FXレポート

日本政府、日銀による為替介入の実施は!?

昨日のドル円は序盤、日本政府、日銀による介入期待を背景に仲値に向けたドル買いも加わり77.221円まで上昇したものの、仲値後は介入がなかったことに嫌気した売りが強まり76.50円付近まで軟化した。欧州市場に入ると、全体的なドル売りムードのなか、史上最安値を狙った仕掛け的な売りが観測され76.313円まで下押しとなったが、直後に日銀によるレートチェックの噂で一時77.166円まで急騰した。しかし、買い一巡すると76.50円付近まで急速に押し戻され「往って来い」の展開に。NY市場に入ると、新規失業保険申請件数が市場予想より強い結果となったことや、NYダウが423ドル高と大幅反発したことにより、リスク選好からオセアニア通貨や欧州通貨が選好された一方で、ドル円はドル売りと円売りに挟まれた格好で、反応は限定的となり前日比-0.034円となる76.857円で取引を終えた。

ユーロ円は、仲値に向けて円売り介入期待から109.422円まで上昇したものの、介入が実施されなかったことで109.00円まで下押しした後は小動きに終始。欧州市場に入ると、日銀によるレートチェックの噂により一時109.859円まで急伸したものの、買いは続かず軟調な展開になると欧州株式の下落を受けて、リスク回避の動きから108.020円まで下落幅を拡大した。NY市場では、NYダウが買い優勢で始まったことにより買い戻しの動きが優勢となり109.721円まで反発。引けにかけて、短期筋から利益確定の売りが散発的に入り109.337円まで小幅に値を崩したものの、前日比+0.291円で取引を終えた。

                            今日の展開

ドル円は、史上最安値更新を狙った仕掛け的な売りが観測されたものの、日銀によるレートチェックの噂により押し戻された。今後も日本政府、日銀が為替介入に踏み切るかどうか注目されようか。野田財務相は円高について「国際社会と連携しながら、市場を注意深くみていく」と慎重姿勢を崩していないが、投機的な売り仕掛けには介入を辞さないとの見方もあり警戒感を強めておきたい。ただ、オバマ米大統領は米経済成長の減速懸念について「米経済を促進することができる一段の手段がある」として量的緩和措置(QE3)を示唆する発言をしており、こちらの動向には注意が必要だ。

ユーロは、欧州中央銀行(ECB)の月報で「ユーロ圏の成長の勢いは弱まった」「経済の不確実性は特段に高い」「ユーロ圏の成長の勢いは弱まった」と依然としてダウンサイドリスクの高さが窺われた。ただし、欧米株式市場の大幅な上昇を受けてリスク選好ムードが高まった場合には、リスク回避の巻き戻しの対象としてユーロが選好されているため、株価上昇などのポジティブな局面ではリスクオンとしたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   75.00-78.00
ユーロ・円 107.50-111.00
ポンド・円 123.00-126.00

【今日の主な経済指標】
13:30 JPY 鉱工業生産・確報値[前月比] 6月
14:30 FRF 消費者物価指数(CPI)[前月比] 7月
14:30 FRF 国内総生産(GDP、速報値)[前期比] 4-6月期
15:45 FRF 非農業部門雇用者・速報値[前期比] 4-6月期
17:30 HKD 四半期域内総生産(GDP)[前期比] 4-6月期
17:30 HKD 四半期域内総生産(GDP)[前年比] 4-6月期
18:00 EUR 鉱工業生産[前月比] 6月
21:30 USD 小売売上高[前月比] 7月
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・速報値 8月
23:00 USD 企業在庫[前月比] 6月

≪2011年8月11日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米30年債の入札不調を受けて長期金利が上昇したことにより、日米金利差
拡大を意識した買いが入り「ブル」。米経済成長の減速懸念を背景に安全
資産として米国債が買われ金利が低下していたが、欧米株式の株高によっ
て低下に歯止めがかかっているため巻き戻しとなるか注視したい。

ポンド円「ブル」
欧米株式市場の反発を受けてリスク選好姿勢の高まりから、ポンドが選好
され、参加者も約85%と大きく「買い」に傾いた。しかし、10日英中央銀
行(BOE)は「成長見通しは依然として非常に不透明だ。具体的に言えば、
ユーロ圏から生じているリスクが英国経済に大きな影響を与える可能性が
あるということだ」との認識を示しているため、ユーロのマイナス要因が
浮上した場合には警戒を強めておきたい。

豪ドル円「ブル」
NY株式の大幅反発に、投資家のリスク志向が回復し前日比+1.222円となっ
たことで「買い」優勢に。しかし、豪準備銀行(RBA)が年内の経済成長
は鈍化傾向にあると示唆していた通り、7月豪雇用統計は失業率と新規雇
用者数が発表されたが、ともに市場予測から悪化しているため短期的にも
中長期的にみても上値は限定的になるかもしれない。

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