FXレポート

今夜、米雇用統計発表!!予測から大振れなるか!?

昨日のドル円は序盤、内閣不信任決議案に対する政局不安を背景に円売り基調のなか、仲値に向けたドル買いも観測され81.319円まで上昇した。しかしその後、民主党代議士会で鳩山前首相が不信任案の否決に向けて民主党内で調整を行なったとの報道を受けて政局不安が後退したことから80.80円付近まで軟化した。欧州勢参入後には、前日のギリシャ格下げが意識され欧株式が下落すると、リスク回避の円買いが強まり下げ足を速めた。また、本会議で内閣不信任案が決議されて否決となったが、為替への影響は限定的であった。NY市場に入ると、新規失業保険申請件数が発表され42万2000件と市場予測の41万7000件から悪化したことを受けて、リスク回避の円買いが一段と強まり80.563円まで下押しに。しかしその後、NYダウや原油先物相場の下落を背景に資源国通貨の豪ドルの売りが進み、対豪ドルでのドルの上昇につれてドル円は81.00円まで回復したものの、81円台は維持できず、80.883円で取引を終えた。

ユーロ円は、本邦の政局不安を背景に円売りが先行し116.70円付近まで緩やかに上昇した。しかしその後、内閣不信任決議案が否決される可能性が高まったことにより、一転して円に買い戻しが入り反落。ただ、欧州市場に入ると、欧州高債務国として懸念されているスペインの3・4年物国債入札が順調に消化されたことが、市場に安心感を誘ったほか、トリシェECB総裁がユーロ圏財務省の創設を呼びかけたこともユーロのサポート材料となり117.15円付近まで上昇した。NY市場に入ると、弱い米経済指標を背景に荒い値動きになったものの、前述のサポート材料から117.226円で取引を終えた。

                           今日の展開

ドル円は、本日のNY時間に米経済指標のなかで注目度の高い雇用統計の発表を控えている。8日のADP雇用統計では市場予測の17.5万人から3.8万人と大幅に下回ったことから、非農業部門雇用者数変化の市場予測も下方修正し16.5万人となっている。市場は弱い結果を織り込んでいるが、予測の範囲内に収まればプラス要因と見れようか。ただし、下振れになった場合を想定し慎重な対応を心掛けたい。一方、円は内閣不信任案が午前中には賛成多数で可決されるものと見られていたが、本会議の直前に与党が土壇場で否決多数に回ったことから、野党は肩透かしくらった。だが、今回の騒動によって管総理の早期退任の可能性が高まっており、政局への不透明感を懸念される可能性が低くないことから円売り材料になろうか。

ユーロは、トリシェECB総裁が講演で「ユーロ圏財務省の創設を呼び掛ける」「ユーロ圏財務省は財政施策と金融セクターを監視する」「EUは場合によっては加盟国の財政政策に拒否権も」と発言しており、欧州各国の財政基盤を強化することで、欧州の財政問題への新たなセーフティーネットの役割を担えるか注目したい。だが、年初来から商品相場の上昇局面では、資源国通貨や欧州通貨が買われユーロにとってサポート材料になっていたが、米国の景気減速懸念の高まりを背景に商品相場の上昇が一服していることから、目先のユーロは調整局面となる可能性がありそうだ。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   79.50-83.00
ユーロ・円 115.50-118.50
ポンド・円 130.80-133.80

【今日の主な経済指標】
17:00 EUR  サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値) 5月
17:30 GBP  サービス部門購買担当者景気指数(PMI) 5月
21:30 USD  非農業部門雇用者数変化[前月比] 5月
21:30 USD  失業率 5月
23:00 USD  ISM非製造業景況指数(総合) 5月

≪2011年6月2日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
新規失業保険申請件数が下振れしたことでリスク回避の円買いドル売りが強まった
ものの、参加者は値ごろ感から「ブル」を維持。しかし、軟調な米経済指標を背景
に米格付け会社ムーディーズは「早ければ7月にも米国債を格下げする方向で見直
す」と発表した。そのため、米政府は財政赤字削減を掲げて野党と調整しているも
のの、合意には至っておらず、数週間以内に債務上限の引き上げが実施できなけれ
ば格下げされるものと見られているため注意が必要か。

ポンド円「ブル」
英建設業PMIの結果が市場予測を上回ったことをきっかけにポンド買いが強まり、
参加者も「買い」から入っているようだ。直近の英製造業やサービス業PMI等が市
場予測を下回っていたことから、英経済成長の鈍化懸念が高まりつつあっただけに
安心感が広がったとみられる。来週の9日には英中央銀行銀(BOE) による政策金
利発表を控えており、今回の発表では金利据え置きは確実と見られている。市場で
は次回の利上げは7月との思惑があるものの、直近の英経済指標を受けてBOEが態度
を硬化するとの見方もあり要人発言やニュース等を注視したい。

豪ドル円「ブル」
米経済指標の悪化を受けてNYダウや原油先物相場の下落を背景に、資源国通貨の豪
ドルに売りが選好されたものの、参加者は押し目買い意欲が旺盛で「ブル」を維持。
豪四半期国内総生産(GDP)は事前に織り込んでいたほど低下していなかったため、
悪材料の出尽くし感から豪ドル買いの妙味はあろうか。ただし、本日は米雇用統計
があることから結果を見極つつ株価や商品相場のリスク許容度の変化に注目したい。

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