昨年11月から続く81-84円台でのレンジ!ブレイクには材料不足か!
昨日のドル円だが、東京市場では新規材料難のなか、内戦状態に陥っているリビア情勢や原油動向を見極めたいとの思惑から積極的な売買が手控えられた上、 日経平均が小幅高で推移するも、中国の預金準備率引き上げ懸念により上海総合が冴えない動きになると82.25円付近を上下わずか10銭ほどの極めて狭いレンジで膠着した。しかし、欧州勢参加後はクェートのサバハ石油相がOPEC(石油輸出国機構)のメンバーであるリビアの減産分を補う可能性について協議していると表明し原油先物が1ドル超下落するとリスク回避の流れが一服し82.50円付近へと上昇した。NY市場では特に目立った経済指標の発表が予定されていなかったため、動意に乏しくもみ合いとなったが、一部シンクタンクのレポートでFOMC声明文の「長期間に渡り低金利を維持」との文言が修正されるとの情報が流れていたことを受けてドル買い優勢の展開に一時82.847円と日通しの高値を付けた。引けにかけても高値圏をキープし82.663円で取引を終え3日ぶりの反発となっている。
ユーロ円だが、東京市場序盤はリビア情勢の緊迫化による原油高を受けたNYダウの下げ幅拡大を背景に、リスク回避の流れを引き継ぐなか114.80円付近まで小幅に軟化してスタート。その後はECBの早期利上げ観測にサポートされるとジリジリと上昇し、欧州市場序盤に115.20円付近まで上昇する場面もあったが、週末のユーロ圏臨時首脳会議を前にした利益確定や、持ち高調整の売りが優勢となりNY市場序盤かけて114.50円付近まで反落した。ただ、売り一巡後はリビア反体制派の国民評議会が「カダフィ大佐が早期退陣なら訴追しない」と表明したことや、産油国による原油増産観測の高まりから原油先物相場が下落すると、NYダウが大幅に上昇しリスク志向が改善から徐々に下値を切り上げた。また、既に退任が決まっているウェーバー独連銀総裁が「利上げの用意があるとのECBの利上げシグナルは非常に重要」とし、自身の見解として「ECBの政策金利が年末までに1.75%になるとの市場予想について、修正を試みようとは思わない」とコメント。年末までの0.75%分の利上げ幅について理解を示したこともサポートとなって114.933円まで値を戻し取引を終えた。
本日の展開
昨年11月から4カ月近く81-84円台でのレンジ取引が続いており、上値では輸出企業の売りが出る一方、下値では個人投資家の買いが入り、需給的に方向感がでにくい状態となっている。テクニカル面でも現水準である82円ミドルはレンジの中心に位置している上、日足一目均衡でも雲の中に入っており、動きずらい状況と言えよう。こうしたもみ合いの展開を打開する決め手となるのは米金利動向となるが、今夜の米10年債入札結果(27:00)や、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)をにらんだ米ガイトナー財務長官の発言(27:30)などが金利上昇の手がかりとなるか注目したい。また、リビア情勢に関しては内戦悪化が報じられる一方、水面下で和平交渉が進展している可能性もあり、本日新たな悪いニュースが出ない場合は話題性は低下し、リスク改善の米債券売りから米長期金利上昇といったシナリオも考えられようか。
ユーロは、利上げ期待から底堅い値動きが続くなか、トリシェECB総裁は国際決済銀行(BIS)中央銀行総裁会議後の会見で「中央銀行当局者はインフレ期待を引き続き抑制していくスタンスで一致している」と述べた。また、エクホルム・スウェーデン中銀副総裁は「ECBはおそらく4月に政策金利を引き上げるだろう」とし、ウェーバー元独連銀総裁も「ECBの政策金利が年末までに1.75%になるとの市場予想について、修正を試みようとは思わない」とコメントしている。こういった発言から次回のECB会合が実施される4月7日まで、ユーロ相場を支える可能性は高いと考えられよう。テクニカル面でも5日移動平均のさしかかる114.80円がサポートとなっているほか、三角持ち合いの上放れで上昇モメンタムが強く、利益確定やリスク回避などの売りをこなし115円前後でしっかりと値固めできれば先週末の高値115.961円を試しに行く展開が予測される。ただ、ムーディーズが「ギリシャ国債の格付けを引き下げ、見通しをネガティブ、デフォルトの可能性まで指摘」、スタンダード・アンド・プアーズも「欧州諸国の格付けを一段と引き下げる見通し」とするなど、しばらく下火になっていた欧州高債務国の信用不安がまた蒸し返される可能性も否定できないため、過度の期待は避けたいところだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 81.00-84.00
