FOMC議事録を受けドル円上昇!
昨日のドル円は、本邦企業によるスイス企業の買収観測が引き続き円売り要因として意識されたほか、日本の3月第3次産業活動指数は前月比-6.0%と予想の同-5.8%を下回ったことで81.50円付近へと上昇した。ただ、買い一巡後はM&A絡みの円売り需要の思惑は高まらず、利益確定の売りが優勢になったこともあり81.00円付近まで反落した。また、欧州市場序盤には英雇用統計が弱い結果になるとの噂や、英中銀金融政策委員会議事録で利上げ票が減少するとの噂もあり、ポンドを中心にクロス円が下落したことにつられ、一時80.939円付近まで下押しした。NY勢参加後は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を前にポジション調整に伴うドルの買い戻しが散見する場面もあったが、米経済指標発表などが無いことからその後は狭いレンジでのもみ合いが続いた。引けにかけて発表された4月26-27日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録だが「出口戦略の討議は引き締め接近を意味せず」との文言に反応し当初はドル売りで反応した。しかしその後は、過半数のメンバーは資産売却前に利上げを選択し、政策金利の柔軟性を確保との内容が示されたことで長期金利が上昇すると東京時間の高値を更新し81.713円まで上昇、堅調な地合いをキープし81.675円で取引を終えた。
ユーロ円は、東京市場序盤、日経平均やGLOBEXのNYダウ先物のほか、金、原油相場の上昇を受けたリスク選好の円売りが優勢のなか、ファンロンパイEU大統領が「ユーロは非常に強い通貨である」と発言したこともサポートになり、一時116.402円まで上昇した。欧州市場序盤には英雇用統計が弱い結果になるとの噂などを背景にポンド円が下落したことにつられ一時115.40円付近まで軟化する場面も見られたが、シュタルクECB理事が「ユーロ圏の回復は息が長い。景気刺激策はもはや必要ではない」との見解を示したことが好感されると、115円台後半まで反発した。NY勢参加後も米エネルギー省が発表した週間在庫統計で、原油在庫が予想に反して減少したことでWTI原油先物相場は1バレル100.95ドルまで上昇したほか、NYダウも底堅く推移したため、リスクを取りやすい地合いが続き116.00円付近の高値圏でもみ合ったが、3日続伸の116.278円で取引を終えている。
今日の展開
ドル円は、FOMC議事録が発表され過半数のメンバーが資産売却の前に政策金利を引き上げることが望ましいとの見解を示したほか、インフレに関しても一時的な加速としながらも上振リスクを一段と懸念していることが示されたことで米利上げ期待から堅調推移も考られよう。しかし、米経済指標をみると雇用関連が再び悪化していることや、製造業景気指数は2010年12月以来の低水準となったことに加え、米住宅関連指標と鉱工業生産も市場予想を下回る内容から米景気回復への鈍化懸念もあり、上昇余地も限定的となろうか。また、米ウォルマートの決算で米国内の売り上げがマイナスとなっているように、米国のGDPの約7割を占める個人消費が不調となっており、弱気のバイアスがかかるかもしれない。
ユーロ円は、本日発表される本邦第1四半期GDPの下振れ懸念や、日銀金融政策決定会合の政策発表を前に、円のロングを巻き戻す可能性が考えられ、円安傾向が継続される可能性は高いだろう。また、ストロスカーン氏の逮捕も個人的な資質との受け止め方が多く、国際通貨基金の機能や職責への影響はないとの見方が優勢か。テクニカル面でも日足一目均衡表の雲下限や5日移動平均線のしかかる114.80円付近の水準を維持できるようであれば、25日線のある118円付近までの期待感は高まろう。また、対ドルも今週月曜日に1.40477ドルをつけたあと反発に転じて1.42台まで回復しており、日足には陽線が3日連続して出現するなど下落の流れに一旦ブレーキが掛かったと考える事もできようか。
