ユーロ/円(EURJPY)のチャート、相場の状況と今後の見通し

ユーロ/円のリアルタイム為替レート

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経済指標カレンダー(2024年11月)

EU、ドイツ、フランスの経済指標カレンダーです。今後の予定を抑えておきましょう。

ユーロ/円の基礎知識

EU(欧州連合)の概要

政治的・経済的な協力関係を目指したヨーロッパの国家共同体、それがEU(European Union)で、欧州連合とも呼ばれます。EU加盟国はそれぞれ主権国家でありながら、その一部をEUへ移譲して共通の権限とする、世界的にも他に類を見ない画期的な制度が採られています。欧州統合の歴史は古く、1950年にフランスの外相ロベール・シューマンが提唱した、超国家的な機構の創設に端を発します(「シューマン宣言」)。1952年、欧州域内の6ヵ国によって、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が創設されると、1958年には、欧州経済共同体(EEC)と欧州原子力共同体(EURATOM)が設立されます。これら3つの共同体をまとめた欧州共同体(EC)を基礎として、1993年11月の「欧州連合条約」(「マーストリヒト条約」)発効に伴い、EUが発足しました。その後は基本条約の改定や加盟国の拡大などを経て、1999年に統一通貨ユーロを導入する現在の形へと至り、その後も発展を遂げています。

ユーロ/円(EURJPY)のチャート、相場の状況と今後の見通し

EUの加盟国は全27ヵ国で、うち20ヵ国がユーロを法定通貨とし「ユーロ圏(ユーロゾーン)」と呼ばれる巨大な経済圏を形成しています。欧州最大の経済規模を誇るドイツ、フランスがユーロ圏経済を牽引し、大きな影響力を有しています。そして、EU最大の特徴であり成果として挙げられるものが「単一市場」の成立です。これは国境の概念をなくし、1つの国とした域内での「人・物・サービス・資本」の移動の自由を保障するものです。単一市場において重要な要素といえる「人の自由移動」は、「シェンゲン協定」によって規定されており、現在は一部のEU加盟国を除き、EFTA(欧州自由貿易連合)加盟国のスイスなどを加えた、欧州27ヵ国が参加しています。これにより、地域全体の経済活動の活性化や効率化、競争力の強化に加え、貿易や投資の拡大など多くの便益がもたらされ、EU及びユーロ圏の経済成長の根幹を担っています。
EUの組織運営や政治・立法に関しては、「欧州理事会」や「欧州議会」、「欧州連合司法裁判所」といった、さまざまな機関が組織され対応を行います。また、ユーロ圏の金融政策は、欧州中央銀行(ECB)によって単一の金融政策として運営され、2019年からはラガルドECB総裁をトップに舵取りが行われています。

EU加盟国とシェンゲン協定参加国

EU加盟国とシェンゲン協定参加国

欧州単一通貨・ユーロ

ユーロ(EUR)は、EU(欧州連合)における通貨統合によって、1999年1月に単一通貨として誕生しました。2002年1月からは現金流通が開始され、かつて国際通貨の地位にあったドイツ・マルク(DEM)やフランス・フラン(FRF)といった自国通貨は廃止されました。他の国々の通貨と比較すれば歴史は浅いものの、世界における通貨取引量は米ドルに次いで第2位で、決済通貨としても確たる地位を築いており、「第二の基軸通貨」とも呼べる存在でしょう。
ユーロ圏発足当初は11ヵ国でユーロが導入されましたが、その後20年間で8ヵ国が加わり、2023年から新たにクロアチアが加わりました。
一方で、EU加盟国でもユーロ未導入の国があるのも事実です。これは、ユーロ導入について、ERM2(欧州為替相場メカニズム)参加や恒常的なインフレにないなど、「マーストリヒト条約」において一定の要件が課されている点に起因しています。このほか、自国の金融政策や法改正など、各国さまざまな課題を抱えています。直近ではかねてより導入を目指しているブルガリアが2025年にも導入の可能性が報じられており、ユーロ圏の更なる拡大が期待されます。

