投資家心理が冷えリスク回避がマーケットを覆う
【本日のトレードポイント】
-株安がマーケットの重石に-
東京市場は日経平均の株安を受けて、円買いが優勢となりドル円は104.68円、ユーロ円は123.78円まで小幅に下落しました。その後、欧米株式の下落の影響からリスク回避的な円買いが強まりドル円は一時104.39円まで下落したほか、ユーロ円も123.34円まで下値を広げて取引を終えました。
-ドル円は下目線-
本日のイベントは豪第3四半期消費者物価指数、BOC政策金利、マックレムBOC総裁の会見とややインパクトに欠ける内容になっています。マーケットでは米欧の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、欧米株式市場の株安が進み投資家のリスク許容度が低下しています。そのため、為替もリスク回避的なドル買い円買いが優勢になっています。昨日、トランプ大統領は追加の新型コロナウイルス経済対策の実現は11月3日の大統領選後になる見通しとの見解を示したこともマーケット心理を冷やしました。また明日にIT大手のGAFA(Google Apple Facebook Amazon)の決算発表を控えており、様子見ムードが強まることが予想され調整的な買いも出にくいとみています。この状況下でドル円を買い進むのはリスクが高く、上昇局面で素直に売っていくシナリオが無難といえそうです。
-トルコリラ安について-
トルコリラ円の下落が止まりません。早朝にトルコリラ円は再び史上最安値となる12.70円を更新しました。アルバイラク財務相が「競争力のある為替レートがトルコ輸出を拡大させる」との発言が「リラ安容認」と受け止められたとの見方がありますが、原因はトルコと欧米との政治的な関係悪化と金融政策にあります。現在、トルコの安全保障は欧米寄りではなくロシア寄りになっています。ロシアから購入したミサイルの発射実験を行うなど欧米を刺激する行動をとっており、地政学リスクの高まりから海外からの観光が敬遠され、貴重な外貨獲得が毀損しています。一方の金融政策では、10月22日の政策決定会合で市場の予想に反して金利を据え置いたことです。トルコのインフレ率(CPI)は今年に入ってほぼ11%前後で高止まりしています。それに対し政策金利が低いため、利上げ予想が大勢を占めていたなか据え置きが失望感を招きリラ安が進みました。短期的にみて、上昇材料が乏しくダウンサイドリスクが高いと言える状況が揃っており、身を守る対応が求められます。