ドル円は81円台に定着できるか!?
昨日のドル円だが、東京市場序盤は日本の3月国際収支に震災の影響が表れ、前年同月比で黒字額が-77.9%と大幅に減少したことを材料に円が売られる展開となり81.266円へと前日高値を小幅に上回る水準まで上昇した。ただ、買いの勢いは続かず、日経平均が前日比-147円と軟調に推移したほか、原油先物も上げ幅を縮小させるとリスク回避の円買い戻しが優勢となり、東京市場終盤には81.00円付近へと軟調な値動きとなった。欧州時間では、NYダウ先物や英・独の株価の下げ幅拡大を背景にリスク回避の円買いが散見するとクロス円が売られ、つれる形でドル円も下落すると、サポートして意識されていた一目均衡表の雲下限80.85円を下抜けたため、一時80.711円まで弱含んだ。NY市場では複数の経済指標が発表され、米卸売物価指数は(結果+0.8%予測+0.6%)より強い結果となったものの、新規失業保険申請件数(結果43.4万件・予想43.0万件)小売売上高(結果+0.5%予想+0.6%)が弱い内容だったため、全般的にはまちまちの内容となり、大きな影響は見られなかった。ただ、引けにかけて米30年債入札が不調に終わったことで米債券が売りが優勢になり米10年債利回りは3.155%まで上昇するとドル円も小幅に反発し80.950円で取引を終えた。
ユーロ円は、欧州債務懸念の高まりや株安・商品安を背景にユーロ売りが優勢となったNY市場の流れが一服した中、東京市場では大幅下落の反動に加え、日経平均の下げ渋りや、NY原油先物の持ち直しを背景に円がやや売り戻される展開となり、115.65円付近まで上昇。しかし、その後は豪雇用統計の冴えない結果を受けクロス円の上値が抑えられると、日経平均をはじめアジア株が下げ幅を拡大し、原油先物も上げ幅を吐き出す動きとなったことが嫌気され、114.95円付近へと下落する展開となった。欧州勢参入後も、ユーロ圏鉱工業生産指数が市場予想よりも弱い結果となったほか、商品相場や欧州株、時間外の米株価指数先物などが大きく下落するなど投資家がリスク回避姿勢を強めるとの見方が拡大し、一時114.174円まで下値を拡大した。ただNY市場に移ると一転、金や原油が買い戻され、安く始まったNYダウがプラス圏に浮上したためリスク志向が回復したほか、ECB理事会メンバーのクーン・ベルギー中銀総裁が「4月の利上げが1回とは限らない」などと述べたこともユーロ買い材料とみなされて一時115.60円付近まで反発した。ただ、買い一巡後に商品相場やNYダウの上昇が一服したため小幅に反落し115.316円で取引を終えた。
今日の展開
ドルは、欧州の信用不安再燃を受けて米長期金利が低下しているため、積極的に買いづらい一方、円も東日本大震災の影響で貿易黒字が大幅に縮小したことで円買いの実需が減るとの思惑もあり、ドル円は方向感が出しにくい状況と言えよう。ただ、テクニカル面では方向性を示す一目均衡表の基準線は引き続き横ばいとなっているものの、5日間移動平均線のさしかかる80.70円付近や一目均衡表の雲下限80.85円付近ではしっかりとサポートされていることから下値が固まってきたようだ。同水準で値固めができた場合は、フィボナッチ76.180円→85.518円の61.8%戻しとなる81.950円付近や、25日(81.85)75日(82.20)200日(82.90)といった3本の移動平均線を試しに行く動きもあろうか。ただ、上記5日間移動平均線や一目均衡表の雲下限を下抜けた場合はドル売りシグナルとなり、80.00円を再び目指す可能性も否定できず油断は禁物だろう。
ユーロの動向だが、ギリシャの債務問題についてドイツが支援に懸念を示しているほか、様々な情報が錯綜しており、現段階で明確なシナリオは描きづらく、16日のユーロ圏財務相会合まではニュース報道や、要人発言等に一喜一憂が続くだろう。ただ、ギリシャの債務カットやユーロ圏離脱といった強硬策はギリシャにとってもユーロ圏にとっても失うものが大きいことから最悪の自体は回避されるものと考えることもできる。好調なドイツ経済指標やユーロ圏インフレ率の高まり土台にしたユーロ反転も想定されるため、安値圏ではリバウンド狙いのロングポジションも検討してみたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.50-82.00