しかし、ギリシャ再編問題についてユーログループのユンケル議長は「ソフトな債務再編を行う可能性がある」との見解を表明している一方、ノボトニー・オーストリア中銀総裁は「ソフトな債務再編は選択肢に含まれていない」と述べ、EU当局者の温度差が浮き彫りとなっており、依然不透明感が残っている。また、独債券の10年債利回り格差ではポルトガルが6.06%、アイルランドが7.24%、ギリシャが12.68%と利回りが拡大するなど、PIIGS問題は潜在的なダウンサイドリスクをかかえていることは常に意識しておきたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.50-82.50
ユーロ・円 115.00-117.50
ポンド・円 131.00-134.00
【今日の主な経済指標】
13:30 JPY 鉱工業生産
17:30 GBP 小売売上高指数
21:30 USD 新規失業保険申請件数
23:00 USD 中古住宅販売件数
23:00 USD 景気先行指標総合指数
23:00 USD フィラデルフィア連銀製造業景気指数
≪2011年5月18日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
FOMC議事録での「過半数のメンバー、資産売却前に利上げを選択へ」との記述を受け、
FRBは引き締め政策から利上げを先行させる可能性が高いと解釈され「ブル」が圧倒し
た。テクニカル面では一目均衡表雲の中心に位置し上限82.50円付近、下限80.90円付
近のなかで膠着した状況が続く可能性がありボックス相場となった場合は、RSIを頼り
に逆張りを検討してみたい。ただ、強固なレジスタンスとして意識された25日移動平
均線のさしかかる81.60円付近を僅かに上抜けており、同水準でしっかりと値堅め出来
れば月27日高値82.779円までの反転の可能性も出てくるだろうか。
ポンド円「ブル」
4月英失業率は予想4.5%を上回る4.6%となり、4月英失業保険申請件数も12,400人増と
なったほか、英国4月の失業保険申請件数が悪化したことで一時130.771円まで軟化し
ている。脆弱な英ファンダメンタルから上値が抑えられる展開が予測されるが、参加者
は一昨日の4月英消費者物価指数の上振れを背景とした利上げ期待が根強く「強気」ス
タンスに変化はない。しかし、英消費者物価指数が前年比+5.0%に接近する中でも、英
中銀は低金利を維持する可能性が高い上、テクニカル面でも日足一目均衡表の基準線が
下向きとなっておりポンド円相場が崩れる可能性も否定できず、注意したい。
豪ドル円「ブル」
陽線引けとなって割高感もあるが、絶対的な金利差を背景に「ブル」は継続している。
しかし、豪経済指標がこのところ冴えない結果となっている上、豪準備銀行はインフレ
に楽観的で且つ景気に慎重な見方を示していることもあり、6月の豪利上げに関しては
急いでいないように思える。また、格付け機関のムーディーズが豪州の4大銀行の格付
けをAa2に引き下げたことや、中国の金融引き締め等引き続き豪ドルは調整ムードが続
きやすい地合いではないだろうか。
ユーロ円は、東京市場序盤、日経平均やGLOBEXのNYダウ先物のほか、金、原油相場の上昇を受けたリスク選好の円売りが優勢のなか、ファンロンパイEU大統領が「ユーロは非常に強い通貨である」と発言したこともサポートになり、一時116.402円まで上昇した。欧州市場序盤には英雇用統計が弱い結果になるとの噂などを背景にポンド円が下落したことにつられ一時115.40円付近まで軟化する場面も見られたが、シュタルクECB理事が「ユーロ圏の回復は息が長い。景気刺激策はもはや必要ではない」との見解を示したことが好感されると、115円台後半まで反発した。NY勢参加後も米エネルギー省が発表した週間在庫統計で、原油在庫が予想に反して減少したことでWTI原油先物相場は1バレル100.95ドルまで上昇したほか、NYダウも底堅く推移したため、リスクを取りやすい地合いが続き116.00円付近の高値圏でもみ合ったが、3日続伸の116.278円で取引を終えている。
今日の展開
ドル円は、FOMC議事録が発表され過半数のメンバーが資産売却の前に政策金利を引き上げることが望ましいとの見解を示したほか、インフレに関しても一時的な加速としながらも上振リスクを一段と懸念していることが示されたことで米利上げ期待から堅調推移も考られよう。しかし、米経済指標をみると雇用関連が再び悪化していることや、製造業景気指数は2010年12月以来の低水準となったことに加え、米住宅関連指標と鉱工業生産も市場予想を下回る内容から米景気回復への鈍化懸念もあり、上昇余地も限定的となろうか。また、米ウォルマートの決算で米国内の売り上げがマイナスとなっているように、米国のGDPの約7割を占める個人消費が不調となっており、弱気のバイアスがかかるかもしれない。
