米雇用統計悪化でリスク回避色が鮮明に!!
金曜日のドル円は序盤、新規取引材料の不足から動意に欠ける展開になるなか、週末に中国が金融引き締めを行うのではないかとの憶測を背景に円買いが散発的に入り80.70円付近まで緩やかに軟化した。欧州市場に入ると、米雇用統計を見極めたいとの思惑からポジション調整目的の動きに終始。80.60円前後で小動きに留まった。NY時間に発表された米雇用統計は、非農業部門雇用者数変化が5.4万人と市場予測の16.5万人から大幅に悪化し、失業率も9.1%と前月比の9.0%から悪化したことから、リスク回避の円買いドル売りが強まり80.05円まで急落。しかし、その後に発表されたISM非製造業景況指数が54.6と予測の54.0から僅かに上振れしたことをきっかけにリスク回避姿勢が後退し80.65円付近まで回復し「往って来い」となった。だが引けにかけて、EU、ECB、IMFが共同で「次回のギリシャへの融資は、今後数週間のさらなる協議を経て、7月初旬に実施される見込み」と発表したことで、ギリシャの財政問題への懸念が後退し対ユーロでのドル売りにつられドル円は80.256円まで反落し取引を終えた。
ユーロは、日本の政局不安を背景に日経平均が下落したほか、市場の一部で中国の金融引き締め観測が強まり、リスク回避型の円買いからユーロ円は116.75円付近まで下落した。欧州勢参入後は、ユーロ圏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が市場予測から上振れしものの、その後に発表された英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が市場予測を下回り強弱入り混じった結果を受けて116.80円前後で売買が交錯した。NY市場に入ると、弱い米雇用統計を受けてリスク回避の円買いが優勢になり115.922円の安値をつけた。だがその後、ISM非製造業景況指数が上振れしたことをきっかけにNYダウや原油先物相場も下げ幅を縮小したほか、EU、ECB、IMFが発表したギリシャの財政問題に関するポジティブな内容を受けて、投資家心理が改善したことから、ユーロ買いが強まり117.479円の高値水準で取引を終えた。
今週の展開
ドルは、米雇用統計において非農業部門雇用者数が5.4万人で予測は16.5万人、失業率が9.1%で予測は8.9%とどちらも下振れしたことから米景気減速への懸念が高まった。そのため、米10年債利回りは3.00%を割り込むなど米長期金利の低下も進んでおり、金利面からもドルは買い難い地合いとなろう。また、今週の米経済指標では、7日消費者信用残高、9日新規失業保険申請件数、貿易収支、卸売在庫、10日輸出入物価指数、月次財政収支などの発表を控えている。もっとも、注目は8日連邦準備理事会(FRB)によって公表される米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、米経済の現状を見極めるため、各地区連銀の景気動向をチェックしたい。一方、円は内閣不信任案が反対多数で解散総選挙は避けられたが、与党内での確執が浮上しており政局不安が再燃する可能性も捨てきれず突発的な円売りの動きには注意したい。
ユーロは、欧州連合(EU)、欧州中央銀(ECB)、国際通貨基金(IMF)が「次回のギリシャへの融資は、今後数週間のさらなる協議を経て、7月初旬に実施される見込み」と発表したことで、ギリシャの財政問題への懸念が和らいでいる。しかし、ゴンザレス・パラモECB理事は「債務再編はギリシャの問題を解決しないだろう」「ギリシャは、所有している資産で債務を返済できる」として財政支援には、ギリシャが現在実施している緊縮財政から一段と強い取り組みを求めていることが示唆されているものの、野党の反対にあっており与党の政権運営は難しいかじ取りを迫られそうだ。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 79.50-83.50
ユーロ・円 116.00-120.00
ポンド・円 130.00-135.00
【今週の主な経済指標】
6月6日
18:00 EUR 生産者物価指数(前月比/前年比)
21:30 CAN 住宅建設許可(前月比)
23:00 CAN Ivey購買部協会指数
6月7日
13:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
18:00 EUR ユーロ圏・小売売上高(前月比/前年比)
19:00 GER 製造業受注(季調済)(前月比)
6月8日
8:50 JPN 国際収支-貿易収支
8:50 JPN 国際収支-経常収支
15:00 GER 貿易収支
15:00 GER 経常収支
18:00 EUR ユーロ圏・四半期GDP(季調済)(改定値)(前期比/前年比)
19:00 GER 鉱工業生産(季調済)(前月比)