ユーロ・円 114.50-116.00
ポンド・円 130.00-133.00
【今日の主な経済指標】
15:00 DEM 国内総生産
16:15 CHF 生産者輸入価格
18:00 EUR 四半期域内総生産
21:30 USD 消費者物価指数
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数
≪2011年5月12日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
特に材料が出たわけではないが、市場には円の先安観が色濃く残っており「ブル」
となっている。注目された小売売上高や新規失業保険申請件数は共に弱い内容とな
っており、ドルの強気材料は見当たらないが、ヘッジファンドは依然としてドルの
ショートポジションを大量に保有しており、思惑的な買いが入る可能性はあるだろ
う。また、テクニカル面でも4月初の高値以降の下降トレンドラインを上抜け、一
目均衡表の雲の下限も持ち直し傾向にあり、下振れリスクはやや後退しているとみ
る事も出来ようか。
ポンド円「ブル」
英鉱工業生産指数が前月比+0.3%と予想の同+0.8%を下回ったほか、英製造業生産
高も下振れしたことを受けRSI:9は30%を下回るなど押し目買いが優勢となり「ブ
ル」となっている。前日のキング英中銀総裁の会見は早期の利上げ期待を高める内
容となったが、同総裁は依然として英景気の先行きに慎重な見方を崩しておらず、
現段階で利上げが近いとみるのは時期尚早だろう。また、欧州信用不安の再燃から
ECBの利上げ観測を背景に積み上がっていた欧州通貨買いポジション解消の動きも
払拭できないことから、一本調子には買い進みづらいだろう。
豪ドル円「ブル」
中国人民銀行が5月18日から預金準備率を0.50%引き上げると発表したほか、4月豪
雇用統計で雇用者数変化が予想1.7万人を大きく下回る-2.21万人と予想外の結果と
なり85円台まで下落する展開となった。参加者は高い金利水準を背景に「強気」ス
タンスを崩してはいないが、短期的なサポートとして期待された5日間移動平均線
のさしかかる86.58円を割り込んでおりテクニカル的な地合いは悪化している。ま
た、金・原油相場は調整局面となっており、資源国通貨を見切り売りする動きが強
まれば大台85円割れや、5月5日安値84.308円が意識される展開も考えられよう。
ユーロ円は、欧州債務懸念の高まりや株安・商品安を背景にユーロ売りが優勢となったNY市場の流れが一服した中、東京市場では大幅下落の反動に加え、日経平均の下げ渋りや、NY原油先物の持ち直しを背景に円がやや売り戻される展開となり、115.65円付近まで上昇。しかし、その後は豪雇用統計の冴えない結果を受けクロス円の上値が抑えられると、日経平均をはじめアジア株が下げ幅を拡大し、原油先物も上げ幅を吐き出す動きとなったことが嫌気され、114.95円付近へと下落する展開となった。欧州勢参入後も、ユーロ圏鉱工業生産指数が市場予想よりも弱い結果となったほか、商品相場や欧州株、時間外の米株価指数先物などが大きく下落するなど投資家がリスク回避姿勢を強めるとの見方が拡大し、一時114.174円まで下値を拡大した。ただNY市場に移ると一転、金や原油が買い戻され、安く始まったNYダウがプラス圏に浮上したためリスク志向が回復したほか、ECB理事会メンバーのクーン・ベルギー中銀総裁が「4月の利上げが1回とは限らない」などと述べたこともユーロ買い材料とみなされて一時115.60円付近まで反発した。ただ、買い一巡後に商品相場やNYダウの上昇が一服したため小幅に反落し115.316円で取引を終えた。
今日の展開
