ユーロ急落!ギリシャ債務危機がイタリアに飛び火か!?
昨日のドル円は、オセアニア時間に英フィナンシャルタイムズが「欧州の首脳はギリシャに対する救済策の一環として一部の同国債のデフォルトを容認する用意がある」と伝わるとユーロ円が急落、つられてドル円も80.50円付近まで下落した。その後、東京市場終盤までに80.80円付近まで反発する場面も見られたが、欧州時間に入るとユーロ円をはじめクロス円の下落につれた売りが断続的に入ると目先のストップロスを巻き込み80.30円付近まで下値を拡大。また、NY市場でも先週末の低調な米雇用統計を背景に米10年物国債利回りが2.910%前後まで低下し、日米金利差縮小への思惑から円買いドル売りが進むと一時6月22日以来の安値80.112円まで下落し、80.260円で取引を終えている。
ユーロ円は、朝方にファンロンパイEU大統領とバローソ欧州委員長の定例会合に、トリシェECB総裁や、ユンケル・ユーログループ議長等、経済問題担当のEU高官が参加することが報じられたことで、欧州債務問題を警戒した動きから約30銭下方に窓を開けてスタートした。その後もレーン欧州委員が「債務危機のイタリアへ波及する」と懸念を示すとドイツとイタリアの10年債利回り差が拡大したほか、他の高債務国と独債利回りとの差も軒並み拡大したことから、再び債務問題が意識されて、東京市場終盤にかけて114.00円付近まで下落幅を拡大した。また、欧州市場でも英フィナンシャルタイムズが伝えたギリシャのデフォルトに関する記事を背景に欧州勢がユーロ売りで参入したうえ、NYダウ先物や欧州株の下落を背景に、投資家がリスク回避姿勢を強め円買いが散見したこともあり112円台を示現。引けにかけてもNYダウが180ドル強下落したことを背景に、リスク回避姿勢を一段と強めると主要7カ国が円売り協調介入を実施した3月18日以来の安値である112.355円まで下落し、終値は前日比-2.307円の112.609円となった。
今日の展開
ドル円は上値が重い展開が予測される。先週末に発表された6月米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比+1.8万人増と予想外に雇用増加ペースが大幅鈍化し、失業率も9.2%と年初来最高水準を記録したことで期待された米景気回復期待に水を差す形となり、3.22%台まで上昇していた米長期金利も3%を割れている。そうした米雇用統計の下振れや、米長期金利が下落するなか、今夜3:00にバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米下院で今後の米経済の見通しを発表するが、脆弱な米経済を背景に量的緩和第弾(QE3)について言及があるかもしれず、警戒が必要だろう。テクニカル面でも日足一目均衡表の転換線が下方向となったほか、雲下限からも大きく引き離されており、地合いは弱そうだ。また、3月以来形成している三角持ち合いも右肩下がりの頂点に接近しつつあり、下方向へ放れる可能性が高く、強固なサポートである80.00円が破られる場面も想定しておいたほうが良さそうだ。
ユーロ円は、ギリシャの第2次支援策をめぐる協議が難航し、市場ではデフォルト観測が再燃するなか、同国の債務危機が、過剰な債務残高を抱えるイタリアにも波及するとの懸念が広がるなど、欧州の信用不安が急速に拡大している。ただ、イタリアがギリシャのような経済状況に陥るとは考えられないため、一過性の下落となる可能性が高いほか、テクニカル面でもボリンジャーバンドの3σ下限にまで絡む展開となっており、相応のリバウンドが入ってもおかしくない水
準であり、逆張りも面白そうだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 79.50-81.50
ユーロ・円 111.00-114.00
ポンド・円 126.00-128.50
【今日の主な経済指標】
15:00 DEM 消費者物価指数
17:30 GBP 貿易収支
17:30 GBP 消費者物価指数
17:30 GBP 小売物価指数
21:30 CAD 貿易収支
21:30 USD 貿易収支
03:00 USD 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
≪2011年7月11日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ブル」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
一時80.00円付近まで下落したことでバーゲン・ハント的な買いが入り「ブル」が
圧倒しているものの、先週末の米雇用統計ショックによる米景気減速懸念を払拭す
るには時間を要するだろう。先週のオバマ大統領の発言にある通り、「雇用市場に
は埋めねばならない大きな穴があり、米国経済は厳しい逆風に直面している」との
発言からわかるように雇用問題は長期化が予測されており、依然下値は脆弱と考え
られる。今週も本日の米貿易収支を筆頭に米小売売上高、NY連銀製造業景気指数、
ミシガン大消費者信頼感指数など重要な経済指標の発表を控えており、米雇用以外
にも貿易や消費の落ち込みが確認される事態となった場合、79.50円を試しに行く
こともありそうだ。
ポンド円「ブル」
欧州債務問題懸念の強まりから、英FT100指数が大幅下落し、ポンド円も一時127円
前半まで下落したことで、参加者は絶好の押し目とみて「強気」スタンスは維持さ
れている。先週発表された6月のサービス業PMIや、ハリファックス住宅価格指数が
予想を上回るなど、直近ではポジティブな英景気指標も見受けられており、本日の
6月消費者物価指数や明日の6月英雇用統計といった経済指標に期待が高まっている。
豪ドル円「ブル」
ギリシャの財政危機による信用不安や、中国の金融政策に対する懸念で商品関連通
貨が圧迫されて豪ドル円が下落すると割安感から買いが散見して「ブル」優勢の展
開となった。本日の展開だが、ドルやユーロなどの主要通貨が積極的に買われる展
開ではないため、高金利通貨の豪ドルが物色される動きに変化はないものの、米雇
