FXレポート

90円定着は時期尚早か?

本日の為替相場は、先週末のバーナンキ米FRB議長による出口戦略についての発言から米国の低金利政策長期化への懸念が後退していることで対円でのドルの買戻しが進んだ模様。また、ロンドン市場の時間帯には時間外のダウ先物や英・独の株価指数の堅調な推移を見せたことで一段の対円でのドル買いが進み、ドル円は一時90.455円まで上昇した。ユーロ円もドル円の上昇に連れる形となり、一時133.318円まで上昇した。

その後は新規材料の乏しい中、徐々にドル円は対ユーロや資源国通貨でのドル売りに押される形となり、一時89.631円まで押し戻される展開に。方好感の定まらない展開が続いたものの、ドル円は89.867円で取引を終えた。ユーロ円は若干の下落が見られたものの、132円台半ばを維持したまま、底堅い推移となり、132.812円と先週末より円安水準で引けた。一方、ポンド円は英景況感に対する先行き不安から対ドル及び対ユーロでのポンド売りが重しとなり、142.024円と先週末より円高水準で取引を終えている。


昨日は手がかりの少ない中での様子見相場であったが、ドル円は一時90円台を回復している。しかし、ドルが積極的に買われたというよりも、対円でのユーロや資源国通貨の買いに押される形でのドル高であると考えば、ドル先安観が和らいでいるとは考えにくい。先週から引き続き、再びドル売りに傾斜する可能性も否めないため注意したい。

一方、ドル円やユーロ円とは対象的に、昨日も円高水準で取引を終えているポンド円であるが、本日の日本時間早朝には小売売上高、夕刻には消費者物価指数及び小売物価指数の発表が控えており、これを手掛かりとした相場動向に注目したい。対ユーロでの強いポンド売りは継続しており、0.93811ポンドまで下落する場面も見られ、依然として高値圏での推移となっている。英国の景気先行き不透明感、特に最近ではインフレ圧力が上昇する懸念が高まっており、指標の内容次第では再びポンド急落の可能性も考えられる。ボラティリティも高まりつつあるため、慎重な判断が求められそうだ。



[本日の予想レンジ]

 ドル ・円  87.90- 91.35
 ユーロ・円 129.00-135.20
 ポンド・円 139.00-144.00


【本日の主な経済指標】

06:45 (ニ) 小売売上高指数[前月比]
08:01 (英) 英小売連合(BRC)小売売上高調査[前年同月比]
08:01 (英) 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
08:50 (日) マネーストックM2[前年同月比]
09:30 (豪) NAB企業景況感指数
13:00 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)             
15:45 (仏) 消費者物価指数(CPI)[前月比]
15:45 (仏) 経常収支
16:15 (ス) 生産者輸入価格[前月比]
17:30 (英) 消費者物価指数(CPI)[前月比]
17:30 (英) 消費者物価指数(CPI)[前年同月比]
17:30 (英) 小売物価指数(RPI)[前月比]
17:30 (英) 小売物価指数(RPI)[前年同月比]
18:00 (デ) ZEW景況感調査(期待指数)
18:00 (欧) ZEW景況感調査
21:30 (加) 貿易収支
21:30 (加) 新築住宅価格指数[前月比]


さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年10月12日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


 ドル円は「ブル」
 出口戦略についてを示唆したバーナンキ米FRB議長の発言から低金利政策長期化への懸念が後退したこと
 を背景にドル買いが優勢で「ブル」。依然として上値の重い展開が続いているものの、一時90円台を回復
 したことに、やや上値の重たさも和らいでいるとの判断もあるようだ。本日も他通貨の動向に左右される
 展開が続くと考えられるが、再び90円台を維持する推移となるか注目したい。

 ユーロ円は「ブル」
 相対的に買い妙味が続くユーロであり、参加者の多くは「ブル」を選択している。米国決算発表も本格化
 し、株高・リスク選好の流れとなれば、一段の上値を模索する展開となろうか。ZEW景況感調査が発表さ
 れるが、足元の景況感もしっかりと抑えておきたい。

 ポンド円は「ブル」
 対ドルや対ユーロでのポンド売りが強まるなか、ポンド円も上値の重い展開が続いている。参加者は値ご
 ろ感から「ブル」を選択しているものの、慎重なスタンスが求められそうだ。本日の小売物価指数や消費
 者物価指数に注目したい。
 

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