ユーロ・円 113.80-116.00
ポンド・円 132.20-135.00
【今日の主な経済指標】
17:15 CHF 消費者物価指数
18:30 GBP 貿易収支
21:00 DEM 鉱工業生産
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
22:30 CAD 新築住宅価格指数
00:00 USD 卸売在庫
05:00 NZD ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
≪2011年3月8日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米企業の好業績や景気浮揚期待、良好な米経済指標を背景に「ブル」となっているが、
82.50円とレンジの中心を超えたあたりから売りも散見し割合は約70%と低下している。
シカゴのIMM市場におけるIMMファンド筋の主要6通貨に対する米ドルの総合ポジション
を見ると最新の3月1日時点で349.17億㌦の売り越しとなっている。過去最大にまでド
ル売りが拡大していることで仮に来週3月15日に開催される米FOMCを前に、QE2(量的
緩和第2弾)早期終了を連想させるタカ派的な要人発言などがあれば売りポジションの
巻き戻しもあろうか。
ポンド円「ブル」
原油高、株安連鎖が一旦一服し、リビアの和平交渉の観測も浮上していることを受けて、
リスク回避のポジションを巻き戻す動きから「ブル」が優勢となっている。明日10日の
BOE(英中銀)政策金利に注目が集まるが、インフレリスクに対する各委員の意見の隔
たりは大きいとみられるほか、タカ派の急先鋒であるセンタンス委員が5月いっぱいで
退任することで利上げ時期が先送りされ、政策金利を0.50%に据え置く可能性が高いと
みる。
豪ドル円「ブル」
クェート石油相がOPEC諸国による増産の検討を発言すると、リスクテイク意欲の高まり
に「強気」スタンスは継続している。中東情勢には解決の糸口が見えないものの、シカ
ゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出さ
れる変動性指数(恐怖指数)は19台と前日の清算値20.66から1.09ポイント低い水準で
推移しており、幾分リスクテイクしやすくなろうか。中東情勢を巡るニュースに注意を
払いつつ、慎重に押し目を拾ってみるのもおもしろい。
ユーロ円だが、東京市場序盤はリビア情勢の緊迫化による原油高を受けたNYダウの下げ幅拡大を背景に、リスク回避の流れを引き継ぐなか114.80円付近まで小幅に軟化してスタート。その後はECBの早期利上げ観測にサポートされるとジリジリと上昇し、欧州市場序盤に115.20円付近まで上昇する場面もあったが、週末のユーロ圏臨時首脳会議を前にした利益確定や、持ち高調整の売りが優勢となりNY市場序盤かけて114.50円付近まで反落した。ただ、売り一巡後はリビア反体制派の国民評議会が「カダフィ大佐が早期退陣なら訴追しない」と表明したことや、産油国による原油増産観測の高まりから原油先物相場が下落すると、NYダウが大幅に上昇しリスク志向が改善から徐々に下値を切り上げた。また、既に退任が決まっているウェーバー独連銀総裁が「利上げの用意があるとのECBの利上げシグナルは非常に重要」とし、自身の見解として「ECBの政策金利が年末までに1.75%になるとの市場予想について、修正を試みようとは思わない」とコメント。年末までの0.75%分の利上げ幅について理解を示したこともサポートとなって114.933円まで値を戻し取引を終えた。
本日の展開
