米国の「出口戦略」に向けて、要人発言に注目!
金曜日のドル円は序盤、実質5・10日とあって仲値に向けてドル需要が高まるなか、邦銀の買い観測を背景にドル円は強含みで推移。しかし、オバマ米大統領が米予算案ついて成立が難航しているとの報道が伝わると、市場は暫定予算の期限切れにより一部政府機関が閉鎖されることを懸念、次第にドル売りが強まり85円割れる場面も見られた。欧州勢参入後は、GLOBEXのNYダウ先物や欧州株式の堅調推移を背景にリスク選好型の円売りが優勢になったことから、85.25円付近まで持ち直したものの、米予算協議難航が重荷となっていることから明確な方向感は見えず膠着状態が続いた。その後、NY市場にかけて一時85.386円まで小幅に上昇した場面が見られたものの、引き続き米予算案成立への懸念が強まったことから再びドル売りが優勢となり84.681円まで下落、84.758円で取引を終えた。
ユーロ円は、トリシェECB理事の発言により金利先高感が後退したものの、今後の利上げについては含みを持たせたことから東京市場序盤から堅調に推移した。その後、「米予算について協議が難航している」との報道が伝わると、ユーロドルでのドル売りが波及しユーロ円は122.60円付近まで上昇した。NY市場に入ると、米予算案について与野党の対立により協議が長引いていたことからドル売り圧力が強まるとユーロドルが上昇し、つられてユーロ円は123.071円の一段高となった。しかし、買い一巡後は利益確定の売りに押されたほか、ここ最近の円安に対するポジション調整の円買いが強まり122.265円まで軟化。引けにかけて、ECBの金利先高感が意識されたほか、下値での押し目買いが断続的に入ったことで122.667円まで戻し取引を終えた。
今週の展開
ドル円は、引き続き米国の「出口戦略」に対する動向が注目されようか。先週5日の連邦公開市場委員会(FOMC3月15日開催)の議事録によると、メンバーは6,000億ドルの米国債購入プログラムが終了する6月以降の金融政策の道筋について見解が分かれていた。今週はタカ派のコチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁、プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されている一方、ハト派のダドリー・ニューヨーク連銀総裁、エバンズ・シカゴ連銀総裁の講演も予定されており、総じてタカ派寄りの発言になればドル買いが強まりそうだ。米経済指標としては、貿易収支、月次財政収支(12日)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、小売売上高(13日)、卸売物価指数(14日)、消費者物価指数、NY連銀製造業景気指数、ミシガン大学消費者態度指数(15日)などが発表される。また、14日からG20・G7財務相・中央銀行総裁会議がワシントンで開催されることになっており、震災による為替相場への影響について、各国がどのような見解を示すか注目したい。
ユーロ円は、7日にECB政策金利が0.25%利上げされ、トリシェECB総裁の記者会見の中で追加利上げを否定しない発言をしたことから、今週も引き続き各国の出口戦略及び金利差がテーマになろうか。今週の15日に3月ユーロ圏消費者物価指数の発表を控えており、市場予想が前年比2.6%となっている。上振れになれば連続利上げ期待が高まりユーロ買いで反応することが予想される。また、欧州各国を取り巻くソブリンリスクは、ポルトガルがEUや国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請したことを背景に不透明感が和らいでいるうえ、株高や日欧金利差を意識したユーロ買いも期待できることから、安値圏では押し目買いスタンスとしたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 84.00-88.00
ユーロ・円 120.00-128.00
ポンド・円 135.00-141.00
【今週の主な経済指標】
4月11日
8:50 JPN 機械受注(前月比/前年比)
4月12日
8:01 GBR RICS住宅価格
8:50 JPN 日銀金融政策決定会合議事要旨
15:00 GER 消費者物価指数(確報値)(前月比/前年比)
17:30 GBR 貿易収支
17:30 GBR 消費者物価指数(前月比/前年比)
17:30 GBR 消費者物価指数(コア)(前年比)
17:30 GBR 小売物価指数(前月比/前年比)
17:30 GBR 小売物価指数(コア)(前年比)
18:00 EUR ZEW景況指数
18:00 GER ZEW景況感調査
21:30 CAN 新築住宅価格指数(前月比)
21:30 USA 貿易収支
21:30 CAN 貿易収支
21:30 USA 輸入物価指数(前月比/前年比)
22:00 CAN 加中銀(BOC)政策金利発表
4月13日
17:30 GBR 失業率 / 失業保険申請件数
18:00 EUR 鉱工業生産(前月比/前年比)
21:30 USA 小売売上高(前月比) / 小売売上高(除自動車)(前月比)
