ECB会合、2つのポイント ユーロドルとユーロ円に注目
-前日サマリー-
東京市場では、本邦祝日前日の仲値決定に向けてドル円は109.98円まで上昇、豪小売売上高は予想以上に悪化したもののドル円への影響は限定的、その後は109.90円を挟んだ小幅な値動きとなりました。欧州市場では、主要国株価指数の上昇と米長期金利上昇を材料としたリスクオンムードが広がり、ドル円は下値を切り上げながら110.30円まで円安になりました。ニューヨーク市場では、株式市場の上昇と米長期金利の上昇が一服し新たな材料に乏しかったことから、ドル円は110.20円から110.34円のレンジ相場が続き、110.26円で取引を終えました。
-ECB会合、2つのポイント ユーロドルとユーロ円に注目-
本日は、日本祝日(海の日)、ECB政策会合、ラガルドECB総裁発言、米新規失業保険申請件数、米中古住宅販売件数、米景気先行指数、欧消費者信頼感指数、南アSARB政策金利、米IT大手決算発表が予定されています。
特に注目すべきは、ECB政策会合となります。ECBは今月8日に開催した特別会合で18年ぶりに戦略変更を行いました。中でも物価目標を従来の「2%を下回るがそれに近い」から「2%、一時的に目標を上回る期間を容認する可能性がある」への変更に市場では関心が集まり、金融緩和継続スタンス(ハト派)だと受け止められました。今回の会合では、2つの注目ポイントがあります。1点目はフォワードガイダンス(金融政策変更の条件・判断基準などの前もったアナウンス)の変更です。先の特別会合では明らかとならず、一部報道では先週末の段階でECB政策メンバー間の意見が対立していると伝わっています。2点目は、新たな金融刺激策の提示が示唆されている点です。ラガルドECB総裁は今月11日に「PEPP(パンデミック緊急債券購入プログラム)終了後に経済を支える新たな措置が来年導入される可能性がある」「金融刺激策の新たな提示に(投資家は)備えるように」と話しました。PEPPが最短で来年3月に終了した場合、その後ECBがどのような金融政策を長期的に行っていくのか占う点でも、今回の会合は転換点になりうると考えています。
ECB政策会合の市場予想を見ると、ハト派な内容の予想が多いです。予想通り金融緩和継続のハト派な内容の場合、「長期的に見てもECBはハト派」ととらえられ、為替市場はユーロ安となることが考えられます。また、テーパリングに向かっている米国と比較して欧州のハト派路線が顕著に意識されることが想定されるため、ユーロドルの値動きが最も動意づくことが想定されます。一方で、市場予想に反してECBの発表に金融緩和の出口戦略になりうるヒントが含まれていた場合、依然として金融緩和継続路線の日本との金融政策の違いが意識され、ユーロ円が最も動意づく可能性もあります。今夜のECBの発表内容を丁寧に確認して、取引に挑みたいです。