円独歩安一段と鮮明!どこまで下がるか円相場
ドル円は東京市場序盤、85.00円に観測されていたバリアオプションを上抜けてストップロスを巻き込んだことから85.25円付近まで急騰した。その後、急ピッチな上昇を受けて短期筋の利食い売りや本邦輸出勢の実需の売りがでたことで小幅に反落したものの、米格付け会社ムーディーズが「トヨタとその子会社の格付けを引き下げ方向で見直し」と発表されると市場は円売りで反応し85.518円まで上昇した。欧州市場に入ると、スイス消費者物価指数の大幅な上振れを受けたスイスフランに対するドル売りが強まり、ドル円は85円を割れるまで反落。しかし、NY勢参入後には、NY金先物相場で過去最高値を更新したことを受けてNYダウが上昇するとドル買いが優勢となったほか、引けにかけて、米長期金利の上昇もドルのサポート材料となり前日比プラス0.603円となる85.459円で取引を終えた。
ユーロ円は、東京時間に米ヘッジファンドのメドレー・グローバル・アドバイザーズのレポートが伝わり「ECBが7日の理事会で0.25%の利上げに踏み切り、声明に一段の金融引き締めの余地を組み込む」との見方を示したことを背景に金利先高感からユーロ買いが優勢になると121.15円付近まで上昇した。その後、米格付け会社ムーディーズがトヨタの格付けを引き下げ方向で検討すると伝わるとドル円の上昇につられてユーロ円は121.90円付近まで上昇。欧州時間に移ると、スイス消費者物価指数や英鉱工業生産指数などが発表されて強弱入り混じった結果から売買が交錯したものの、取引が静まると121.80円前後での小動きとなった。NY市場では、金・原油といった商品相場の堅調推移を背景に米株式が上昇して始まったことから、リスク選好のユーロ買いが入り122.619円まで上昇し一段高となった。引けにかけては、利益確定の売りに押される場面が見られたものの、下値は限定的となり122.461円まで戻して取引を終えた。
今日の展開
マーケットでは円の独歩安が一段と鮮明になっている。FRB内でタカ派的な意見が徐々に勢いを増していることは確かで6月末でQE2が終了するとの思惑が支配的なほか、ECBは来月以降も段階的に政策金利を引き上げる可能性は高いとみられる一方、日銀に至っては追加金融緩和の可能性が強く、日米欧の利上げレースに完全に乗り遅れた円を売る動きは継続しそうだ。
ドル円はテクニカル面でみると、心理的な節目の85.00円をあっさりと突破して85円ミドルまで上値拡大に成功し、日足一目均衡表でみても基準線、転換線が上向き基調であり、上昇トレンドは継続と考えられよう。次の上値ターゲットは昨年の介入実施後に付けた高値85.90円付近となるが、同水準は日銀による介入を止めた水準であるだけでなく、その後、70円台へと急落した起点でもあるため、ドル円にとっては正念場であり、明確に上抜ける事が出来れば、86.00円に観測されるストップを巻き込み、もう一段上値を拡大する可能性も考えられる。ただし、一度ドルロングを解消する動きも考えられるため、短期的な調整で上昇基調が見えない場合は、RSIやストキャスティックスを眺めながら慎重にリバウンドを狙うのも面白そうだ。
ユーロは、本日の欧州中央銀行(ECB)定例政策理事会で、日米に先駆けて0.25%の利上げに踏み切るとの見方が濃厚で、その後の声明で段階的な利上げを含んだ発言が出るかに注目が集まっている。一部報道では年内2回の追加利上げが検討されているとの見方もあり、日銀金融政策決定会合で追加緩和策が実施される可能性の高い日本と比較すれば引き続き円売り、ユーロ買いの展開がメインシナリオとなろう。ただ、理事会での声明にポジティブな内容が確認できなければ、短期的には利食いにさらされる可能性もあるため、強き一辺倒にはいかないと考えられる。また、マーケットの関心が金利差に向くなかで、金曜日に予定されるユーロ圏財務相非公式会合で、深刻化するポルトガルやアイルランドの債務問題が協議されることもあり、イベント終了後にソブリンリスクが再び意識される可能性もあり、警戒はしておきたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 83.50-85.90
ユーロ・円 120.50-123.00
ポンド・円 138.00-141.00