21:15 CAN 住宅着工件数
6月9日
3:00 USA ベージュブック(地区連銀経済報告)-公表
6:00 NZL NZ中銀 政策金利発表
8:50 JPN 四半期GDP(確報値)(前期比/前期比年率)
8:50 JPN 四半期GDPデフレータ(確報値)(前年比)
10:30 AUS 新規雇用者数 / 失業率
17:30 GBR 貿易収支
20:00 GBR 英中銀(BOE) 政策金利発表
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
21:30 USA 新規失業保険申請件数(前週分)
21:30 USA 貿易収支
21:30 CAN 貿易収支
21:30 CAN 新築住宅価格指数(前月比)
6月10日
15:00 GER 消費者物価指数(確報値)(前月比/前年比)
17:30 GBR 生産者物価指数(コア)(前年比)
17:30 GBR 鉱工業生産(前月比/前年比)
20:00 CAN 失業率 /雇用者数変化
21:30 USA 輸入物価指数(前月比/前年比)
≪2011年6月3日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米景気減速懸念が強まりリスク回避色が鮮明になりつつあるものの、参加者は
安値が80.05円と、80円割れが意識される水準のため介入期待感から「ブル」。
米国のファンダメンタルズの悪化と日本の東日本大震災による景気減速を背景
に日米の金融緩和長期化観測が高まっており、ドルも円も売り地合いになろう
か。ただし、ドルの悪材料が出た場合はリスク回避の円買い圧力も強いことか
ら、短期的には下値試しの展開かもしれない。
ポンド円「ブル」
米雇用情勢の悪化を背景にリスク回避から130円台を示現したものの、下落して
いたNYダウや原油先物相場が堅調な展開になるとリスク回避姿勢が和らぎポンド
買いを誘った。参加者は辛抱強く下値で押し目を拾い「ブル」に。欧州時間に発
表された英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が予測を下回っており、直
近の英経済指標の悪化を受けて来週9日に開催される英金融政策委員会(MPC)で
の声明文が注目を集めそうだ。なお、金利面からみると英中央銀行(BOE)によ
る早期利上げ期待は後退しているため、ポンドは売り選好になろう。
豪ドル円「ブル」
NYダウや原油先物相場の下落に伴って、資源国通貨の豪ドルは売りが選好された
ものの、参加者は絶対的な金利差を背景に豪ドル買い意欲は旺盛で「ブル」を維
持。豪経済は、洪水の影響で事前に大幅悪化すると見られていた豪四半期国内総
生産(GDP)が予測と同程度だったこともあり、今後の持ち直しに向けて期待で
きるか。今週は7日に開催される豪準備銀行(RBA)による政策金利発表が注目に
なろう。今回の発表では政策金利は据え置かれるとの見通しとなっており、声明
文で今後の利上げ時期について、タカ派的な内容が読み取れるか注目したい。
ユーロは、日本の政局不安を背景に日経平均が下落したほか、市場の一部で中国の金融引き締め観測が強まり、リスク回避型の円買いからユーロ円は116.75円付近まで下落した。欧州勢参入後は、ユーロ圏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が市場予測から上振れしものの、その後に発表された英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が市場予測を下回り強弱入り混じった結果を受けて116.80円前後で売買が交錯した。NY市場に入ると、弱い米雇用統計を受けてリスク回避の円買いが優勢になり115.922円の安値をつけた。だがその後、ISM非製造業景況指数が上振れしたことをきっかけにNYダウや原油先物相場も下げ幅を縮小したほか、EU、ECB、IMFが発表したギリシャの財政問題に関するポジティブな内容を受けて、投資家心理が改善したことから、ユーロ買いが強まり117.479円の高値水準で取引を終えた。
今週の展開
ドルは、米雇用統計において非農業部門雇用者数が5.4万人で予測は16.5万人、失業率が9.1%で予測は8.9%とどちらも下振れしたことから米景気減速への懸念が高まった。そのため、米10年債利回りは3.00%を割り込むなど米長期金利の低下も進んでおり、金利面からもドルは買い難い地合いとなろう。また、今週の米経済指標では、7日消費者信用残高、9日新規失業保険申請件数、貿易収支、卸売在庫、10日輸出入物価指数、月次財政収支などの発表を控えている。もっとも、注目は8日連邦準備理事会(FRB)によって公表される米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、米経済の現状を見極めるため、各地区連銀の景気動向をチェックしたい。一方、円は内閣不信任案が反対多数で解散総選挙は避けられたが、与党内での確執が浮上しており政局不安が再燃する可能性も捨てきれず突発的な円売りの動きには注意したい。
