円安トレンドは継続か?米CPI通過で一段のドル高圧力拡大の可能性も
-先週サマリー-
先週のドル円は127.12円でスタート。米経済への過度なリセッション懸念の後退から米国をはじめとした金融引き締め観測への思惑が再燃、全般円安ムードが広がる中で、1日発表の米ISM製造業景況指数が予想上振れとなったことでドル買いが急加速、ドル円は5月12日ぶりに130円を突破しました。その後も、米株相場の上昇などを背景としたリスクセンチメントの改善から円売り優勢の展開、ドル円も底堅さを保って推移して迎えた注目の3日米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+39.0万人と予想を上回るポジティブな結果が示されました。これにより米10年債利回りの上昇も支えに一段ドル買いが加速、ドル円は130.97円まで上値を伸ばすも、年初来高値131.35円には届かず、130.81円で取引を終えました。
-円安トレンドは継続か?米CPI通過で一段のドル高圧力拡大の可能性も-
本日のイベントは、中財新サービス業PMIが予定されており、NZ・独・仏・スイス・ノルウェー・スウェーデンが休場となります。
足元のマーケットでは、各国金融政策や金融引き締め観測が再びメインテーマとなる中で、日米金利差拡大を意識した動きもあって円安地合いが続いています。各国金融政策に着目すると、欧ラガルド総裁のタカ派発言から7月ECB理事会での利上げが既定路線、急進的な利上げ観測への思惑がユーロ買いを後押ししています。このほか、長らくマイナス金利を続けるスイスについても、同国中銀の目標を上回るインフレ率を受けて、いよいよ利上げに舵を切る可能性があるとの観測が浮上しています。この点、主要国で金融緩和政策維持を貫く日本が遂に単独で取り残される格好となれば、金利差拡大への思惑から相対的に円が売られる構図は必然ともいえるだけに、当面の円安トレンドを想定しつつ、財務金融委員会で予定されている7日黒田日銀総裁の発言内容にも注目したいです。
一方で、米国は翌週14・15日開催の6月FOMCに向けてブラックアウト期間に突入、今週末10日には米CPIが予定されています。足元のFRBメンバー発言を見ると、インフレ抑制を最重要課題と位置付けたタカ派スタンス傾斜が目立つ中で、米CPI結果からインフレのピークアウトや9月以降の利上げペースを見極めたい思惑は根強いと見ています。仮に市場予想を上回る結果の場合、9月FOMCでの50bpの利上げ観測が高まり、それらを織り込む動きがドル高圧力を一段強める展開も想定して、今週は取引に臨みたいです。