中東・北アフリカ情勢を巡る突発的なニュースに注意!
金曜日のドル円は米景気回復期待の高まりを受けた米債券利回りの上昇を背景に、東京市場序盤から82.40円付近で底堅く推移した。ただ、同水準では3月末決算を控えた本邦勢のリパトリとみられるドル売りが上値を抑えた上、米雇用統計を見極めたいとの思惑から様子見ムードが漂い、欧州市場序盤にかけて概ね82.30円付近でこう着となった。その後は米10年物国債の利回りが上昇に転じたことや、米雇用統計の改善期待を背景にした円売り・ドル買いが断続的に入り発表前の22時過ぎには82.80円付近まで上昇した。注目の2月米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比19万2000人増と市場予想平均の前月比19万6000人増より弱かったが、失業率は8.9%と市場予想平均の9.1%より強かったため一時83.037円と日通し高値を付けた。ただ、米雇用統計がかなり強めの数字になると見込んでいた向きがドル売りを出したほか、リビア情勢の緊迫化に関する報などを受けて米長期金利が低下したこともあり、発表直後に一時82.220円まで急落。引けにかけても米長期金利が低下幅を拡大したほか、NYダウが170ドル超下落したことで安値圏でのもみ合いが続き82.251円で取引を終えている。
ユーロ円は、トリシェECB総裁が4月に利上げする可能性を示唆したことを受けてユーロ買いが強まったNY市場の流れは一服し、東京市場では昨年11月以来の115円台を受けて、本邦輸出企業の売りが優勢になったこともあり114.90円付近へと小幅に下落した。しかし、売り一巡後は米雇用統計を控えて手控えムードも強く下値も限定的になるとドル円の上昇につられて115.05円付近まで反発した。欧州市場に移ると欧州株価の上昇からリスク許容度が改善し全般的に円が売られる流れとなった上、オランダ中銀のウェリンク総裁が「欧州中央銀行(ECB)は遅かれ早かれ利上げを行う必要がある」との認識を示したと伝わったことも上昇に拍車をかけ115円ミドルまで上値を拡大した。また、NY勢参加後も強い2月米雇用統計発表後にドル円が急ピッチで上昇すると、つれる形で115.961円と2010年5月14日以来の高値を更新した。その後はNYダウが下げに転じるなど、投資家のリスク志向が低下したことに加え、格付け会社のフィッチがスペイン格付けを「安定的」から「ネガティブ」に引下げると一転115.00円付近まで失速した。ただ。引けにかけては欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測を背景に押し目を買う動きから下値は限定的となり115.001円で取引を終えた。
今週の展開
ECB理事会や2月米雇用統計などのイベントも終了し、今週メインイベントはなく材料は乏しいものの、中東・北アフリカ情勢を巡る突発的なニュースに注意を払いつつ、リスク許容度の変化に神経質な展開が予測される。
ドル円では、7日に1月消費者信用残高、9日に1月米卸売在庫、10日に週間新規失業保険申請件数、1月米貿易収支、11日に2月米小売売上高、3月ミシガン大消費者態度指数、1月米企業在庫などの発表や、米国債の入札も予定されているが、先週の2月米雇用統計を見るかぎり、素直な反応をするとは限らず、方向感を示す動きとなるかは不透明だ。中東情勢にしてもリスク回避の展開では米長期金利の動きによってやや円が買われやすい地合いとなるが、ドルと円は共に安全通貨として買われやすく大きな値動きには繋がらないかも知れない。また、ドル円は大枠のレンジを意識したダブルノータッチオプション81-84円が残存しており、レンジに近づけば防戦される可能性は高く、ブレイクするには材料不足が否めない。ボックス相場濃厚となった場合は、RSIを頼りに逆張りが有効となりそうだ。
ユーロ円は、欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測などを背景に来月利上げに向けユーロ買いの流れはまだまだ続く可能性があるだろう。しかし、トリシェ総裁は、次回会合での利上げの可能性を示唆する一方で、事前の確約は決してしないとも述べ、あくまで今後のインフレ動向次第と考える事もできようか。そうしたなか、外部要因である中東情勢の行方と原油価格の動向が重要となるが、リビアでの政府軍と反体制派の緊張が続いており、アルアラビーヤによると「リビア反体制派がラスラヌフを制圧」と伝わっている一方「政府軍はトリポリ西部の都市ザウィアを包囲している」とも報じられ、情報が錯綜している。不透明感が漂うなか、事実上の内戦状態にあるリビアの事態収拾に向けた和平協議の行方がカギを握ることになろう。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-84.00
ユーロ・円 111.00-117.00
ポンド・円 129.00-137.00
【今週の主な経済指標】
3月7日
6:45 NZL 住宅建設許可
22:30 CAN 住宅建設許可
3月8日
8:50 JPN 国際収支-貿易収支
8:50 JPN 国際収支-経常収支
9:01 GBR RICS住宅価格
20:00 GER 製造業受注
22:15 CAN 住宅着工件数
3月9日
8:50 JPN 機械受注
18:30 GBR 貿易収支
21:00 GER 鉱工業生産
22:30 CAN 新築住宅価格指数
3月10日
