今夜の雇用統計は祭不可避!?
【本日のトレードポイント】
-ドルは身動き出来ず-
昨日は米新規失業保険申請件数が発表され、コンセンサスを下回り3週間ぶりの減少となりました。しかし、マーケットの反応は限定的に留まりました。NY時間中盤にはトランプ米大統領が追加経済対策について触れ、給与減税と住居の立ち退き猶予に関する大統領令に署名するとの計画を表明。これにより難航する与野党協議を待たずに経済対策を打ち出せるとの見方も広がりました。ただ、いずれにせよ明日に雇用統計を控え、経済対策についてもトランプ米大統領と議会の足並みが揃っていない以上、様子見ムードは払しょく出来ませんでした。
-数字のインパクトに騙されないで-
日本時間今夜21:30に米雇用統計が発表されます。今回の雇用統計は新型コロナウイルス第二波の影響を強く受けた米経済が回復の軌道に乗っているのか、はたまた失速に歯止めがかかっていないのかを見極める大事な統計結果となります。雇用統計の先行指標となる様々な指標やデータを見ても、足並みはそろっておらずマーケットのコンセンサスにも大きくばらつきが出ています。非農業部門雇用者数のコンセンサス平均値は+158万人ですが、+300万人との予測から+50万人とする予測までバラツキがあります。一昨日にトランプ米大統領が「雇用統計は強い数字が出る」と公認リークともとれる発言をしている一方で、その翌日のADP全国雇用者数ではコンセンサスを100万人近く下回る結果となりました。コンセンサスを考える上での材料が強弱共にあることが不透明感を招いています。
失業率のコンセンサス平均値は11%と前月比でやや低下する見込みです。こちらの各社予想を見てみると10%前後に集中しており、非農業部門雇用者数に比べればマーケットコンセンサスの足並みは揃っています。
ただ一点、今回の雇用統計で注意したいのは、結果の数字にとらわれないことです。マーケットの一部では先月・先々月の統計の分類ミスが指摘されており、数百万人単位での流動的な失業者(統計上での)が存在しているとされています。そのため、雇用統計(特に失業率)に関するヘッドラインの数字は数字のインパクトやサプライズにとらわれず中身を精査したうえで取引に挑む事が肝要となるでしょう。