ドルは、欧州の信用不安再燃を受けて米長期金利が低下しているため、積極的に買いづらい一方、円も東日本大震災の影響で貿易黒字が大幅に縮小したことで円買いの実需が減るとの思惑もあり、ドル円は方向感が出しにくい状況と言えよう。ただ、テクニカル面では方向性を示す一目均衡表の基準線は引き続き横ばいとなっているものの、5日間移動平均線のさしかかる80.70円付近や一目均衡表の雲下限80.85円付近ではしっかりとサポートされていることから下値が固まってきたようだ。同水準で値固めができた場合は、フィボナッチ76.180円→85.518円の61.8%戻しとなる81.950円付近や、25日(81.85)75日(82.20)200日(82.90)といった3本の移動平均線を試しに行く動きもあろうか。ただ、上記5日間移動平均線や一目均衡表の雲下限を下抜けた場合はドル売りシグナルとなり、80.00円を再び目指す可能性も否定できず油断は禁物だろう。
ユーロの動向だが、ギリシャの債務問題についてドイツが支援に懸念を示しているほか、様々な情報が錯綜しており、現段階で明確なシナリオは描きづらく、16日のユーロ圏財務相会合まではニュース報道や、要人発言等に一喜一憂が続くだろう。ただ、ギリシャの債務カットやユーロ圏離脱といった強硬策はギリシャにとってもユーロ圏にとっても失うものが大きいことから最悪の自体は回避されるものと考えることもできる。好調なドイツ経済指標やユーロ圏インフレ率の高まり土台にしたユーロ反転も想定されるため、安値圏ではリバウンド狙いのロングポジションも検討してみたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.50-82.00
ユーロ・円 114.50-116.00
ポンド・円 130.00-133.00
【今日の主な経済指標】
15:00 DEM 国内総生産
16:15 CHF 生産者輸入価格
18:00 EUR 四半期域内総生産
21:30 USD 消費者物価指数
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数
≪2011年5月12日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
特に材料が出たわけではないが、市場には円の先安観が色濃く残っており「ブル」
となっている。注目された小売売上高や新規失業保険申請件数は共に弱い内容とな
っており、ドルの強気材料は見当たらないが、ヘッジファンドは依然としてドルの
ショートポジションを大量に保有しており、思惑的な買いが入る可能性はあるだろ
う。また、テクニカル面でも4月初の高値以降の下降トレンドラインを上抜け、一
目均衡表の雲の下限も持ち直し傾向にあり、下振れリスクはやや後退しているとみ
る事も出来ようか。
ポンド円「ブル」
英鉱工業生産指数が前月比+0.3%と予想の同+0.8%を下回ったほか、英製造業生産
高も下振れしたことを受けRSI:9は30%を下回るなど押し目買いが優勢となり「ブ
ル」となっている。前日のキング英中銀総裁の会見は早期の利上げ期待を高める内
容となったが、同総裁は依然として英景気の先行きに慎重な見方を崩しておらず、
現段階で利上げが近いとみるのは時期尚早だろう。また、欧州信用不安の再燃から
ECBの利上げ観測を背景に積み上がっていた欧州通貨買いポジション解消の動きも
払拭できないことから、一本調子には買い進みづらいだろう。
豪ドル円「ブル」
中国人民銀行が5月18日から預金準備率を0.50%引き上げると発表したほか、4月豪
雇用統計で雇用者数変化が予想1.7万人を大きく下回る-2.21万人と予想外の結果と
なり85円台まで下落する展開となった。参加者は高い金利水準を背景に「強気」ス
タンスを崩してはいないが、短期的なサポートとして期待された5日間移動平均線
のさしかかる86.58円を割り込んでおりテクニカル的な地合いは悪化している。ま
た、金・原油相場は調整局面となっており、資源国通貨を見切り売りする動きが強
まれば大台85円割れや、5月5日安値84.308円が意識される展開も考えられよう。