バイデン大統領のインフラ計画と長期金利の行方は
-前日サマリー-
東京市場のドル円は米長期金利が上昇したことを受けて、ドル高が進み109.80円から110.18円まで上昇しました。欧州勢参入後は米長期金利の上昇が一服したものの、堅調なドルの地合いドル円は110.42円まで上値を拡げました。NY市場では目立った取引材料がなく、ドル円は方向感なく110.34円で取引を終えました。
-米長期金利の動向を注視-
本日は中製造業PMI、仏消費者物価指数(速報値)、欧消費者物価指数(速報値)、米ADP全国雇用者数、米中古住宅販売保留と複数の経済指標が予定されています。また、バイデン大統領がインフラ再構築計画を発表する予定になっています。今回の発表内容は経済再建のために3兆ドルの財政出動と法人税率を28%まで引き上げのセットと報じられています。昨日の米主要三指数は揃って下落しましたが、過去最高値を更新し3月期末ということもあり利益確定の売りが出されたとみられ、バイデン政権の影響は限定的とみます。加えて、今回の手法はコロナ禍で3兆ドルの財政出動の原資を黒字企業に負担してもらうという構図になります。英国では3月初めに同様の手法が発表され約半世紀振りの法人税引き上げと話題になりましたが、英国の株式指数であるFTSE100指数は発表からも堅調に推移しており景気回復期待の高さがうかがえます。今夜の発表でも大きなサプライズがなければ、短期的な値動きに限られるのではないかとみてます。
昨日の米長期金利は1.77%台と約1年2か月ぶりの水準まで上昇しました。その後、警戒感からやや低下したものの依然として1.7%台を維持しており高値をうかがうか注視しています。本日の米経済指標では景気の先行きをみる米ADP全国雇用者数が発表されます。現在、米国の失業率は6.2%ですが、パウエルFRB議長やイエレン財務長官から実質の失業率は10%と指摘されており大きく改善が進んだ場合、景気回復期待の高まりから長期金利が再び上昇し一段とドル高が進む可能性が考えられます。