ドル円相場の史上最安値更新も!?
金曜日のドル円だが、東京市場は米下院議会でのベイナー下院議長が提案する歳出削減案の採決を控え、巻き戻しの動きが優勢になり一時77.858円まで上昇したものの、予定されていた財政削減案の採決が見送られると一転ドル売りが優勢となり方向感のつかめない展開。その後も一進一退の値動きが続いたが、NY時間に米商務省が発表した4-6月期の米国内総生産(GDP)速報値が市場予想平均より弱かったほか、同確定値も大幅に下方修正されたことで、米景気の先行き不透明感が強まりから77円前半まで下落。さらにシカゴ購買部協会が発表した7月景気指数(PMI)が市場予想平均を下回ったほか、ミシガン大学消費者信頼感指数も予想を下回り77円割れを示現した。引けにかけても米10年債利回りが年初来安値を更新するなか、軟調な地合いが続き76.897円で取引を終えている。
ユーロ円は、欧州圏の債務問題に対する懸念が台頭するなか、米格付け会社ムーディーズがスペインの格付け「AA2」を引き下げる方向で検討と伝わると111.20円付近まで下落した。売り一巡後は中国はギリシャ債買い戻し基金への支援に関心を示す公算が大きいとの報道からショートカバーも見受けられたが、欧州勢が本格的に参入すると欧州株が下落したことなどを手掛かりに円高が進み110円ミドルまで下値を拡大した。NY時間でも欧州金融安定ファシリティー(EFSF)は9月半ばまでにギリシャに支払う次回融資の準備が出来ない可能性がある」と報じたことを嫌気した売りや、米GDPの下振れにNYダウが下げ幅を広げると一時110.367円まで日通し安値を更新した。もっとも、ドルの下落につれユーロドルの動きが下支えとなったため、110.629円まで値を戻し取引を終えている。
今週の展開
ドル円は週の前半から荒れた相場が予測されよう。まず、8月2日の期限を控え米国がデフォルトを回避できるかが最大の焦点だが、市場では最終的に妥協案が成立するとした見方がコンセンサスとなっている。しかし、2008年に「金融安定化法案」を否決している前科があることからあり楽観は禁物であり、仮にデフォルトとなればドル円相場の史上最安値を更新することは避けられないだろう。一方、デフォルトを回避した場合だが、瞬間的にドルの買い戻しが期待されるものの、合意内容によっては格下げ懸念が残る上、ここから買いあがっていけるほど米経済も強くないため戻りは限定されると見られる。
そのほか、今週の経済指標では1日に建設支出、ISM製造業景況指数、2日に個人支出・個人消費支出、3日に7月ADP全米雇用統計、ISM非製造業景況指数、4日に新規失業保険申請件数、5日に7月米雇用統計の発表がある。特に米雇用統計はバーナンキ米連邦準備理事会議長が下院金融委員会で雇用に対し厳しい認識を示していたほか、7月に発表された新規失業保険申請件数は40万件台が目立っており、米雇用統計への警戒感から追加緩和観測(QE3)が高まる可能性も否定できない。今週は週初めの米連邦債務上限引き上げ問題、急落した場合は政府・日銀の円売り介入、さらに週末の雇用統計と忙しい一週間になりそうだ。
一方のユーロ円だが、欧州問題はいったんは懸念が後退したものの、ちょっとした枠組みの相違などからすぐに債務問題が浮上するあたりの不安定さは否めず、リスク回避の展開から消去法的に円が買われやすい地合いか。また、実際にギリシャの事実上デフォルトの影響が不透明であるうえ、CDSスプレッドもスペインとイタリアを中心に拡大を続けており、いつどこで爆弾材料が飛び出して不思議ではなく、潜在的なダウンサイドリスクに留意しておきたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 75.00-80.00
ユーロ・円 108.00-115.00
ポンド・円 123.00-129.00
【今週の主な経済指標】
8月1日
17:28 GBR 製造業PMI
18:00 EUR 失業率
23:00 USA 建設支出
23:00 USA ISM製造業景況指数
8月2日
10:30 AUS 四半期住宅価格指数
10:30 AUS 住宅建設許可
13:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
18:00 EUR 生産者物価指数
21:30 USA 個人所得
21:30 USA 個人支出
21:30 USA PCEコア・デフレータ
8月3日
10:30 AUS 小売売上高
10:30 AUS 貿易収支
16:58 EUR サービス業PMI
17:28 GBR サービス業PMI
