ギリシャ救済案は不透明!依然燻るデフォルトリスク!
昨日のドル円は、東京市場序盤に一時80.10円付近まで売られる場面があったものの、下値では本邦輸入企業や、個人投資家のドル買いが支えたため、方向感に欠けるスタートとなった。しかしその後は、日銀金融政策決定会合で政策金利は据え置きと予想通りとなったが、経済成長を促すために5000億円の新規貸出枠を新たに設定するとし、日本経済の景気判断が引き上げられていることが好感されるとリスク選好の円売りの動きが広がり80.40円付近まで上昇した。更にNY市場で発表された米国の小売売上高が予想ほど悪化しなかったほか、卸売物価指数(PPI)の上昇率が2008年9月以来の高水準を記録した事で米長期金利が上昇すると一時80.616円まで続伸した。引けにかけ、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の「債務の拡大は深刻な経済的結末につながる恐れ」「急激な財政の圧縮は脆弱な経済に打撃を与える恐れ」などの発言があったが特に材料視されず、80.472円で取引を終えた。
ユーロ円は序盤、ワイトマン独連銀総裁が「ECBはさらなるリスクを負担できない」「投資家にギリシャ債の償還期間延長を強要できない」と発言したことが伝わると、ECBと独のギリシャ問題に対する見解の違いが嫌気され、115.267円まで売られる展開となった。ただ、売り一巡後は、中国の5月の消費者物価指数(CPI)が3カ月連続で高水準を継続したものの、予想に比べて穏やかな上昇となったことで、同国の金融引き締めが加速するとの懸念が緩和され116.40円付近まで反発した。欧州市場ではドイツとギリシャの10年債の利回り格差がユーロ導入後最大に拡大したことやベルギーの格下げが行われるとの噂が話題になったことから、一旦水準を下げる場面も見られた。しかしNY勢参加後は、米小売統計の結果を好感しダウ平均が100ドル超上昇すると、投資家がリスクを取りやすくなるとの見方からユーロ買いが広がり、2日続伸の116.215円で取引を終えている。
今日の展開
中国の消費者物価指数(CPI)は、6%を超えれば中国政府が強い金融引き締め策を実施し、世界的に景気が減速すると懸念されていたが、前年同月比5.5%の上昇にとどまったことで、過度のリスク回避志向の後退から円高圧力は緩和している。また、前日の米小売売上高を受けて米経済は軟化はしているものの、予想ほど悪化しなかったことから懸念された「二番底」までには至らないとの楽観的な雰囲気が強まっており、ドル円のサポート要因となるだろう。
しかし、ドル円のチャートを見ると前日も記述したが、日足一目均衡表の雲下限、基準線、転換線、21・25日移動平均線などテクニカルポイントが密集しており、81円台回復には越えるべき山が多く、過度の上値追いはリスクが高そうだ。一方下値は、80円前半で底堅い値動きが確認できるが、仮に80円をブレイクされるようであれば、5月5日安値79.562円を意識せざるを得ないだろう。また、同水準にはオプションのストップ注文が大量に控えているとの観測も出ており、一気にドル売り圧力がかかる可能性もあるため、80円を割れた場合は注意する必要がありそうだ。
ユーロは中国の経済指標が景気の急減速を示していなかったことや、米経済指標も予想ほどは悪くなかったことから底堅い推移となってはいるが、ギリシャ問題は依然として不透明感が強く、慎重スタンスを維持したい。ギリシャ支援の柱の一つに掲げられている民間投資家を関与させる方法について、依然としてEU、ECB、独は見解の相違が大きく、最終的に債務再編となるのでは?との懸念は払拭できていない。加えて、独債利回り格差は、ギリシャ債(14.362%)アイルランド債(8.376%)ポルトガル債(7.714%)と拡大が続いていることも懸念される。さらに、S&Pが一昨日ギリシャの信用格付けを従来の「B」から3段階引き下げ「CCC」としたが「CCC」とは「デフォルト」の1つ手前であり、見通しも「ネガティブ」としていることから同社は同国がデフォルトに陥る可能性が高いと警告している。下値目処は日足一目均衡表の雲下限である114.75円付近としたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 79.50-81.00
