米国債格下げが引続き重しか!?
昨日のドル円は、週末に米債務上限引き上げを巡る協議で共和党のマコネル上院院内総務が「合意が非常に近い」との考えを示したほか、民主党のリード上院院内総務は「債務上限合意案を受け入れた」との声明を発表するなど期待感から77.35円付近まで40銭ほど窓を開けてオープンした。東京市場ではオバマ米大統領が、米債務問題について「米政府・議会指導者間で合意」と発言したことを好感し、リスク回避の巻き戻しが優勢となったほか、中国製造業PMIが予想を上回る結果となったこともこの流れを後押しし78.037円まで上昇した。ただ、上値の重さが確認されると流れは一転下向きとなり、欧州市場では議会採決を見極めたいとする慎重姿勢もあり、楽観的に買い進めていくだけの動きも見られなかった。また、NY勢参加後もISM製造業景気指数が予想より弱い内容となったことでドル売りが活発化すると76.300円と約4カ月半ぶりの安値を示現、東日本大震災直後の3月17日に付けた戦後最安値76.180円の直前に迫った。ただ、史上最安値の76.180円を下抜けることが出来なかったためショートカバーが入ったほか、政府、日銀による円売り介入への警戒感が高まりから買い戻しが進み77.230円まで反発して取引を終えている。
ユーロ円は、オバマ米大統領が東京市場で「両党指導者は債務上限や赤字削減で合意に達した」と発言したことを受けたリスク選考の地合いから112.246円まで上昇した。しかし、欧州勢が本格的に参入すると米国債の格下げ懸念などから積極的なリスクテイクとはならず、徐々に上値を削る展開。また、NY市場でも高く始まったNYダウが下げに転じたことを受けて、リスク回避姿勢を強めると売りが優勢となったほか、ユーロスイスフランが一時1.10321と対スイスフランで史上最安値を更新したことも相場の押し下げ要因となり110.061円まで下落して取引を終えてる。
今日の展開
ドルは、米債務上限引き上げと財政赤字削減で合意したことを受け、米国のデフォルトから暴落といった最悪の事態は避ける事ができたといえよう。しかし、暫定合意の赤字削減幅が小さいため、S&Pや、ムーディーズといった大手格付け会社は、米国債の格下げ検討を表明しており、上値を追う勢いは弱いか。また、前週末に発表された実質GDP(国内総生産)速報値が予想外に弱かったこと、昨日のISM製造業景況指数が前月の2年ぶりの低水準に悪化したこと等、米景気先行きに対する不安は根強い。対円でも史上最安値の76.180円を下抜けない限り、政府・日銀の介入は期待しづらい上、ドル安の展開ではG7各国の理解は得にくく、仮に日本が単独で介入に踏み切っても効果は薄いだろう。
ユーロ円も引続き厳しい展開が予測される。米連邦債務上限引き上げをめぐる協議が合意したものの、米国債の格下げ懸念などからリスク回避の円高が続く可能性は否めない。また、EFSFによるギリシャ向け融資が9月までずれ込む可能性が浮上していることや、イタリアやスペインなど欧州高債務国の格下げ懸念が高まっていることも重石となろう。テクニカル面では5日移動平均線の差しかかる111.00円付近や、日足一目均衡表転換線の位置する111.20円付近が短期的なレジスタンスとなりそうだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 76.20-77.80
ユーロ・円 108.00-111.00
ポンド・円 126.00-129.00
【今日の主な経済指標】
16:30 CHF SVME購買部協会景気指数
18:00 EUR 卸売物価指数
21:30 USD 個人消費支出
21:30 USD 個人所得
≪2011年8月1日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
歴史的な安値圏であることもあり、この水準では割安感から「ブル」に変化は無かった。テクニカル面ではボリンジャーバンド-2σ76.50円付近の攻防を突破し、戦後最安値である76.180円へと到達するかどうかが焦点となろう。仮に同水準をブレイクした場合は、その下にサポートがないだけに、相場が大きく崩れる可能性もあり、押し目買いリスクは高いといえようか。
ポンド円「ブル」
一時124円前半まで下落したことで押し目での買い意欲は強く「ブル」。米国債のデフォルト懸念を背景としたドル安にサポートされるとみられるものの、ポンド自体には積極的な買い材料が見当たらないため、対円では上値も限定的となりろうか。また、今週4日に英金融政策委員会(MPC)が開催されるが、7月分の議事録では直近の英国経済の弱さが長期化する公算が大きいとしており、厳しい展開も視野に入れておきたい。