用統計の下振れや、欧州高債務国の信用不安再燃を受けて、株式や商品市場が不安
定な値動きとっており、楽観は禁物だろう。また、11日のシカゴ・オプション市場
で恐怖指数(VIX指数)は急上昇し、19.00付近と前営業日の清算値15.95から約3ポ
イント高い水準で推移していることでリスク回避ムードが拡大する可能性もあり、
上昇余地も限定的となろうか。
ユーロ円は、朝方にファンロンパイEU大統領とバローソ欧州委員長の定例会合に、トリシェECB総裁や、ユンケル・ユーログループ議長等、経済問題担当のEU高官が参加することが報じられたことで、欧州債務問題を警戒した動きから約30銭下方に窓を開けてスタートした。その後もレーン欧州委員が「債務危機のイタリアへ波及する」と懸念を示すとドイツとイタリアの10年債利回り差が拡大したほか、他の高債務国と独債利回りとの差も軒並み拡大したことから、再び債務問題が意識されて、東京市場終盤にかけて114.00円付近まで下落幅を拡大した。また、欧州市場でも英フィナンシャルタイムズが伝えたギリシャのデフォルトに関する記事を背景に欧州勢がユーロ売りで参入したうえ、NYダウ先物や欧州株の下落を背景に、投資家がリスク回避姿勢を強め円買いが散見したこともあり112円台を示現。引けにかけてもNYダウが180ドル強下落したことを背景に、リスク回避姿勢を一段と強めると主要7カ国が円売り協調介入を実施した3月18日以来の安値である112.355円まで下落し、終値は前日比-2.307円の112.609円となった。
今日の展開
ドル円は上値が重い展開が予測される。先週末に発表された6月米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比+1.8万人増と予想外に雇用増加ペースが大幅鈍化し、失業率も9.2%と年初来最高水準を記録したことで期待された米景気回復期待に水を差す形となり、3.22%台まで上昇していた米長期金利も3%を割れている。そうした米雇用統計の下振れや、米長期金利が下落するなか、今夜3:00にバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米下院で今後の米経済の見通しを発表するが、脆弱な米経済を背景に量的緩和第弾(QE3)について言及があるかもしれず、警戒が必要だろう。テクニカル面でも日足一目均衡表の転換線が下方向となったほか、雲下限からも大きく引き離されており、地合いは弱そうだ。また、3月以来形成している三角持ち合いも右肩下がりの頂点に接近しつつあり、下方向へ放れる可能性が高く、強固なサポートである80.00円が破られる場面も想定しておいたほうが良さそうだ。
ユーロ円は、ギリシャの第2次支援策をめぐる協議が難航し、市場ではデフォルト観測が再燃するなか、同国の債務危機が、過剰な債務残高を抱えるイタリアにも波及するとの懸念が広がるなど、欧州の信用不安が急速に拡大している。ただ、イタリアがギリシャのような経済状況に陥るとは考えられないため、一過性の下落となる可能性が高いほか、テクニカル面でもボリンジャーバンドの3σ下限にまで絡む展開となっており、相応のリバウンドが入ってもおかしくない水
準であり、逆張りも面白そうだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 79.50-81.50
ユーロ・円 111.00-114.00
ポンド・円 126.00-128.50
【今日の主な経済指標】
15:00 DEM 消費者物価指数
17:30 GBP 貿易収支
17:30 GBP 消費者物価指数
17:30 GBP 小売物価指数
21:30 CAD 貿易収支
21:30 USD 貿易収支
03:00 USD 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
≪2011年7月11日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ブル」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
一時80.00円付近まで下落したことでバーゲン・ハント的な買いが入り「ブル」が
圧倒しているものの、先週末の米雇用統計ショックによる米景気減速懸念を払拭す
るには時間を要するだろう。先週のオバマ大統領の発言にある通り、「雇用市場に
は埋めねばならない大きな穴があり、米国経済は厳しい逆風に直面している」との
発言からわかるように雇用問題は長期化が予測されており、依然下値は脆弱と考え
られる。今週も本日の米貿易収支を筆頭に米小売売上高、NY連銀製造業景気指数、
ミシガン大消費者信頼感指数など重要な経済指標の発表を控えており、米雇用以外
にも貿易や消費の落ち込みが確認される事態となった場合、79.50円を試しに行く
こともありそうだ。
ポンド円「ブル」
欧州債務問題懸念の強まりから、英FT100指数が大幅下落し、ポンド円も一時127円
前半まで下落したことで、参加者は絶好の押し目とみて「強気」スタンスは維持さ
れている。先週発表された6月のサービス業PMIや、ハリファックス住宅価格指数が
予想を上回るなど、直近ではポジティブな英景気指標も見受けられており、本日の
6月消費者物価指数や明日の6月英雇用統計といった経済指標に期待が高まっている。
豪ドル円「ブル」
ギリシャの財政危機による信用不安や、中国の金融政策に対する懸念で商品関連通
貨が圧迫されて豪ドル円が下落すると割安感から買いが散見して「ブル」優勢の展
開となった。本日の展開だが、ドルやユーロなどの主要通貨が積極的に買われる展
開ではないため、高金利通貨の豪ドルが物色される動きに変化はないものの、米雇
用統計の下振れや、欧州高債務国の信用不安再燃を受けて、株式や商品市場が不安
定な値動きとっており、楽観は禁物だろう。また、11日のシカゴ・オプション市場
で恐怖指数(VIX指数)は急上昇し、19.00付近と前営業日の清算値15.95から約3ポ
イント高い水準で推移していることでリスク回避ムードが拡大する可能性もあり、
上昇余地も限定的となろうか。