4月14日
3:00 USA ベージュブック(地区連銀経済報告)-公表
7:45 NZL NZ・小売売上高(前月比) / NZ・小売売上高(コア)(前月比)
8:01 GBR ネーションワイド消費者信頼感
21:30 USA 生産者物価指数(前月比/前年比)
21:30 USA 生産者物価指数(コア)(前月比/前年比)
21:30 USA 新規失業保険申請件数(前週分)
4月15日
13:30 JPN 鉱工業生産(確報値)(前月比/前年比)
18:00 EUR 消費者物価指数(前月比/前年比)
18:00 EUR 消費者物価指数(コア)(前年比)
18:00 EUR 貿易収支
21:30 USA NY連銀製造業景気指数
21:30 USA 消費者物価指数(前月比/前年比)
21:30 USA 消費者物価指数(コア)(前月比/前年比)
22:00 USA 対米証券投資収支
22:15 USA 鉱工業生産(前月比)
22:15 USA 設備稼働率
22:55 USA ミシガン大学消費信頼感指数(速報値)
≪2011年4月8日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米予算案の協議が難航したことによりドルが売り込まれたものの、震災の影響で日本の
低金利が長期化し円安傾向が続くとの見方から、参加者は「強気」な姿勢を維持。また、
新年度入りの外債投資による買いも観測された他、下値では日米金利差の拡大を意識し
たドル買いが散見されており、今週も堅調な推移が期待できようか。本日は、おもな米
経済指標が無いなど取引材料が乏しいことから、株式市場や米長期金利の動向に注視し
つつ、米国の「出口戦略」に関するニュースや要人発言等に注意したい。
ポンド円「ブル」
英卸売物価指数が3.0%と予想の2.9%を上回ったことを受けて、BOEの利上げ先高観が
強まり2010年5月6日以来となる140円台を示現。買いが一巡すると利益確定の売りやポ
ジション調整の売りも加わり急落したものの、安値水準では押し目買い意欲が強く、参
加者も「ブル」を維持。BOEの政策金利について、早期利上げ期待は引き続き高いもの
の、足元の英経済が弱いことから強気一辺倒にはいかないと考えられる。今週は12日小
売物価指数、消費者物価指数、13日失業率などの英経済指標が発表されることから、強
い内容であればポンド買い、弱い内容であった場合は利上げ期待が後退し失望売りにな
ろうか。
豪ドル円「ブル」
東日本大震災やリビア情勢等で不透明感が増す中、金や原油などの商品相場が底堅い動
きとなったことから資源国通貨買いが強まった。押し目らしい押し目も無く急上昇した
豪ドル円だが、参加者も強い上昇トレンドと見て「強気」な姿勢を維持した。今週は、
新年度の外債投資やキャリートレードの動きが活発化し高金利通貨の豪ドルに買いが優
勢になろうか。また、豪準備銀行は6月までに利上げに踏み切るとの見方もあり、豪ド
ル買いの強気スタンスを継続してもいいだろう。
ユーロ円は、トリシェECB理事の発言により金利先高感が後退したものの、今後の利上げについては含みを持たせたことから東京市場序盤から堅調に推移した。その後、「米予算について協議が難航している」との報道が伝わると、ユーロドルでのドル売りが波及しユーロ円は122.60円付近まで上昇した。NY市場に入ると、米予算案について与野党の対立により協議が長引いていたことからドル売り圧力が強まるとユーロドルが上昇し、つられてユーロ円は123.071円の一段高となった。しかし、買い一巡後は利益確定の売りに押されたほか、ここ最近の円安に対するポジション調整の円買いが強まり122.265円まで軟化。引けにかけて、ECBの金利先高感が意識されたほか、下値での押し目買いが断続的に入ったことで122.667円まで戻し取引を終えた。
今週の展開
ドル円は、引き続き米国の「出口戦略」に対する動向が注目されようか。先週5日の連邦公開市場委員会(FOMC3月15日開催)の議事録によると、メンバーは6,000億ドルの米国債購入プログラムが終了する6月以降の金融政策の道筋について見解が分かれていた。今週はタカ派のコチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁、プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されている一方、ハト派のダドリー・ニューヨーク連銀総裁、エバンズ・シカゴ連銀総裁の講演も予定されており、総じてタカ派寄りの発言になればドル買いが強まりそうだ。米経済指標としては、貿易収支、月次財政収支(12日)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、小売売上高(13日)、卸売物価指数(14日)、消費者物価指数、NY連銀製造業景気指数、ミシガン大学消費者態度指数(15日)などが発表される。また、14日からG20・G7財務相・中央銀行総裁会議がワシントンで開催されることになっており、震災による為替相場への影響について、各国がどのような見解を示すか注目したい。