18:00 EUR 小売売上高
21:15 USA ADP民間雇用者数
23:00 USA 製造業受注
23:00 USA ISM非製造業景況指数
8月4日
7:45 NZL 四半期失業率
19:00 GER 製造業受注(季調済)
20:00 GBR 英中銀(BOE) 政策金利発表
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
21:30 USA 新規失業保険申請件数
8月5日
17:30 GBR 生産者物価指数
19:00 GER 鉱工業生産(季調済)
20:00 CAN 失業率 / 雇用者数変化
21:30 CAN 住宅建設許可
21:30 USA 非農業部門雇用者数 / 失業率(雇用統計)
23:00 CAN Ivey購買部協会指数
≪2011年7月29日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
東日本大震災直後に付けた3月17日以来、約4カ月半ぶりの安値を更新したほか、最終的には米債務上限引き上げ問題は合意に達するとの見方から参加者の「強気」スタンスに変化はなかった。テクニカル面では7月の安値である77.575円、77.00円を次々とブレイクしたことで史上最安値である76.180円を意識せざるを得ない展開となっている。一方、オシレータ系の指標ではRSIでは20%大きく割り込み買いシグナル、ボリンジャーバンドも3σ下限近くに絡む展開から相応のリバウンドが入ってもおかしくない水準ではある。ただし、調整的な反発があったとしても、ある程度の売り一服感がでて、大底と確認するには時期尚早だろう。
ポンド円「ブル」
126円前半まで下落したことで押し目での買い意欲は強く「ブル」。しかし、今週4日に英金融政策委員会(MPC)が開催されるが、7月分の議事録では直近の英国経済の弱さが長期化する公算が大きいとしており、厳しい展開が予測されよう。また、NYダウは6日続落となり、株式市場の不安感を示すVIX(恐怖)指数が東日本大震災直後の水準まで急騰するリスク回避の地合いでは、7月13日安値である124.779円までの動きを意識しておくべきか。
豪ドル円「ブル」
米債務上限引き上げ問題や、欧州ソブリンリスクの再燃によりドルやユーロを保有するリスクが意識されており、ファンダメンタルが良好な豪ドルが選好する地合いから引続き「ブル」は堅持されている。米国債務上限引き上げの期限を前に不透明感・警戒ムードが強まっており、株安連鎖がさらに続くようであれば下落局面も考えられよう。しかし、再燃した豪利上げ観測や、金をはじめとするコモディティ価格の上昇などを背景に上昇期待が高まっており、まだまだ上昇余地があるように思える。
ユーロ円は、欧州圏の債務問題に対する懸念が台頭するなか、米格付け会社ムーディーズがスペインの格付け「AA2」を引き下げる方向で検討と伝わると111.20円付近まで下落した。売り一巡後は中国はギリシャ債買い戻し基金への支援に関心を示す公算が大きいとの報道からショートカバーも見受けられたが、欧州勢が本格的に参入すると欧州株が下落したことなどを手掛かりに円高が進み110円ミドルまで下値を拡大した。NY時間でも欧州金融安定ファシリティー(EFSF)は9月半ばまでにギリシャに支払う次回融資の準備が出来ない可能性がある」と報じたことを嫌気した売りや、米GDPの下振れにNYダウが下げ幅を広げると一時110.367円まで日通し安値を更新した。もっとも、ドルの下落につれユーロドルの動きが下支えとなったため、110.629円まで値を戻し取引を終えている。
今週の展開
ドル円は週の前半から荒れた相場が予測されよう。まず、8月2日の期限を控え米国がデフォルトを回避できるかが最大の焦点だが、市場では最終的に妥協案が成立するとした見方がコンセンサスとなっている。しかし、2008年に「金融安定化法案」を否決している前科があることからあり楽観は禁物であり、仮にデフォルトとなればドル円相場の史上最安値を更新することは避けられないだろう。一方、デフォルトを回避した場合だが、瞬間的にドルの買い戻しが期待されるものの、合意内容によっては格下げ懸念が残る上、ここから買いあがっていけるほど米経済も強くないため戻りは限定されると見られる。
