FXレポート

雇用統計、思わぬサプライズにご注意!?

【本日のトレードポイント】
-先行指標は回復速度の鈍化を示唆-
 昨日は米新規失業保険申請件数と米ISM非製造業景気指数の発表が行われました。結果はそれぞれ新規失業保険申請件数のコンセンサスが95.0万件に対して88.1万件、ISM非製造業景気指数はコンセンサスが57に対して56.9となりました。ともに回復の傾向を見せているもののコンセンサスは下回っており、マーケットが織り込む回復速度の鈍化を(負の方向へ)上回っています。
 また、米株式相場もダウ平均が一時マイナス1000ドル超下落するなどドル売りと円買いの動きが強まりました。ただ、下値の106.00円は堅持しており本日の米雇用統計次第の値動きとなりそうです。

-雇用統計、マーケットは悲観的。だがしかし-
 本日は米雇用統計の発表が予定されています。コンセンサスは次の通りです。
・非農業部門雇用者数:+135万人
・失業率:9.8%
・平均時給[前月比/前年比]:±0/+4.4%
コンセンサス通りだとするならば、雇用環境(雇用者数と失業率)は改善し平均時給も前年比での上昇が認められます。しかし、いずれも前月比からの上昇幅の鈍化も予想されています。大幅な鈍化ではないものの前月比の増減数を見ると6月をピークにして徐々に減少しています。
 非農業部門雇用者数のうち+25万人は国勢調査関連の臨時採用枠であり経済の温度計たる実勢値は結果より一定数引いて見る必要がありそうです。
 失業率のコンセンサスは久しぶりの1桁と予想されています。経済活動再開にあたって一時的な解雇者がスムーズに再雇用に繋がっているアメリカ独自の雇用システムがこの点を支えています。
 平均時給は昨年のように経済状況を適切に反映した指標として機能しなくなっています。低賃金業種の雇用喪失および再雇用に大きく振らされており、マーケットは代替指標として雇用コスト指数(ECI)を意識しています。ECIを見ると2015年末レベルまで落ち込んでいるもののコロナ下においては微々たる影響となっています。
 マーケットは雇用統計に対する見方を明らかに悲観的に捉えており、相場もそれを織り込んでいるようにも思えます。その場合、ポジティブサプライズがあった場合にはいつも以上の反応を見せる可能性がある点に注意して取引したいです。併せて、先週からのFRB要人発言にあるように低金利長期化のスタンスが今回の雇用統計で裏付けられる可能性もあり、ドル安方向への伸びには強く警戒したいです。

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