演終了後には材料一巡感から売りが強まり一時136.15円まで日通し安値を更新、その後すぐさま137円台まで往って来いの展開と上下に荒れた値動きとなりました。引けにかけては株安からクロス円は円高推移ながら、高水準を維持する米長期金利の動きも支えに底堅く137.53円まで日通し高値更新、137.52円で取引を終えました。

-ジャクソンホール通過、今週もドル高地合い継続か?-
 本日のイベントは、豪小売売上高、スウェーデン第2四半期GDPが予定されており、イギリスがサマー・バンクホリデーで休場となります。
 先週末のジャクソンホール会議におけるパウエルFRB議長の講演では、特段目新しい材料はないながらも、「インフレ退治のために利上げ継続」、「当面は金利を高水準で維持する可能性」などの方針が改めて示唆されました。ドル円は直後乱高下で方向感を欠いた一方で、米株相場は急落の反応、FRB当局の方針転換は近いのでは、といった見方を牽制する形となりました。この点、市場の解釈は「タカ派」だった、と言えそうですが、週明けから株安の流れが継続となれば、リスクオフの円高圧力からドル円は動きにくい展開も想定されます。ただ、英欧の景気動向への警戒感が日ごとに強まっている渦中、比較的良好な米雇用・経済を土台に米金融引き締めスタンス維持といった内容を踏まえると、当面のドル選好地合い・ドル高圧力は継続する可能性は高いと考えられます。
 また、次回9月FOMCの利上げに関しては、引き続き「データ次第」とされ、実際に短期金融市場の利上げ確率を示したFed Watch・CMEをみると、先週初めには「0.5%利上げおよそ6割/0.75%利上げおよそ4割」であったのが、執筆時点・足元では「0.5%利上げおよそ4割/0.75%利上げおよそ6割」と逆転しています。したがって、利上げ見通しはまだまだ流動的な印象、来月FOMCまでは米指標への市場の注目・感度は変わらず高いといえそうです。今週では、1日(木)のISM製造業景況指数や週末2日の米雇用統計といった注目度高めの指標について、1つ1つの内容を丁寧に確認し、米金利の動向なども併せて読み解いていきたいです。
 このほか、31日(水)には、リニューアル後初のADP雇用統計が発表予定です。ここ最近では、米雇用統計結果との乖離が目立っており、市場での注目度も低下気味でしたので、AIを利用した新たなデータ分析によるADP雇用レポートの発表に期待・注目したいです。

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