ユーロは、欧州連合(EU)、欧州中央銀(ECB)、国際通貨基金(IMF)が「次回のギリシャへの融資は、今後数週間のさらなる協議を経て、7月初旬に実施される見込み」と発表したことで、ギリシャの財政問題への懸念が和らいでいる。しかし、ゴンザレス・パラモECB理事は「債務再編はギリシャの問題を解決しないだろう」「ギリシャは、所有している資産で債務を返済できる」として財政支援には、ギリシャが現在実施している緊縮財政から一段と強い取り組みを求めていることが示唆されているものの、野党の反対にあっており与党の政権運営は難しいかじ取りを迫られそうだ。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 79.50-83.50
ユーロ・円 116.00-120.00
ポンド・円 130.00-135.00
【今週の主な経済指標】
6月6日
18:00 EUR 生産者物価指数(前月比/前年比)
21:30 CAN 住宅建設許可(前月比)
23:00 CAN Ivey購買部協会指数
6月7日
13:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
18:00 EUR ユーロ圏・小売売上高(前月比/前年比)
19:00 GER 製造業受注(季調済)(前月比)
6月8日
8:50 JPN 国際収支-貿易収支
8:50 JPN 国際収支-経常収支
15:00 GER 貿易収支
15:00 GER 経常収支
18:00 EUR ユーロ圏・四半期GDP(季調済)(改定値)(前期比/前年比)
19:00 GER 鉱工業生産(季調済)(前月比)
21:15 CAN 住宅着工件数
6月9日
3:00 USA ベージュブック(地区連銀経済報告)-公表
6:00 NZL NZ中銀 政策金利発表
8:50 JPN 四半期GDP(確報値)(前期比/前期比年率)
8:50 JPN 四半期GDPデフレータ(確報値)(前年比)
10:30 AUS 新規雇用者数 / 失業率
17:30 GBR 貿易収支
20:00 GBR 英中銀(BOE) 政策金利発表
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
21:30 USA 新規失業保険申請件数(前週分)
21:30 USA 貿易収支
21:30 CAN 貿易収支
21:30 CAN 新築住宅価格指数(前月比)
6月10日
15:00 GER 消費者物価指数(確報値)(前月比/前年比)
17:30 GBR 生産者物価指数(コア)(前年比)
17:30 GBR 鉱工業生産(前月比/前年比)
20:00 CAN 失業率 /雇用者数変化
21:30 USA 輸入物価指数(前月比/前年比)
≪2011年6月3日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米景気減速懸念が強まりリスク回避色が鮮明になりつつあるものの、参加者は
安値が80.05円と、80円割れが意識される水準のため介入期待感から「ブル」。
米国のファンダメンタルズの悪化と日本の東日本大震災による景気減速を背景
に日米の金融緩和長期化観測が高まっており、ドルも円も売り地合いになろう
か。ただし、ドルの悪材料が出た場合はリスク回避の円買い圧力も強いことか
ら、短期的には下値試しの展開かもしれない。
ポンド円「ブル」
米雇用情勢の悪化を背景にリスク回避から130円台を示現したものの、下落して
いたNYダウや原油先物相場が堅調な展開になるとリスク回避姿勢が和らぎポンド
買いを誘った。参加者は辛抱強く下値で押し目を拾い「ブル」に。欧州時間に発
表された英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が予測を下回っており、直
近の英経済指標の悪化を受けて来週9日に開催される英金融政策委員会(MPC)で
の声明文が注目を集めそうだ。なお、金利面からみると英中央銀行(BOE)によ
る早期利上げ期待は後退しているため、ポンドは売り選好になろう。
豪ドル円「ブル」
NYダウや原油先物相場の下落に伴って、資源国通貨の豪ドルは売りが選好された
ものの、参加者は絶対的な金利差を背景に豪ドル買い意欲は旺盛で「ブル」を維
持。豪経済は、洪水の影響で事前に大幅悪化すると見られていた豪四半期国内総
生産(GDP)が予測と同程度だったこともあり、今後の持ち直しに向けて期待で
きるか。今週は7日に開催される豪準備銀行(RBA)による政策金利発表が注目に
なろう。今回の発表では政策金利は据え置かれるとの見通しとなっており、声明
文で今後の利上げ時期について、タカ派的な内容が読み取れるか注目したい。