そのほか、今週の経済指標では1日に建設支出、ISM製造業景況指数、2日に個人支出・個人消費支出、3日に7月ADP全米雇用統計、ISM非製造業景況指数、4日に新規失業保険申請件数、5日に7月米雇用統計の発表がある。特に米雇用統計はバーナンキ米連邦準備理事会議長が下院金融委員会で雇用に対し厳しい認識を示していたほか、7月に発表された新規失業保険申請件数は40万件台が目立っており、米雇用統計への警戒感から追加緩和観測(QE3)が高まる可能性も否定できない。今週は週初めの米連邦債務上限引き上げ問題、急落した場合は政府・日銀の円売り介入、さらに週末の雇用統計と忙しい一週間になりそうだ。
一方のユーロ円だが、欧州問題はいったんは懸念が後退したものの、ちょっとした枠組みの相違などからすぐに債務問題が浮上するあたりの不安定さは否めず、リスク回避の展開から消去法的に円が買われやすい地合いか。また、実際にギリシャの事実上デフォルトの影響が不透明であるうえ、CDSスプレッドもスペインとイタリアを中心に拡大を続けており、いつどこで爆弾材料が飛び出して不思議ではなく、潜在的なダウンサイドリスクに留意しておきたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 75.00-80.00
ユーロ・円 108.00-115.00
ポンド・円 123.00-129.00
【今週の主な経済指標】
8月1日
17:28 GBR 製造業PMI
18:00 EUR 失業率
23:00 USA 建設支出
23:00 USA ISM製造業景況指数
8月2日
10:30 AUS 四半期住宅価格指数
10:30 AUS 住宅建設許可
13:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
18:00 EUR 生産者物価指数
21:30 USA 個人所得
21:30 USA 個人支出
21:30 USA PCEコア・デフレータ
8月3日
10:30 AUS 小売売上高
10:30 AUS 貿易収支
16:58 EUR サービス業PMI
17:28 GBR サービス業PMI
18:00 EUR 小売売上高
21:15 USA ADP民間雇用者数
23:00 USA 製造業受注
23:00 USA ISM非製造業景況指数
8月4日
7:45 NZL 四半期失業率
19:00 GER 製造業受注(季調済)
20:00 GBR 英中銀(BOE) 政策金利発表
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
21:30 USA 新規失業保険申請件数
8月5日
17:30 GBR 生産者物価指数
19:00 GER 鉱工業生産(季調済)
20:00 CAN 失業率 / 雇用者数変化
21:30 CAN 住宅建設許可
21:30 USA 非農業部門雇用者数 / 失業率(雇用統計)
23:00 CAN Ivey購買部協会指数
≪2011年7月29日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
東日本大震災直後に付けた3月17日以来、約4カ月半ぶりの安値を更新したほか、最終的には米債務上限引き上げ問題は合意に達するとの見方から参加者の「強気」スタンスに変化はなかった。テクニカル面では7月の安値である77.575円、77.00円を次々とブレイクしたことで史上最安値である76.180円を意識せざるを得ない展開となっている。一方、オシレータ系の指標ではRSIでは20%大きく割り込み買いシグナル、ボリンジャーバンドも3σ下限近くに絡む展開から相応のリバウンドが入ってもおかしくない水準ではある。ただし、調整的な反発があったとしても、ある程度の売り一服感がでて、大底と確認するには時期尚早だろう。
ポンド円「ブル」
126円前半まで下落したことで押し目での買い意欲は強く「ブル」。しかし、今週4日に英金融政策委員会(MPC)が開催されるが、7月分の議事録では直近の英国経済の弱さが長期化する公算が大きいとしており、厳しい展開が予測されよう。また、NYダウは6日続落となり、株式市場の不安感を示すVIX(恐怖)指数が東日本大震災直後の水準まで急騰するリスク回避の地合いでは、7月13日安値である124.779円までの動きを意識しておくべきか。
豪ドル円「ブル」
米債務上限引き上げ問題や、欧州ソブリンリスクの再燃によりドルやユーロを保有するリスクが意識されており、ファンダメンタルが良好な豪ドルが選好する地合いから引続き「ブル」は堅持されている。米国債務上限引き上げの期限を前に不透明感・警戒ムードが強まっており、株安連鎖がさらに続くようであれば下落局面も考えられよう。しかし、再燃した豪利上げ観測や、金をはじめとするコモディティ価格の上昇などを背景に上昇期待が高まっており、まだまだ上昇余地があるように思える。