昨年11月から4カ月近く81-84円台でのレンジ取引が続いており、上値では輸出企業の売りが出る一方、下値では個人投資家の買いが入り、需給的に方向感がでにくい状態となっている。テクニカル面でも現水準である82円ミドルはレンジの中心に位置している上、日足一目均衡でも雲の中に入っており、動きずらい状況と言えよう。こうしたもみ合いの展開を打開する決め手となるのは米金利動向となるが、今夜の米10年債入札結果(27:00)や、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)をにらんだ米ガイトナー財務長官の発言(27:30)などが金利上昇の手がかりとなるか注目したい。また、リビア情勢に関しては内戦悪化が報じられる一方、水面下で和平交渉が進展している可能性もあり、本日新たな悪いニュースが出ない場合は話題性は低下し、リスク改善の米債券売りから米長期金利上昇といったシナリオも考えられようか。
ユーロは、利上げ期待から底堅い値動きが続くなか、トリシェECB総裁は国際決済銀行(BIS)中央銀行総裁会議後の会見で「中央銀行当局者はインフレ期待を引き続き抑制していくスタンスで一致している」と述べた。また、エクホルム・スウェーデン中銀副総裁は「ECBはおそらく4月に政策金利を引き上げるだろう」とし、ウェーバー元独連銀総裁も「ECBの政策金利が年末までに1.75%になるとの市場予想について、修正を試みようとは思わない」とコメントしている。こういった発言から次回のECB会合が実施される4月7日まで、ユーロ相場を支える可能性は高いと考えられよう。テクニカル面でも5日移動平均のさしかかる114.80円がサポートとなっているほか、三角持ち合いの上放れで上昇モメンタムが強く、利益確定やリスク回避などの売りをこなし115円前後でしっかりと値固めできれば先週末の高値115.961円を試しに行く展開が予測される。ただ、ムーディーズが「ギリシャ国債の格付けを引き下げ、見通しをネガティブ、デフォルトの可能性まで指摘」、スタンダード・アンド・プアーズも「欧州諸国の格付けを一段と引き下げる見通し」とするなど、しばらく下火になっていた欧州高債務国の信用不安がまた蒸し返される可能性も否定できないため、過度の期待は避けたいところだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 81.00-84.00
ユーロ・円 113.80-116.00
ポンド・円 132.20-135.00
【今日の主な経済指標】
17:15 CHF 消費者物価指数
18:30 GBP 貿易収支
21:00 DEM 鉱工業生産
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
22:30 CAD 新築住宅価格指数
00:00 USD 卸売在庫
05:00 NZD ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
≪2011年3月8日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米企業の好業績や景気浮揚期待、良好な米経済指標を背景に「ブル」となっているが、
82.50円とレンジの中心を超えたあたりから売りも散見し割合は約70%と低下している。
シカゴのIMM市場におけるIMMファンド筋の主要6通貨に対する米ドルの総合ポジション
を見ると最新の3月1日時点で349.17億㌦の売り越しとなっている。過去最大にまでド
ル売りが拡大していることで仮に来週3月15日に開催される米FOMCを前に、QE2(量的
緩和第2弾)早期終了を連想させるタカ派的な要人発言などがあれば売りポジションの
巻き戻しもあろうか。
ポンド円「ブル」
原油高、株安連鎖が一旦一服し、リビアの和平交渉の観測も浮上していることを受けて、
リスク回避のポジションを巻き戻す動きから「ブル」が優勢となっている。明日10日の
BOE(英中銀)政策金利に注目が集まるが、インフレリスクに対する各委員の意見の隔
たりは大きいとみられるほか、タカ派の急先鋒であるセンタンス委員が5月いっぱいで
退任することで利上げ時期が先送りされ、政策金利を0.50%に据え置く可能性が高いと
みる。
豪ドル円「ブル」
クェート石油相がOPEC諸国による増産の検討を発言すると、リスクテイク意欲の高まり
に「強気」スタンスは継続している。中東情勢には解決の糸口が見えないものの、シカ
ゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出さ
れる変動性指数(恐怖指数)は19台と前日の清算値20.66から1.09ポイント低い水準で
推移しており、幾分リスクテイクしやすくなろうか。中東情勢を巡るニュースに注意を
払いつつ、慎重に押し目を拾ってみるのもおもしろい。