ブレグジット、数十度目の正直なるか
【本日のトレードポイント】
-米経済は先行き明るくない-
昨日発表されたISM製造業景況指数はコンセンサスが57.9に対して57.5とほぼ予想通りでした。10月に59.3とピークを迎え今回も景気判断の基準となる50を大きく上回り底堅く推移しています。しかし、ISM以外の指標では景気のスローダウンも示唆されています。秋から冬にかけては新型コロナウイルスの感染第3波に見舞われています。再度のロックダウンや物流の流動性低下などモメンタムを悪化させるには十分すぎる材料が考えられます。加えてねじれ議会下における景気刺激策も可決への道のりは依然として遠いままです。2021年になればワクチンの供給開始から景気やそれに対するセンチメントは急速に回復すると予想されます。しかし年内当面はダウンサイドリスクへの警戒は怠らないようにしたいです。
目下、明後日に発表が予定されている雇用統計では測定週の関係から雇用の改善が見込まれますが、前述の理由により12月から(少なくとも)1月にかけての雇用統計は厳しいものとなるかもしれません。
ダウ平均が30,000ドルにタッチを繰り返すなど、市場はリスクオンに傾いていますが実体経済の停滞は確実にマーケットに冷や水を浴びせにくるでしょう。
-ブレグジットは数十度目の正直なるか-
ブレグジット関連では昨日も交渉において進展があるとの報道でポンドやユーロといった欧州通貨は大きく反応しました。報道によると今週中に英国とEUの貿易協議が合意に至る可能性があるというものでした。ただ内容としては一昨日にアイルランド首相が発言した内容と同一のもので別ソースによりマーケットも合意期待を高めたといったところでしょうか。ただしマーケットからは必要最低限の合意内容に留まる可能性が高いといった声もあがっており、そうなればポンドの上値余地は限定されるものと思われます。そもそも合意に至らず交渉継続というシナリオの蓋然性も十分高いことから安易なポジションメイクは控えたいところです。
ブレグジット関連のヘッドラインが出ずともユーロをはじめとする欧州通貨はテクニカル的にも重要な局面に面しています。ユーロドルは長らく意識されていた1.2000ドルを超えています。ECB当局者が重要なラインとして示唆していたラインであるため非常に大きな心理的レジスタンスとして機能していました。ドル安が上値を押し上げた形となりましたが、更にドル安が進行するようであればロスカットを巻き込みながら上値を伸ばす事が考えられます。