FXレポート

日米欧、金融緩和長期化か!?米雇用統計に注目!!

昨日のドル円は、ゴールデンウィークで取引参加者が減少していることから東京市場では動意は薄く80.60円前後での方向感に乏しい値動きとなった。欧州市場に入ると、英サービス部門購買担当者景気指数が発表され市場予想を下回ると、英景気先行き懸念の高まりから英利上げ期待も後退しポンド円が下落。つられる形でドル円も79.562円まで下落した。また、その後の英国と欧州の金利発表は、いずれも市場予想通りの据え置きとなりドル円への影響は限定的となった。NY市場では、米新規失業保険申請件数や四半期非農業部門労働生産性が発表されたが、強弱まちまちの結果となったことを受けて、米10年債利回りが下げ幅を縮小したことから日米金利格差の縮小を意識した買いが強まり80.35円付近まで上昇した。引けにかけてはポジション調整の売りが散発的にみられ小幅に下落し、80.191円で取引を終え、3営業日続落となった。

ユーロ円は、欧州時間に発表されるイングランド銀行金融政策委員会(BOE)と欧州中央銀行(ECB)理事会の金利動向を見極めたいとの思惑から様子見ムードが強く、東京市場では119.60円付近で推移した。欧州勢参入後には、弱い英経済指標を背景にリスク回避型の円買いが強まり、一時118円を割れる展開に。その後、英国と欧州の金利発表は予想通りの据え置きとなったものの、トリシェECB総裁が政策金利発表後の会見で「ユーロ圏の経済基調は前向きだが、不透明性は高まった」と発言し、次月の利上げを示唆する「強い警戒」という表現も使われなかったことから早期利上げ観測が後退しユーロ売りが優勢となった。NY市場に入っても、NYダウ平均の大幅下落を背景に、投資家のリスク回避姿勢を強め円買いが一段と活発化したことから、ユーロ円は前日比-2.888円となる116.576円まで続落し取引を終えた。

                             今日の展開

ドル円は、米新規失業保険申請件数が47.4万件と市場予想の41万件を下回るなど、今週に入ってから弱い米経済指標が続いており、米景気の先行き懸念の高まりからドル売りに傾きやすい状況となっている。本日の雇用統計では、非農業部門雇用者数変化が18.5万人、米失業率は8.8%と予想されているものの、予想を下回る結果になった場合は、米国の金融緩和政策が長期化するとの見方が強まり、ドル売りが一層加速する可能性が高いと考えられる。

一方で、昨日の最安値79.562円は主要7カ国(G7)が協調介入を実施した3月18日以来の水準となってるため、為替介入に対する警戒感が浮上している。しかし、野田財務相は「円の上昇は3月18日の時とは違う」、「円の上昇はドルの弱さから生じたものだ」などと発言していることから、即時介入に対してはやや消極的な姿勢となっている。ドル売りが加速した場合には78円台を下回る可能性も否定できないため、下値には十分な注意が必要だ。

ユーロは、トリシェECB総裁が声明でインフレに関してこれまで通り注意深く監視するとしたものの、「強い警戒感」の文言を外したうえ、6月の利上げに対しても慎重な発言をしたことからも、早期利上げ期待が大きく後退しユーロ売りが活発化している。ただ、7月利上げについては含みを持たせた状況となっており大きく売り込まれた反動から、強く買い戻される場面も見られそうだ。7月利上げに向けてユーロ圏内における経済格差や救済措置をめぐる政治的な動向によりトリシェ総裁や要人発言には一層強い注目が集まるものと思われる。インフレ加速が懸念される中、2011年の景気見通しが下方修正されたギリシャ、ポルトガル、アイルランド等への財政支援策とその効果に対する期待感がユーロ相場の動向を大きく左右する状況が続きそうだ。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   79.00-81.00
ユーロ・円 115.00-119.00
ポンド・円 130.00-134.00

【今日の主な経済指標】
14:45 CHF  失業率 4月
15:45 FRF  貿易収支 3月
15:45 FRF  財政収支 3月
17:30 GBP  卸売物価指数(食品、エネルギー除くコアPPI)[前年同月比] 4月
19:00 DEM  鉱工業生産[前月比] 3月
20:00 CAD  新規雇用者数 4月
20:00 CAD  失業率 4月
21:30 USD  非農業部門雇用者数変化[前月比] 4月
21:30 USD  失業率 4月
04:00 USD  消費者信用残高[前月比] 3月

≪2011年5月5日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
リスク回避姿勢が鮮明となり原油や金といった商品相場が急落したことを背景に
円買いが先行。しかし、参加者は80円割れ水準では割安感もあり「ブル」を維持。
本日はゴールデンウィークが明けて東京勢が参入することから、今夜の米雇用
統計を前に、ポジション調整目的の突発的な動きには警戒を強めておきたい。

ポンド円「ブル」
英サービス部門購買担当者景気指数が54.3と市場予想の56.0を下回りポンド売り
が強まったものの、4日に米格付け会社S&Pが「今後3ヵ月以内の英中銀(BOE)によ
る利上げはほぼ確実」との発表が意識され、参加者は「強気」な姿勢を維持。今回
の金利発表は市場予想通り0.50%となっているものの、今週に入って発表された
英国の製造業購買担当者景気指数や建設業購買担当者景気指数などがいずれも予
想を下回ったことから、英景気の下振れ懸念も高まってきており、強き一辺倒に
はいかないと考えられよう。

豪ドル円「ブル」
原油相場が1バレル=100ドル割れとなるなど商品相場の大幅下落を受けて、豪ド
ル円は前日比-1.739円と大幅安となったものの参加者は「ブル」を堅持している。
200日移動平均線が位置する84.45円付近で下落が止まれば良い買い場となるかも
しれない。

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