FXレポート

クロス円に調整売り!押し目での買い意欲高まるか!?

ドル円は、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)副議長が米金融政策に対してハト派的な発言をしたこと受け、ドル売りが優勢となったNY市場の流れ引き継ぐなか、東京市場序盤に東北地方で起こった地震をきっかけにリスク回避姿勢が高まり、円買いが先行すると84.20円付近へと下落した。その後も、福島原発事故の評価がレベル7に正式に引き上げられたことが発表されるなど、同原発を巡る不透明感から日経平均、GLOBEX のNYダウ先物が下げ幅を拡大するとリスク回避の円買いが一段と高まり、84円台割れへと軟化。さらに東京電力が「放射性物質漏れが続いており、放出量がチェルノブイリを超える可能性がある」との見解を示したことを受けて円買いが一段と加速すると、一時83.466円まで下値を拡大した。売り一巡後は200日移動平均線が下値の目処として意識されたことに加えて、市場参加者からの押し目買いも散見し、欧州市場では84.30円付近まで値を戻した。しかしNY勢参加後は米企業決算発表が本格化するなか業績懸念を背景としたNYダウの下落が下押し要因となり、再び83円台まで反落。また、引けにかけ米3年債入札が行われたが、質への逃避から安全資産の米国債が物色され米長期金利が徐々に低下幅を拡大したことやダドリーNY連銀総裁が「米第1四半期経済成長率は3%以下とやや失望的な見通し」とハト派的なコメントをしたことも重石となり4日続落の83.563円で取引を終えている。

ユーロ円は、東京市場序盤に東北・関東地方で発生した余震とみられる地震を受け、リスク回避に伴う買いポジション解消の動きが先行すると121.80円付近で弱含みとなった。更に福島原発事故の評価がレベル7に正式に引き上げられるなどリスク回避ムードが続くなか、GLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を拡大すると一時120.150円まで下値を伸ばした。欧州勢が本格的に参入すると欧州中央銀行(ECB)が利上げを続けるとの観測がユーロの下支えしたほか、温家宝中国首相が「中国はスペイン国債の購入を継続するだろう」などと述べたことを受け、121.75円付近まで反発した。ただ、引けにかけNYダウや商品相場が急落したことで、リスク許容度が一段と低下し前日比マイナス1.171円の120.981円まで下落して取引を終えている。

                                          今日の展開

ドル円は、ダドリーNY連銀総裁のハト派的な発言を受け、QE2は予定通り6月末に完遂との見方が多勢を占めつつあり、金利面でのドルの買い妙味は低下している。また、米国のQE2早期終了と「出口戦略」期待が後退するなか、米10年国債利回りも低下しており、ドル円は調整局面に入った可能性も否めない。一方、日本では日銀の国債引き受けは見送られる見通しとなり、財政規律の喪失による円売りは下火となっているほか、原発事故の深刻化や相次ぐ余震を警戒して市場のリスク回避ムードも高まりやすい状況となっていることから、短期的にはリスク回避の円買いが散見するかも知れない。ただし、日本も安全とは言い難いことから、リスク回避の円買いにも限度があるとみる。また、日本は生産や輸出が停滞することにより、一時的なマイナス成長に陥る可能性が高まっている上、放射能漏れ事故の深刻化が外国投資家の日本売りにつながる可能性も排除できないことから、中・長期的には円の下落余地は大きいだろう。テクニカル面でも日足一目均衡表を見ると転換線が基準線を大きく上回っていることから依然上昇トレンドと確認でき、方向性を示す基準線も80.90円付近を維持する横ばいとなっておりドル円相場が崩れるシグナルは出ていない。仮にポジション調整による下落局面では慎重に買い場を探してみたい。

ユーロ円は、欧州中央銀行(ECB)の断続的な利上げにより、現在債務問題で苦しんでいるポルトガル・アイルランド・ギリシャが耐えられないとの懸念されているほか、テクニカル面でも行き過ぎた感のあるユーロロング・円ショートの調整が出やすいだろう。しかし、欧州高債務国の問題は課題ではあるが、中期的にはEU/IMFの金融支援が動き始めたことで、信用不安も収束に向かうとみたい。また、レベル7の放射能漏れが続く福島原発近くで強い余震が多発し、事故収拾の目処も立っていない上、日銀の金融緩和長期化観測を背景とした日欧金融政策スタンス格差もあり、今後はリスク回避の円買いに疑問が残る。そのため、下落はテクニカル的な調整の範囲内にとどまる可能性が高く、2011年3月安値106.071円と2009年5月高値139.264円の半値戻しである122.90円付近を目指す展開となろう。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   83.00-85.00
ユーロ・円 119.50-123.00
ポンド・円 135.00-138.00

【今日の主な経済指標】
15:00 DEM  生産者物価指数
16:15 CHF  生産者輸入価格
17:30 GBP  失業保険申請件数
17:30 GBP  失業率
18:00 EUR  鉱工業生産
20:00 USD  MBA住宅ローン申請指数
21:30 USD  小売売上高
23:00 USD  企業在庫
03:00 USD  米地区連銀経済報告(ベージュブック)     

≪2011年4月12日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
原発事故や余震の報道ではリスク回避の円買いとなっているものの、参加者は
リスクの震源である円は買いにくく「ブル」が優勢となっている。シカゴIMM通
貨先物ポジションをみると3月の急激な円高により大量の円ロングポジションが
一気に解消され、ショートポジション3万枚もたまっており、調整目的で円が買
い戻される可能性も否定できない。下値の目処は200日移動平均線のさしかかる
83.30円付近とし、そこで下げ止まらなければ日足一目均衡雲上限82.50円付近
までは下値余地を広げておきたい。

ポンド円「ブル」
3月英消費者物価指数(前年比予想:4.4% 結果:4.0%)の予想を下回る結果
を受け、135円台を示現するまで下落した。今回の消費者物価指数の結果は、予
想を大きく下回るものとなり、利上げ観測が後退するかたちとなったが、依然
BOEが定めるインフレ目標(2.0%)を大きく上回っており、参加者は一時的な
下落とみて「強気」スタンスは維持となった。本日は17:30から失業保険申請件
数(予想:-0.3万人)や失業率(予想:4.5%)の発表が控えており、市場の関
心が英早期利上げに集まるなか、仮に失業率が4.5%を下回れば、早期の利上げ
期待が再燃しバイアスは強気となるだろう。また、今週14日に予定されている
G7・中央銀行総裁会議でも野田財務相からG7各国に対し協調介入姿勢の継続が
要請される可能性も高いことから、下落局面でも買い場を探してみたい。

豪ドル円「ブル」
福島第1原発事故の国際的評価が最悪のレベル7に引き上げられたことをきっか
けに、円で調達した資金を高金利通貨に替えて運用するキャリートレードが散
見して「ブル」となっている。株式市場・商品相場・円安の調整を受けて、目
先は上値が重い展開が予想されるものの、日米の低金利長期化観測が強まりや、
欧州ソブリンリスクなどが懸念されると消去法で豪ドルが物色される可能性は
高いだろう。また、下値ではG7協調介入への警戒感が根強くサポートしており、
追加金融緩和方針を打ち出す日本に対するキャリートレード意欲が継続されれ
ば、昨日下落した分は巻き戻される可能性が高いとみる。

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