EU加盟国のユーロ導入国と主な基準

EU加盟国のユーロ導入国と主な基準

ユーロの特徴

先述の通り、ユーロ(EUR)は取引量と流動性が非常に高く、通貨として安定している点が最大の特徴であり、基軸通貨同士の組み合わせである「ユーロ/米ドル」は世界一の取引量を誇ります。また、日本円と組み合わせた「ユーロ/円」は、スプレッドが狭いメジャーな通貨ペアとして、国内FXでは根強い人気があり、多くの投資家から注目を集めています。ユーロ/円の値動きの特徴としては、ロンドン(欧州)時間から取引や値動きが活発となる傾向がみられます。加えてクロス円と呼ばれる「合成通貨」である点は押さえておきたいです。FX市場では、ユーロ/円単体での取引はなく、為替レートは、ユーロ/ドルとドル/円を掛け合わせた合成レートによって生成されています。ユーロ/ドルの相場動向も併せてチェックしてみましょう。
また、EUやユーロ圏は多くの加盟国から構成されている経済圏です。ユーロ相場は欧州各国の影響を受けることから、材料には事欠かない通貨とも言えます。過去には、「ギリシャ危機」を発端とした「欧州ソブリン危機」のように、一部の加盟国の財政不安でユーロが下落、それらが欧州全体を巻き込む金融危機につながりました。そして、2020年1月31日を以て英国がEUを離脱しています。イギリスのEU離脱、いわゆる「ブレグジット(Brexit)」の前後ではユーロ相場が大きく影響を受けたことから、EUやユーロ圏加盟国に関する情報やヘッドラインにも気を配りたいです。同時に、こういった要素は通貨ペアの値動きの変動率であるボラティリティを高めますので、キャピタルゲインを狙った取引においては、トレードチャンスが多いといった魅力があります。

ユーロ/円の相場状況と今後の見通し

ユーロ/円の相場状況

近年のユーロ/円相場を振り返るにあたって無視できないトピックは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻でしょう。アフターコロナの混乱に追い打ちをかけるように発生した地政学リスクの高まりは、ユーロ圏のみならず世界各国の経済・財政見通しを曇らせましたが、とりわけロシアとの経済的結びつきの強いユーロ圏は、原油・天然ガスなどのコモディティ価格上昇に伴い、インフレ懸念がさらに深刻化することとなりました。この出来事を発端として、金融政策を運営するECB(欧州中央銀行)は、コロナ渦において実施した金融緩和から一転して、記録的なインフレの抑制に向けた引き締め政策を優先に対応していくこととなります。
新型コロナウイルス対応の緊急資産購入プログラム(PEPP) を2022年3月末で、同年7月に従来の資産購入プログラム(APP)を終了すると、およそ11年ぶりにECBは利上げを実施、約8年間続けたマイナス金利政策から脱却するに至りました。高まるインフレによって生じる購買力への衝撃や供給制約に対応するため、ECBによる引き締め政策は続き、政策金利は2023年9月には4.50%まで上昇、その後2024年4月会合まで据え置かれました。ユーロ/円は金利面の優勢性も追い風に上値追いが加速していき、足元ではリーマンショック以来の高値を抜けて、史上最高値を更新するなど、底堅く推移しています。

みんなのFX(TradingView) ユーロ/円相場の推移

みんなのFX(TradingView)  ユーロ/円相場の推移

ユーロ/円の今後の見通し

2024年後半のユーロ/円相場を見通す上では、ECBと日銀の金融政策運営がカギを握りそうです。
2024年6月のECB理事会では、大方の市場予想通り0.25%の利下げが発表されました。スイス、スウェーデン、カナダに次いで4番目の利下げ開始で、主要国では先んじて利下げサイクルに入りました。ただ、四半期ごとに公表される消費者物価指数(HICP)のECB予想は、2024-2025年が総合・コアともに上方修正され、物価目標の2%に到達する時期は、以前の見通しから後ずれしており、まだまだインフレへの警戒感を感じる内容でした。また、ラガルドECB総裁は、「現行の政策金利水準は依然として極めて引き締め的で、中立金利からは大きく離れている」と言及しており、今後の政策運営に関しても「データ次第」のスタンスを崩していません。
対して、日銀は2024年3月に2016年から実施していたマイナス金利政策を遂に解除しました。同年6月には長期国債の買い入れを減らしていく方針を打ち出すなど、今後も追加利上げを含む金融政策の正常化に向け動きが出てくるでしょう。
日欧の金融政策の方向性だけみれば、長期で続いた円安トレンドの転換点も近いと判断できそうですが、仮に日銀が年内の追加利上げに踏み切った場合でも、当面の日欧の金利差は依然として開きのある状況のため、ユーロ円の堅調トレンドは続くとみておきたいです。
一方で、2024年6月の欧州議会選挙にて、フランスのマクロン大統領率いる与党連合が右派政党「国民連合(RN)」に敗北したことで、仏政治情勢の混乱が目立っています。これを受けて、マクロン大統領は下院(国民議会)の解散に踏み切り、国民に是非を問う決断を下しましたが、現時点では劣勢が見込まれています。今後、右派勢力の拡大から、政治の主導権を握るようであれば、フランスの「EU脱退」などのテーマがユーロ売りを誘う局面も想定しておきたいです。

政策金利と消費者物価指数

政策金利と消費者物価指数

出所:ブルームバーグ

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トレイダーズ証券市場部為替ディーラー

日々、海外のニュースやチャートをチェックし、インターバンク市場にて外国為替の取引をしている、トレイダーズ証券 市場部所属の為替ディーラーが、この記事を執筆しました。
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