ユーロ円は、本日発表される本邦第1四半期GDPの下振れ懸念や、日銀金融政策決定会合の政策発表を前に、円のロングを巻き戻す可能性が考えられ、円安傾向が継続される可能性は高いだろう。また、ストロスカーン氏の逮捕も個人的な資質との受け止め方が多く、国際通貨基金の機能や職責への影響はないとの見方が優勢か。テクニカル面でも日足一目均衡表の雲下限や5日移動平均線のしかかる114.80円付近の水準を維持できるようであれば、25日線のある118円付近までの期待感は高まろう。また、対ドルも今週月曜日に1.40477ドルをつけたあと反発に転じて1.42台まで回復しており、日足には陽線が3日連続して出現するなど下落の流れに一旦ブレーキが掛かったと考える事もできようか。
しかし、ギリシャ再編問題についてユーログループのユンケル議長は「ソフトな債務再編を行う可能性がある」との見解を表明している一方、ノボトニー・オーストリア中銀総裁は「ソフトな債務再編は選択肢に含まれていない」と述べ、EU当局者の温度差が浮き彫りとなっており、依然不透明感が残っている。また、独債券の10年債利回り格差ではポルトガルが6.06%、アイルランドが7.24%、ギリシャが12.68%と利回りが拡大するなど、PIIGS問題は潜在的なダウンサイドリスクをかかえていることは常に意識しておきたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.50-82.50
ユーロ・円 115.00-117.50
ポンド・円 131.00-134.00
【今日の主な経済指標】
13:30 JPY 鉱工業生産
17:30 GBP 小売売上高指数
21:30 USD 新規失業保険申請件数
23:00 USD 中古住宅販売件数
23:00 USD 景気先行指標総合指数
23:00 USD フィラデルフィア連銀製造業景気指数
≪2011年5月18日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
FOMC議事録での「過半数のメンバー、資産売却前に利上げを選択へ」との記述を受け、
FRBは引き締め政策から利上げを先行させる可能性が高いと解釈され「ブル」が圧倒し
た。テクニカル面では一目均衡表雲の中心に位置し上限82.50円付近、下限80.90円付
近のなかで膠着した状況が続く可能性がありボックス相場となった場合は、RSIを頼り
に逆張りを検討してみたい。ただ、強固なレジスタンスとして意識された25日移動平
均線のさしかかる81.60円付近を僅かに上抜けており、同水準でしっかりと値堅め出来
れば月27日高値82.779円までの反転の可能性も出てくるだろうか。
ポンド円「ブル」
4月英失業率は予想4.5%を上回る4.6%となり、4月英失業保険申請件数も12,400人増と
なったほか、英国4月の失業保険申請件数が悪化したことで一時130.771円まで軟化し
ている。脆弱な英ファンダメンタルから上値が抑えられる展開が予測されるが、参加者
は一昨日の4月英消費者物価指数の上振れを背景とした利上げ期待が根強く「強気」ス
タンスに変化はない。しかし、英消費者物価指数が前年比+5.0%に接近する中でも、英
中銀は低金利を維持する可能性が高い上、テクニカル面でも日足一目均衡表の基準線が
下向きとなっておりポンド円相場が崩れる可能性も否定できず、注意したい。
豪ドル円「ブル」
陽線引けとなって割高感もあるが、絶対的な金利差を背景に「ブル」は継続している。
しかし、豪経済指標がこのところ冴えない結果となっている上、豪準備銀行はインフレ
に楽観的で且つ景気に慎重な見方を示していることもあり、6月の豪利上げに関しては
急いでいないように思える。また、格付け機関のムーディーズが豪州の4大銀行の格付
けをAa2に引き下げたことや、中国の金融引き締め等引き続き豪ドルは調整ムードが続
きやすい地合いではないだろうか。