【今日の主な経済指標】
10:30 AUD 新規雇用者数 3月
10:30 AUD 失業率 3月
15:45 FRF 貿易収支 2月
19:00 DEM 鉱工業生産[前月比] 2月
20:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB)政策金利
21:30 CAD 住宅建設許可件数[前月比] 2月
21:30 USD 新規失業保険申請件数 前週分
04:00 USD 消費者信用残高[前月比] 2月
≪2011年4月6日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を受けて米国の金融緩和策が早期に終わるとの
観測が浮上しており、短期的には円安の流れは崩れないとの見方から「ブル」が継続
されている。震災の影響で日本は内需縮小にともなう財政赤字の拡大を背景に国債格
下げリスクも浮上しているため、円の独歩安がさらに高まる可能性もあろうか。本日
は、外部要因であるBOE(20:00)とECB(20:45)の金利発表の動向を注視しつつ、米
新規失業保険申請件数(21:30)に注目したい。同指標が予想を上振れた場合は米国
の景気浮揚期待や早期「出口戦略」期待が高まり、昨年9月の介入直後につけた85.90
円付近を試す展開が考えられる。
ポンド円「ブル」
英鉱工業生産指数が前月比-1.2%と予想の同+0.4%を大幅に下回ったことを受けてポ
ンド売りが強まり、一時138円前半まで急落した。しかし、日本の低金利が長期化す
るとの思惑から円が独歩安となるなか、ポンドは日通し高値付近まで反発したことで、
参加者のポジションは「ベア」→「ブル」へと変化している。本日は、東京時間に英
中銀金融政策委員会での政策発表にくわえて、欧州時間にはECBの政策金利も発表さ
れることから大きな値動きになる可能性が高いと見られる。直近の急上昇の警戒感か
ら、声明文などで悲観的な内容が出た場合には投機的な売りが出る可能性もあること
からポジションの傾け過ぎには注意したい。
豪ドル円「ブル」
金相場が過去最高値を更新したことを背景に資源国通貨買いが強まり2008年9月以来
となる89円台を示現、参加者も上昇トレンドに従って「ブル」となった。東日本大震
災の影響でリスク回避から金需要が高まっており、短期的には金や原油などの商品価
格の高騰が続く可能性も低くないと見られる。また、新年度の外債投資やキャリート
レードを狙う動きも散見されているほか、豪準備銀行は6月までに利上げに踏み切る
との見方もあり、豪ドル買いの強気スタンスを継続してもいいだろう。
ユーロ円は、東京時間に米ヘッジファンドのメドレー・グローバル・アドバイザーズのレポートが伝わり「ECBが7日の理事会で0.25%の利上げに踏み切り、声明に一段の金融引き締めの余地を組み込む」との見方を示したことを背景に金利先高感からユーロ買いが優勢になると121.15円付近まで上昇した。その後、米格付け会社ムーディーズがトヨタの格付けを引き下げ方向で検討すると伝わるとドル円の上昇につられてユーロ円は121.90円付近まで上昇。欧州時間に移ると、スイス消費者物価指数や英鉱工業生産指数などが発表されて強弱入り混じった結果から売買が交錯したものの、取引が静まると121.80円前後での小動きとなった。NY市場では、金・原油といった商品相場の堅調推移を背景に米株式が上昇して始まったことから、リスク選好のユーロ買いが入り122.619円まで上昇し一段高となった。引けにかけては、利益確定の売りに押される場面が見られたものの、下値は限定的となり122.461円まで戻して取引を終えた。
今日の展開
マーケットでは円の独歩安が一段と鮮明になっている。FRB内でタカ派的な意見が徐々に勢いを増していることは確かで6月末でQE2が終了するとの思惑が支配的なほか、ECBは来月以降も段階的に政策金利を引き上げる可能性は高いとみられる一方、日銀に至っては追加金融緩和の可能性が強く、日米欧の利上げレースに完全に乗り遅れた円を売る動きは継続しそうだ。