豪ドル円「ブル」
豪第2四半期消費者物価指数が前年同期比が予想を上回ったことで、豪利下げ観測が後退しているほか、ファンダメンタルが良好な豪ドルが選好する地合いに変化はなく「ブル」は堅持されている。スティーブンス豪準備銀行総裁は「豪ドルの現在の水準はかなり高い」との見解を示しているものの、豪政府は豪ドル売り介入は示唆しておらず、買い安心感は依然高い。また、金をはじめとするコモディティ価格の上昇基調も続いており、まだ上昇余地があるように思える。
ユーロ円は、オバマ米大統領が東京市場で「両党指導者は債務上限や赤字削減で合意に達した」と発言したことを受けたリスク選考の地合いから112.246円まで上昇した。しかし、欧州勢が本格的に参入すると米国債の格下げ懸念などから積極的なリスクテイクとはならず、徐々に上値を削る展開。また、NY市場でも高く始まったNYダウが下げに転じたことを受けて、リスク回避姿勢を強めると売りが優勢となったほか、ユーロスイスフランが一時1.10321と対スイスフランで史上最安値を更新したことも相場の押し下げ要因となり110.061円まで下落して取引を終えてる。
今日の展開
ドルは、米債務上限引き上げと財政赤字削減で合意したことを受け、米国のデフォルトから暴落といった最悪の事態は避ける事ができたといえよう。しかし、暫定合意の赤字削減幅が小さいため、S&Pや、ムーディーズといった大手格付け会社は、米国債の格下げ検討を表明しており、上値を追う勢いは弱いか。また、前週末に発表された実質GDP(国内総生産)速報値が予想外に弱かったこと、昨日のISM製造業景況指数が前月の2年ぶりの低水準に悪化したこと等、米景気先行きに対する不安は根強い。対円でも史上最安値の76.180円を下抜けない限り、政府・日銀の介入は期待しづらい上、ドル安の展開ではG7各国の理解は得にくく、仮に日本が単独で介入に踏み切っても効果は薄いだろう。
ユーロ円も引続き厳しい展開が予測される。米連邦債務上限引き上げをめぐる協議が合意したものの、米国債の格下げ懸念などからリスク回避の円高が続く可能性は否めない。また、EFSFによるギリシャ向け融資が9月までずれ込む可能性が浮上していることや、イタリアやスペインなど欧州高債務国の格下げ懸念が高まっていることも重石となろう。テクニカル面では5日移動平均線の差しかかる111.00円付近や、日足一目均衡表転換線の位置する111.20円付近が短期的なレジスタンスとなりそうだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 76.20-77.80
ユーロ・円 108.00-111.00
ポンド・円 126.00-129.00
【今日の主な経済指標】
16:30 CHF SVME購買部協会景気指数
18:00 EUR 卸売物価指数
21:30 USD 個人消費支出
21:30 USD 個人所得
≪2011年8月1日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
歴史的な安値圏であることもあり、この水準では割安感から「ブル」に変化は無かった。テクニカル面ではボリンジャーバンド-2σ76.50円付近の攻防を突破し、戦後最安値である76.180円へと到達するかどうかが焦点となろう。仮に同水準をブレイクした場合は、その下にサポートがないだけに、相場が大きく崩れる可能性もあり、押し目買いリスクは高いといえようか。
ポンド円「ブル」
一時124円前半まで下落したことで押し目での買い意欲は強く「ブル」。米国債のデフォルト懸念を背景としたドル安にサポートされるとみられるものの、ポンド自体には積極的な買い材料が見当たらないため、対円では上値も限定的となりろうか。また、今週4日に英金融政策委員会(MPC)が開催されるが、7月分の議事録では直近の英国経済の弱さが長期化する公算が大きいとしており、厳しい展開も視野に入れておきたい。
豪ドル円「ブル」
豪第2四半期消費者物価指数が前年同期比が予想を上回ったことで、豪利下げ観測が後退しているほか、ファンダメンタルが良好な豪ドルが選好する地合いに変化はなく「ブル」は堅持されている。スティーブンス豪準備銀行総裁は「豪ドルの現在の水準はかなり高い」との見解を示しているものの、豪政府は豪ドル売り介入は示唆しておらず、買い安心感は依然高い。また、金をはじめとするコモディティ価格の上昇基調も続いており、まだ上昇余地があるように思える。