米インフレ高水準、ドル円は米長期金利の動向に振られる展開か
-前日サマリー-
東京市場のドル円は130.41円でスタート。この日は米CPIの発表を控えてか市場では様子見ムードが漂い、ドル円は130.40円付近で推移と方向感に欠ける展開。しかし、ロンドン市場入りが近づくと、米10年債利回りが2.92%台まで低下した影響でドル売りが強まり、ドル円は一時129.58円とこの日の安値を更新しました。ところが、米CPIがコア指数ともに予想を上回る結果であると伝わるとドル円は急騰。一時130.81円まで上値を広げました。しかしその後のドル円は、買いが一巡したことで失速。ニューヨーク市場では130.20円台の水準で推移しました。やや円高基調で130円割れを見せる場面もありましたが、米10年債利回りの低下が落ち着くとドル円は持ち直し、最終的に130.00円で取引を終えました。
-米インフレ高水準、ドル円は米長期金利の動向に振られる展開か-
本日のイベントは、日国際収支/BOJ主な意見公表、英第1四半期GDP(速報値)/貿易収支、米生産者物価指数/新規失業保険申請件数/30年債入札が予定されています。
昨日発表された米CPIはコア指数ともに市場予想を上回る結果でした。このことから市場では、インフレの鈍化が見られず、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めが必要であるとの思惑が広がり、ドル円は買いで反応しました。現状は、米CPIの結果によるドル買いの動きが一段落し、ドル円は130円付近で推移する展開となっていますが、直近軟調に推移している米株式市場やビットコインなど、他の資産と比較するとドル買いの地合いは強いと言えそうです。今週残り2日間は、特段ヘッドラインがない限りドル円に関しては米長期金利や米株式市場の動向を眺めながらの展開となりそうです。
また、欧州中央銀行(ECB)の利上げ動向にも注目です。昨日、ラガルドECB総裁は「資産購入プログラムは第3四半期初めに終わるはず」、「最初の利上げは、資産購入終了の数週間後にも行う可能性がある」と発言し、7月利上げの可能性を示唆しました。7月利上げを支持するECBメンバーは増えつつあり、市場においては、7月に加えて9月利上げ、さらには年内にもう1回の利上げを織り込んでいる模様です。利上げが実施されればおよそ10年ぶりとなり、ユーロは買いで反応すると考えられますが、今月4日に行われたFOMCの時と同様に、市場が抱く利上げ期待に対してECB当局者からけん制するような発言が伝われば、売りの動きが強まりそうです。目先は、ECBメンバーの発言に注視しながら、ユーロ買いのタイミングを探っていきたいです。