ユーロ・円 114.50-117.00
ポンド・円 129.00-132.50
【今日の主な経済指標】
14:00 JPY 金融経済月報
16:15 CHF 生産者輸入価格
17:30 GBP 失業保険申請件数
17:30 GBP 失業率
18:00 EUR 鉱工業生産
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
20:00 ZAR 小売売上高
21:30 CAD 製造業出荷
21:30 USD 消費者物価指数
21:30 USD ニューヨーク連銀製造業景気指数
22:00 USD 対米証券投資
22:15 USD 鉱工業生産
22:15 USD 設備稼働率
23:00 USD NAHB住宅市場指数
≪2011年6月15日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米10年債利回りが3.0%台の大台に回復したほか、日銀決定会合で成長企業支援の
ための新貸付枠5000億円設定が決まったことも、買い要因と受け止められ「ブル」
となっている。脆弱な米ファンダメンタルを背景に市場では米経済指標の悪化を
織り込んでいるようにも思える。本日発表される景況感指標(NY連銀製造業景気
指数・米消費者物価指数)も弱い数字が下落へと反応しにくい一方、強めの結果
が出れば、ドル買いにつながりやすい地合となろうか。
ポンド円「ブル」
5月の英消費者物価指数(CPI)と5月の英小売物価指数(RPI)が発表され、一部
では結果が予想より弱いのでは?との噂が流れていたたが、いずれも市場予想通
りの結果となったことで買い優勢となり「ブル」となった。ユーロの利上期待が
既定シナリオとなっているほか、ギリシャ支援の行方が不透明であることからユ
ーロを敬遠し、同じ欧州通貨であるポンドへシフトする動きから堅調推移も考え
れれよう。また、本日は英雇用統計の発表が予定されており、英景気懸念が台頭
するなか、強い結果が出せるか注目がしたい。
豪ドル円「ブル」
中国5月消費者物価指数は予想通りの結果だったものの、指標発表前には一部で
6%に達するとの見方もあり、中国の追加引き締め策への警戒感から豪ドルを売
る向きが散見されたが、発表後には安堵感から買い戻す動きが目立ち「ブル」と
なった。14日のシカゴ・オプション市場でS&P500種株価指数オプションの値動き
に基づいて算出される恐怖指数は前日の清算値19.61から約1.5ポイント低い水準
で推移するなどリスク許容度の改善は豪ドルのサポートとなろう。また、短期的
なレジスタンスになるとみられた5日や25日間移動平均線を上抜けており、テク
ニカル的な地合いも改善されたといえようか。
ユーロ円は序盤、ワイトマン独連銀総裁が「ECBはさらなるリスクを負担できない」「投資家にギリシャ債の償還期間延長を強要できない」と発言したことが伝わると、ECBと独のギリシャ問題に対する見解の違いが嫌気され、115.267円まで売られる展開となった。ただ、売り一巡後は、中国の5月の消費者物価指数(CPI)が3カ月連続で高水準を継続したものの、予想に比べて穏やかな上昇となったことで、同国の金融引き締めが加速するとの懸念が緩和され116.40円付近まで反発した。欧州市場ではドイツとギリシャの10年債の利回り格差がユーロ導入後最大に拡大したことやベルギーの格下げが行われるとの噂が話題になったことから、一旦水準を下げる場面も見られた。しかしNY勢参加後は、米小売統計の結果を好感しダウ平均が100ドル超上昇すると、投資家がリスクを取りやすくなるとの見方からユーロ買いが広がり、2日続伸の116.215円で取引を終えている。
今日の展開
中国の消費者物価指数(CPI)は、6%を超えれば中国政府が強い金融引き締め策を実施し、世界的に景気が減速すると懸念されていたが、前年同月比5.5%の上昇にとどまったことで、過度のリスク回避志向の後退から円高圧力は緩和している。また、前日の米小売売上高を受けて米経済は軟化はしているものの、予想ほど悪化しなかったことから懸念された「二番底」までには至らないとの楽観的な雰囲気が強まっており、ドル円のサポート要因となるだろう。
