ECBフォーラムでの主要中銀首脳らの見解
-ドル円・ポンド円は軟調-
昨日のドル円は上値の重い展開となりました。東京市場では本邦輸出企業からの売りが観測されたとの報道もあり、一時105.20円付近まで下押ししました。その後105.30円を挟んだレンジ推移となりましたが、欧州市場終盤に米10月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る結果に終わると、ドル売りが優勢となりました。ニューヨーク市場では米10年債利回りが0.8930%前後まで低下し、105.10円~105.23円でのもみ合いになりましたが、終盤にトランプ大統領が中国人民軍と関係がある一部の中国企業への投資を禁止するとの報道が伝わると再びドル売りが加速し、105.07円の日通し安値を付けました。
ポンド円は一日を通じて下値を切り下げる動きとなりました。昨日発表された英第3四半期GDPが予想を下回ったほか、英首相報道官が「英・欧州連合(EU)合意のために与えられた時間はわずかだが、依然として溝は大きい」など発言したことで改めてFTA交渉の難航が意識され、ニューヨーク市場終盤にかけてポンド円は137.75円まで下落しました。
-世界経済は依然として厳しいのか-
ECBフォーラム最終日には米パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁、べイリー英中銀総裁によるパネルディスカッションが行われました。全会一致で新型コロナウイルスワクチンの臨床試験が今後期待できる良好な結果だったと歓迎されましたが、一方で「自信を持って短期的な影響を評価するには早すぎる」、「ワクチンの生産と配布についてはまだ不確実性があるため、それほど熱狂したくない」などと消極的な見解も示しました。特にパウエルFRB議長は新規感染者の増加は経済回復のリスクだという意見を述べ、FRBと議会が追加経済対策を考える必要があるとの姿勢を見せました。また経済が戻ったとしてもコロナ前の状況には戻らないとし、オートメーション化やテレワークなどが増え、一部の労働者には適用性が問われると経済復帰の難点も示唆しました。
今週は英国で新規コロナ感染者数が過去最多を更新、米ニューヨーク州での一部時間の営業停止、日本国内でも1日当たりの感染者数の過去最多更新が近づいているなどコロナウイルス絡みのニュースが目立ちます。マーケットがリスクオフのトレンドに突入する要素が多くなってきていますので、これまで以上に関連ヘッドラインに注意しながらトレードに臨みたいです。