世界的な株安継続ならばドル円の上値は限定的か
-前営業日サマリー-
東京市場のドル円は127.79円でスタート。8時半に発表された日本4月コアCPIは前年比+2.1%と、日銀の目標2.0%を上回りましたが、市場予想通りの結果だったため反応は限定的でした。その後のドル円は一時128.21円まで上値を伸ばしましたが、午後には米10年債利回りが2.84%台まで低下し127.53円まで下げました。ロンドン市場では、投資家のリスク志向改善を意識した買いが入り、ドル円は一時128.30円まで上昇しました。NY市場では、2時過ぎに127.59円まで下押すも、そこからダウ平均が下げ幅を縮めたことでドル円は反発し、127.88円で取引を終えました。
-世界的な株安継続ならばドル円の上値は限定的か-
本日のイベントは、独5月IFO企業景況感指数、英ベイリーBOE総裁発言が予定されており、カナダが休場となります。
先週のマーケットは、中国4月小売売上総額(16日発表)の大幅な前年割れによる経済下振れ圧力の高まりや、米国の低調な小売決算を発端としたS&P500の年初来安値更新など、一貫して株安・債券高のリスク回避が意識される環境となりました。為替市場では、17日にドル円が129.78円の高値をつけるも、リスクオフムードからUSDは対主要通貨で全面安となりました。先週後半の19日に発表された米国5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数が予想を大きく下回ったことも重なり、今週も米景気の先行き懸念が徐々に強まる可能性があります。
先週は、パウエルFRB議長をはじめとするFRB高官らからインフレ抑制を最優先とした金融引き締め姿勢が繰り返し示されましたが、景気後退がささやかれる中で、今週の25日に発表されるFOMC議事要旨は今後を占う注目ポイントとなりそうです。また日米の金融政策の乖離に伴う日米10年債利回り格差の拡大観測で、中期的なドル高・円安トレンドは継続すると思われますが、短期的には、世界的な株安によるリスクオフムードが続けばドル円の上値は重くなり、直近安値更新に注意したいところです。