リスクオフ相場となった原因を考える
-前日サマリー-
週明けの東京市場では、ドル円は先週末終値とほぼ同値の110.08円でスタート、しかし先週金曜の米株式市場の下落と日本株式市場の下落を受けたリスク回避的な動きから、ドル円は109.85円まで円高になりました。欧州市場では、米長期金利が1.286%から1.176%にかけて勢いよく低下したことによってマーケットのリスクオフムードは一段と拡大、ドル円は約2か月ぶり安値の109.07円まで下落しました。ニューヨーク市場では、NYダウが一時900ドル安を超え、リスク回避的なドル買いの動きからドル円は109.57円まで反発、その後は109.40円台の攻防が続き、ドル円は109.45円で取引を終えました。
-リスクオフ相場となった原因を考える-
本日は、日本消費者物価指数、豪RBA議事録公表、米住宅着工件数が予定されています。
リスクオフ相場のきっかけになったのは、主要国の新型コロナ感染状況が足元で悪化していることが考えられています。10万人当たり新規感染者数で見ると、日本は23人(5月末時点:27人)、米国は97人(5月末時点:52人)、英国は665人(5月末時点:47人)と、先進国の中でも米国は増加し始めた時期、英国の感染拡大は特に深刻な状況です。米国では、今後の行動制限措置が取られるのではと考えられ始めている状況で、来週FOMCを控えているスケジュール下で金融緩和終了が先送りになるのではないかとの考えも見られます。英国は、今月19日にイングランド地方のロックダウンが解除されたばかりにもかかわらず先進国の中で群を抜いて悪い感染拡大状況をみて、英国経済の今後の落ち込みを危惧する意見が出てきています。
このように先進国を中心に新型コロナの再拡大が懸念される環境下で、週末にはOPECプラスは8月からの原油の減産縮小を合意したと伝わりました。新型コロナ拡大による経済の落ち込みが危惧される中での原油増産による将来の需給の緩みが意識され、週明けのWTI原油価格は71.1ドルから66.5ドルへ大幅安、リスクオフに拍車をかけました。為替市場でも原油価格と相関性の高い豪ドル、カナダドル、ロシアルーブルなどが売りで反応しました。新型コロナの拡大をきっかけとしたリスクオフ相場と考えると、ここからしばらくは各国政府の対応にマーケットは反応することも考えられます。各国中央銀行の政策メンバーの発言に反応しやすい相場が続いてきましたが、各国政府の新型コロナ対策のヘッドラインにもここからしばらくは注目して取引に挑みたいです。