ドル円はパワー不足か
-前日サマリー-
東京市場のドル円は前日のNY市場の流れを引き継ぎ買いが優勢で推移すると114.33円から一時114.69円まで上昇しました。その後、買いが一巡すると次第に売りに押され114.42円まで軟化しました。欧州市場では目立った取引材料がないなか、ドル円は調整的な売りから下げ幅を広げ114.14円まで下落。米長期金利の低下も重しになったとの見方もみられました。ただNY市場に入ると、米長期金利が反発した流れに沿ってドル円にも買いが入ると114.30円まで持ち直して取引を終えました。なお、中国恒大が不動産サービス部門の株式売却(26億ドル)に失敗し、香港証券取引所での株式取引の再開申請をおこなったなどの一部報道が伝わったほか、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で賃金の伸びと消費の拡大が報告されたものの、為替への影響は限定的でした。
-ドル円はパワー不足か-
本日のイベントは、トルコTCMB政策金利、米新規失業保険申請件数、米フィラデルフィア連銀景況指数、米景気先行指数、米中古住宅販売件数が予定されています。ドル円は東京時間に高値までいきましたが114円台後半では利益確定の売りに押され心理的な節目となる115円をのせるにはパワー不足となっています。米国の11月開始見込みとなっているテーパリングへの織込みもひと段落しており、上値を試すにはポジティブな材料が欲しい局面です。一方でネガティブ要因として、中国恒大の債務問題が影を落としています。昨日、期待されていた傘下の不動産管理会社の株式を売却する話し合いが成立しなかったため、一旦、株式取引の再開を香港証券取引所に申請しました。中国恒大は資金調達およびその他の契約に基づく財務上の義務を果たすことができるという保証はないとの悲観的な見解を述べるなど、デフォルト回避の期待がはく落する発言をしておりショックに備えるべきか見極めたいです。また本日は米経済指標に加えトルコの政策金利が予定されています。トルコリラはエルドアン大統領が利下げに反対した中銀の政策委員3名を解任した影響からトルコリラ安が強まりリラ円は今週に入って一時12.16円まで下落しました。今回の発表で予想を上回る利下げを実施した場合はさらなるリラ安を呼び込む恐れもあり注意したいです。