ユーロ円は、7日にECB政策金利が0.25%利上げされ、トリシェECB総裁の記者会見の中で追加利上げを否定しない発言をしたことから、今週も引き続き各国の出口戦略及び金利差がテーマになろうか。今週の15日に3月ユーロ圏消費者物価指数の発表を控えており、市場予想が前年比2.6%となっている。上振れになれば連続利上げ期待が高まりユーロ買いで反応することが予想される。また、欧州各国を取り巻くソブリンリスクは、ポルトガルがEUや国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請したことを背景に不透明感が和らいでいるうえ、株高や日欧金利差を意識したユーロ買いも期待できることから、安値圏では押し目買いスタンスとしたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 84.00-88.00
ユーロ・円 120.00-128.00
ポンド・円 135.00-141.00
【今週の主な経済指標】
4月11日
8:50 JPN 機械受注(前月比/前年比)
4月12日
8:01 GBR RICS住宅価格
8:50 JPN 日銀金融政策決定会合議事要旨
15:00 GER 消費者物価指数(確報値)(前月比/前年比)
17:30 GBR 貿易収支
17:30 GBR 消費者物価指数(前月比/前年比)
17:30 GBR 消費者物価指数(コア)(前年比)
17:30 GBR 小売物価指数(前月比/前年比)
17:30 GBR 小売物価指数(コア)(前年比)
18:00 EUR ZEW景況指数
18:00 GER ZEW景況感調査
21:30 CAN 新築住宅価格指数(前月比)
21:30 USA 貿易収支
21:30 CAN 貿易収支
21:30 USA 輸入物価指数(前月比/前年比)
22:00 CAN 加中銀(BOC)政策金利発表
4月13日
17:30 GBR 失業率 / 失業保険申請件数
18:00 EUR 鉱工業生産(前月比/前年比)
21:30 USA 小売売上高(前月比) / 小売売上高(除自動車)(前月比)
4月14日
3:00 USA ベージュブック(地区連銀経済報告)-公表
7:45 NZL NZ・小売売上高(前月比) / NZ・小売売上高(コア)(前月比)
8:01 GBR ネーションワイド消費者信頼感
21:30 USA 生産者物価指数(前月比/前年比)
21:30 USA 生産者物価指数(コア)(前月比/前年比)
21:30 USA 新規失業保険申請件数(前週分)
4月15日
13:30 JPN 鉱工業生産(確報値)(前月比/前年比)
18:00 EUR 消費者物価指数(前月比/前年比)
18:00 EUR 消費者物価指数(コア)(前年比)
18:00 EUR 貿易収支
21:30 USA NY連銀製造業景気指数
21:30 USA 消費者物価指数(前月比/前年比)
21:30 USA 消費者物価指数(コア)(前月比/前年比)
22:00 USA 対米証券投資収支
22:15 USA 鉱工業生産(前月比)
22:15 USA 設備稼働率
22:55 USA ミシガン大学消費信頼感指数(速報値)
≪2011年4月8日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米予算案の協議が難航したことによりドルが売り込まれたものの、震災の影響で日本の
低金利が長期化し円安傾向が続くとの見方から、参加者は「強気」な姿勢を維持。また、
新年度入りの外債投資による買いも観測された他、下値では日米金利差の拡大を意識し
たドル買いが散見されており、今週も堅調な推移が期待できようか。本日は、おもな米
経済指標が無いなど取引材料が乏しいことから、株式市場や米長期金利の動向に注視し
つつ、米国の「出口戦略」に関するニュースや要人発言等に注意したい。
ポンド円「ブル」
英卸売物価指数が3.0%と予想の2.9%を上回ったことを受けて、BOEの利上げ先高観が
強まり2010年5月6日以来となる140円台を示現。買いが一巡すると利益確定の売りやポ
ジション調整の売りも加わり急落したものの、安値水準では押し目買い意欲が強く、参
加者も「ブル」を維持。BOEの政策金利について、早期利上げ期待は引き続き高いもの
の、足元の英経済が弱いことから強気一辺倒にはいかないと考えられる。今週は12日小
売物価指数、消費者物価指数、13日失業率などの英経済指標が発表されることから、強
い内容であればポンド買い、弱い内容であった場合は利上げ期待が後退し失望売りにな
ろうか。
豪ドル円「ブル」
東日本大震災やリビア情勢等で不透明感が増す中、金や原油などの商品相場が底堅い動
きとなったことから資源国通貨買いが強まった。押し目らしい押し目も無く急上昇した
豪ドル円だが、参加者も強い上昇トレンドと見て「強気」な姿勢を維持した。今週は、
新年度の外債投資やキャリートレードの動きが活発化し高金利通貨の豪ドルに買いが優
勢になろうか。また、豪準備銀行は6月までに利上げに踏み切るとの見方もあり、豪ド
ル買いの強気スタンスを継続してもいいだろう。