FXレポート

米景気二番底懸念高まる中、FOMC、米雇用統計、G20に注目! 

金曜日のドル円は、東京時間で日本の9月失業率、9月有効求人倍率は共に好結果を反映し、円が買われる展開となった。ニューヨーク時間に入ると10月ミシガン大学消費者信頼感指数の結果が9月から落ち込んだことや、米商業金融大手のCITに破綻の噂が広まったこともありダウ株式市場が大きく軟化、総じて「ドル買い・円買い」のリスク回避の動きの中で「円買い」が強くみられた。ドル円は一時89.911円まで下落し、90.106円で引けた。

ユーロ円は序盤、日経平均が伸び悩んだことなどを背景に前日の大幅上昇に対する利益確定の売りが次第に強まり下げ幅を拡大、その後の独小売売上高指数も予想外のマイナスに重石となり、米GDP速報値の上振れを受けたリスク選好ムードも長続きせず、ダウが250ドル近く下落したことで、完全にリスク回避に流れが変わり、3.015円安の132.612円で取引を終えた。

                 今週の展開  

今週のドル円だが、市場の関心はFOMCや米雇用統計になる。「FOMCは事実上のゼロ金利政策のキーワードである政策金利を『長期間』にわたり非常に低い水準で維持する」とした文言の「時間軸」などを一部修正するとの見方が浮上しており、出口戦略に関する思惑からドルが買い戻される可能性があるだろう。また、今週末にスコットランドで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に向けて欧州各国のドル安懸念発言が強まる可能性もあることから、ドルのサポート材料となろう。しかし、米雇用統計は失業率がいよいよ心理的な節目の10%に達する可能性があり(市場予想:9.9%)、景気二番底懸念を高める動きも捨てきれず、慎重スタンスで臨みたい。

ユーロ円は、今週FOMC、米雇用統計、G20などイベントが盛り沢山となっており、米国の景気動向や出口戦略を見極める局面へとなりそうだ。仮にリスク回避の動きが継続すれば、ユーロ買い進むべき理由は乏しく、さらにG20では、ユーロ高をけん制する発言がみられる可能性があることなどから、ユーロ買いには慎重なスタンスが要求されるかもしれない。

一方ポンド円も、今週木曜日の英中銀金融政策委員会での量的緩和拡大観測を背景に売りが強まる可能性が排除できない為、下値警戒を怠らないようにしたい。
    
豪ドル円は、米GDPの上振れを受けた楽観的なムードの広がりが短命に終わったことで、世界的景気回復期待には不透明感が多く、上昇が続いた商品市場も調整局面入りした場合には、リスク回避の資源国通貨売りは十分考えられる。また、今週火曜日の豪準備銀行理事会での利上げ幅が0.50%となる可能性が後退ている中、0.25%と小幅な利上げ幅にとどまるか、見送りとなる可能性まで浮上していることから、下値が脆弱となる可能性があるだろう。
  
  [今週の予想レンジ]
 ドル ・円  87.00-92.50
 ユーロ・円 128.00-135.00
 ポンド・円 145.00-155.00

【今週の主な経済指標】

11/2(月)
09:30  (豪) 第4四半期住宅価格指数           
17:55  (独) 10月製造業PMI       
18:00  (ユーロ) 10月製造業PMI       
18:30  (英) 10月製造業PMI

11/3(火)
00:00  (米) 10月ISM製造業景気指数       
00:00  (米) 9月建設支出 前月比       
12:30  (豪) 豪準備銀行理事会(政策金利)       
21:55  (米) 大規模小売店売上高

11/4(水)
00:00  (米) 9月製造業新規受注      
09:30  (豪) 9月小売売上高 前月比     
09:30  (豪) 9月住宅建設許可     
11:30  (日) 白川日銀総裁講演              
18:00  (ユーロ  10月ロイター非製造業PMI     
18:30  (英) 10月ロイター非製造業PMI     
19:00  (ユーロ  9月生産者物価指数       
21:00  (米) 住宅ローン借換申請指数    
22:15  (米) 10月ADP全米雇用報告

11/5(木)
04:15  (米) FOMC(政策金利)       
06:45  (NZ) 第3四半期失業率     
08:50  (日) 日銀金融政策決定会合議事要旨           
09:30  (豪) 9月貿易収支  
17:15  (スイス) 10月消費者物価指数         
18:30  (英) 9月製造業生産 前月比       
19:00  (ユーロ) 9月小売売上高      
21:00  (英) 英中銀金融政策決定会合(政策金利)       
21:45  (ユーロ) ECB理事会(政策金利)      
22:30  (米) 週間新規失業保険申請件数         
22:30  (加) 9月住宅建設許可件数     
22:30  (米) 第3四半期非農業部門労働生産性指数(速報値)     
22:30  (米) 第3四半期単位労働コスト(速報値)

11/6(金)
00:00  (加) 10月IVEY購買部協会景気指数      
05:00  (米) 9月消費者信用残高    
14:00  (日) 9月景気動向指数CI(速報値)        
15:45  (スイス) 10月失業率     
18:30  (英) 10月生産者物価指数
20:00  (独) 9月製造業受注       
21:00  (加) 10月雇用統計/失業率      
22:30  (米) 10月雇用統計/非農業部門雇用者数

さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年10月30日クローズ時点≫

 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
  ダウが金融関連株を中心に急落し、リスク回避の展開に円高が加速、一時90円を割れる局面ではロ
 ングポジションを選択する参加者が多くみられた。ダウ下落の背景には、
 「米シティ・グループは第4四半期に100億ドルの評価損の可能性」と報じた事で金融不安が再燃し、
  米景気二番底への警戒が増している。今週は、この弱い材料を引き継ぐこととなりそうだ。
 
 ポンド円は「ブル」
 株安→「ドル買い円買い」の典型的なリスク回避の流れにポンド円は、3.082円安の148.157円まで
 売られ、前日上昇分をすべて打ち消し、先週の安値圏へ急落した。乱高下する中、参加者は積極的
 に押し目買いスタンスで臨んではいるものの、再び燻りかけた金融不安を背景に、予想以上に市場
 が弱気な反応となった場合には、リスク回避の流れが継続する可能性もあるため、注意を払いたい
 ところだ。
  
 豪ドル円は「ブル」
 米GDPの好結果により台頭した楽観論に冷や水を浴びせ、市場のリスク回避志向を強制的に呼び戻し、
 リスクポジションの手仕舞いを強いる結果となった。原油、金といった商品市場は軒並み値
 を下げ、資源国通貨も下落を強いられた。そんな中、今週火曜日の政策金利発表での利上げ期待に
 安値では、強気な参加者が多かった。

 

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