ドル円はテクニカル面でみると、心理的な節目の85.00円をあっさりと突破して85円ミドルまで上値拡大に成功し、日足一目均衡表でみても基準線、転換線が上向き基調であり、上昇トレンドは継続と考えられよう。次の上値ターゲットは昨年の介入実施後に付けた高値85.90円付近となるが、同水準は日銀による介入を止めた水準であるだけでなく、その後、70円台へと急落した起点でもあるため、ドル円にとっては正念場であり、明確に上抜ける事が出来れば、86.00円に観測されるストップを巻き込み、もう一段上値を拡大する可能性も考えられる。ただし、一度ドルロングを解消する動きも考えられるため、短期的な調整で上昇基調が見えない場合は、RSIやストキャスティックスを眺めながら慎重にリバウンドを狙うのも面白そうだ。
ユーロは、本日の欧州中央銀行(ECB)定例政策理事会で、日米に先駆けて0.25%の利上げに踏み切るとの見方が濃厚で、その後の声明で段階的な利上げを含んだ発言が出るかに注目が集まっている。一部報道では年内2回の追加利上げが検討されているとの見方もあり、日銀金融政策決定会合で追加緩和策が実施される可能性の高い日本と比較すれば引き続き円売り、ユーロ買いの展開がメインシナリオとなろう。ただ、理事会での声明にポジティブな内容が確認できなければ、短期的には利食いにさらされる可能性もあるため、強き一辺倒にはいかないと考えられる。また、マーケットの関心が金利差に向くなかで、金曜日に予定されるユーロ圏財務相非公式会合で、深刻化するポルトガルやアイルランドの債務問題が協議されることもあり、イベント終了後にソブリンリスクが再び意識される可能性もあり、警戒はしておきたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 83.50-85.90
ユーロ・円 120.50-123.00
ポンド・円 138.00-141.00
【今日の主な経済指標】
10:30 AUD 新規雇用者数 3月
10:30 AUD 失業率 3月
15:45 FRF 貿易収支 2月
19:00 DEM 鉱工業生産[前月比] 2月
20:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB)政策金利
21:30 CAD 住宅建設許可件数[前月比] 2月
21:30 USD 新規失業保険申請件数 前週分
04:00 USD 消費者信用残高[前月比] 2月
≪2011年4月6日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を受けて米国の金融緩和策が早期に終わるとの
観測が浮上しており、短期的には円安の流れは崩れないとの見方から「ブル」が継続
されている。震災の影響で日本は内需縮小にともなう財政赤字の拡大を背景に国債格
下げリスクも浮上しているため、円の独歩安がさらに高まる可能性もあろうか。本日
は、外部要因であるBOE(20:00)とECB(20:45)の金利発表の動向を注視しつつ、米
新規失業保険申請件数(21:30)に注目したい。同指標が予想を上振れた場合は米国
の景気浮揚期待や早期「出口戦略」期待が高まり、昨年9月の介入直後につけた85.90
円付近を試す展開が考えられる。
ポンド円「ブル」
英鉱工業生産指数が前月比-1.2%と予想の同+0.4%を大幅に下回ったことを受けてポ
ンド売りが強まり、一時138円前半まで急落した。しかし、日本の低金利が長期化す
るとの思惑から円が独歩安となるなか、ポンドは日通し高値付近まで反発したことで、
参加者のポジションは「ベア」→「ブル」へと変化している。本日は、東京時間に英
中銀金融政策委員会での政策発表にくわえて、欧州時間にはECBの政策金利も発表さ
れることから大きな値動きになる可能性が高いと見られる。直近の急上昇の警戒感か
ら、声明文などで悲観的な内容が出た場合には投機的な売りが出る可能性もあること
からポジションの傾け過ぎには注意したい。
豪ドル円「ブル」
金相場が過去最高値を更新したことを背景に資源国通貨買いが強まり2008年9月以来
となる89円台を示現、参加者も上昇トレンドに従って「ブル」となった。東日本大震
災の影響でリスク回避から金需要が高まっており、短期的には金や原油などの商品価
格の高騰が続く可能性も低くないと見られる。また、新年度の外債投資やキャリート
レードを狙う動きも散見されているほか、豪準備銀行は6月までに利上げに踏み切る
との見方もあり、豪ドル買いの強気スタンスを継続してもいいだろう。