しかし、ドル円のチャートを見ると前日も記述したが、日足一目均衡表の雲下限、基準線、転換線、21・25日移動平均線などテクニカルポイントが密集しており、81円台回復には越えるべき山が多く、過度の上値追いはリスクが高そうだ。一方下値は、80円前半で底堅い値動きが確認できるが、仮に80円をブレイクされるようであれば、5月5日安値79.562円を意識せざるを得ないだろう。また、同水準にはオプションのストップ注文が大量に控えているとの観測も出ており、一気にドル売り圧力がかかる可能性もあるため、80円を割れた場合は注意する必要がありそうだ。
ユーロは中国の経済指標が景気の急減速を示していなかったことや、米経済指標も予想ほどは悪くなかったことから底堅い推移となってはいるが、ギリシャ問題は依然として不透明感が強く、慎重スタンスを維持したい。ギリシャ支援の柱の一つに掲げられている民間投資家を関与させる方法について、依然としてEU、ECB、独は見解の相違が大きく、最終的に債務再編となるのでは?との懸念は払拭できていない。加えて、独債利回り格差は、ギリシャ債(14.362%)アイルランド債(8.376%)ポルトガル債(7.714%)と拡大が続いていることも懸念される。さらに、S&Pが一昨日ギリシャの信用格付けを従来の「B」から3段階引き下げ「CCC」としたが「CCC」とは「デフォルト」の1つ手前であり、見通しも「ネガティブ」としていることから同社は同国がデフォルトに陥る可能性が高いと警告している。下値目処は日足一目均衡表の雲下限である114.75円付近としたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 79.50-81.00
ユーロ・円 114.50-117.00
ポンド・円 129.00-132.50
【今日の主な経済指標】
14:00 JPY 金融経済月報
16:15 CHF 生産者輸入価格
17:30 GBP 失業保険申請件数
17:30 GBP 失業率
18:00 EUR 鉱工業生産
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
20:00 ZAR 小売売上高
21:30 CAD 製造業出荷
21:30 USD 消費者物価指数
21:30 USD ニューヨーク連銀製造業景気指数
22:00 USD 対米証券投資
22:15 USD 鉱工業生産
22:15 USD 設備稼働率
23:00 USD NAHB住宅市場指数
≪2011年6月15日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米10年債利回りが3.0%台の大台に回復したほか、日銀決定会合で成長企業支援の
ための新貸付枠5000億円設定が決まったことも、買い要因と受け止められ「ブル」
となっている。脆弱な米ファンダメンタルを背景に市場では米経済指標の悪化を
織り込んでいるようにも思える。本日発表される景況感指標(NY連銀製造業景気
指数・米消費者物価指数)も弱い数字が下落へと反応しにくい一方、強めの結果
が出れば、ドル買いにつながりやすい地合となろうか。
ポンド円「ブル」
5月の英消費者物価指数(CPI)と5月の英小売物価指数(RPI)が発表され、一部
では結果が予想より弱いのでは?との噂が流れていたたが、いずれも市場予想通
りの結果となったことで買い優勢となり「ブル」となった。ユーロの利上期待が
既定シナリオとなっているほか、ギリシャ支援の行方が不透明であることからユ
ーロを敬遠し、同じ欧州通貨であるポンドへシフトする動きから堅調推移も考え
れれよう。また、本日は英雇用統計の発表が予定されており、英景気懸念が台頭
するなか、強い結果が出せるか注目がしたい。
豪ドル円「ブル」
中国5月消費者物価指数は予想通りの結果だったものの、指標発表前には一部で
6%に達するとの見方もあり、中国の追加引き締め策への警戒感から豪ドルを売
る向きが散見されたが、発表後には安堵感から買い戻す動きが目立ち「ブル」と
なった。14日のシカゴ・オプション市場でS&P500種株価指数オプションの値動き
に基づいて算出される恐怖指数は前日の清算値19.61から約1.5ポイント低い水準
で推移するなどリスク許容度の改善は豪ドルのサポートとなろう。また、短期的
なレジスタンスになるとみられた5日や25日間移動平均線を上抜けており、テク
ニカル的な地合いも改善されたといえようか。