5:00 NZL NZ中銀 政策金利発表
8:50 JPN 四半期GDP
8:50 JPN 四半期GDPデフレータ
9:30 AUS 新規雇用者数 / 失業率
17:00 GER 貿易収支
17:00 GER 経常収支
18:30 GBR 鉱工業生産
21:00 GBR 英中銀(BOE) 政策金利発表
22:30 USA 新規失業保険申請件数
22:30 USA 貿易収支
22:30 CAN 貿易収支
3月11日
17:00 GER 消費者物価指数
18:30 GBR 生産者物価指数(コア)
21:00 CAN 失業率 / 雇用者数変化
22:30 USA 小売売上高 / 小売売上高(除自動車)
23:55 USA ミシガン大学消費者信頼感指数
≪2011年3月4日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米雇用統計は非農業部門就業者数が19万2000人増とまずまずの数字になったほか、
失業率は8.9%と市場予想よりも良い結果となり「ブル」は継続されている。リビ
ア情勢の緊迫化に関する報などを受けて米長期金利低下から下落しており、今週
も中東情勢混迷からリスク許容度に神経質な値動きとなりそうだ。今後の予測と
しては米・NATOもできれば軍事介入など深入りしたくないことから、和平に向け
た水面下の動きが活発化するかもしれず、リビアの和平期待が高まれば米長期金
利上昇からドルは底堅い展開となろう。ただ、本邦3月決算に絡むリパトリの円転
玉が本格的に持ち込まれる公算が高く、82円後半から実需の売りも観測されてお
り、やはり一本調子の上昇は難しいか。
ポンド円「ブル」
2月英ハリファックス住宅価格が予想よりも弱い結果となったものの、英利上げ期
待がサポートとなり、参加者のポジションは僅かに「ブル」優勢となった。英国
では製造業・建設業PMIが比較的強い内容となっており、英国経済の先行きに再び
明るい兆しが見え始めていることは強気材料となろう。加えて、消費者物価指数
の上昇率がイングランド銀行(BOE)のインフレターゲットの上限である+3%を大
きく上回っている状況を鑑みれば早期利上げへの期待も期待できる。しかし、英
10-12月期国内総生産(GDP)改定値が予想外の下方修正となったことについては、
不透明感を強めた部分があることも事実であり、高値ではポンド買いを進めてい
けるような状況ではないだろう。底堅さを示しながらも上値余地も限定的となる
公算は高く、当面は英国経済の動向を見極めながら対応していきたい。
豪ドル円「ブル」
リビアの和平期待や株高連鎖期待、商品相場の幅広い上昇を背景に「ブル」に変
化はなかった。しかし、早期の追加利上げへの期待感が剥落しているなか、今後
発表される経済指標は洪水被害や大型サイクロンの影響を含んだ結果が多くなる
であろうことから、上値はやや重い状態が続くかも知れない。また、11日には中
国の消費者物価指数などの発表を控えており、これらの結果によっては荒っぽい
展開も想定される。
ユーロ円は、トリシェECB総裁が4月に利上げする可能性を示唆したことを受けてユーロ買いが強まったNY市場の流れは一服し、東京市場では昨年11月以来の115円台を受けて、本邦輸出企業の売りが優勢になったこともあり114.90円付近へと小幅に下落した。しかし、売り一巡後は米雇用統計を控えて手控えムードも強く下値も限定的になるとドル円の上昇につられて115.05円付近まで反発した。欧州市場に移ると欧州株価の上昇からリスク許容度が改善し全般的に円が売られる流れとなった上、オランダ中銀のウェリンク総裁が「欧州中央銀行(ECB)は遅かれ早かれ利上げを行う必要がある」との認識を示したと伝わったことも上昇に拍車をかけ115円ミドルまで上値を拡大した。また、NY勢参加後も強い2月米雇用統計発表後にドル円が急ピッチで上昇すると、つれる形で115.961円と2010年5月14日以来の高値を更新した。その後はNYダウが下げに転じるなど、投資家のリスク志向が低下したことに加え、格付け会社のフィッチがスペイン格付けを「安定的」から「ネガティブ」に引下げると一転115.00円付近まで失速した。ただ。引けにかけては欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測を背景に押し目を買う動きから下値は限定的となり115.001円で取引を終えた。
今週の展開
ECB理事会や2月米雇用統計などのイベントも終了し、今週メインイベントはなく材料は乏しいものの、中東・北アフリカ情勢を巡る突発的なニュースに注意を払いつつ、リスク許容度の変化に神経質な展開が予測される。
ドル円では、7日に1月消費者信用残高、9日に1月米卸売在庫、10日に週間新規失業保険申請件数、1月米貿易収支、11日に2月米小売売上高、3月ミシガン大消費者態度指数、1月米企業在庫などの発表や、米国債の入札も予定されているが、先週の2月米雇用統計を見るかぎり、素直な反応をするとは限らず、方向感を示す動きとなるかは不透明だ。中東情勢にしてもリスク回避の展開では米長期金利の動きによってやや円が買われやすい地合いとなるが、ドルと円は共に安全通貨として買われやすく大きな値動きには繋がらないかも知れない。また、ドル円は大枠のレンジを意識したダブルノータッチオプション81-84円が残存しており、レンジに近づけば防戦される可能性は高く、ブレイクするには材料不足が否めない。ボックス相場濃厚となった場合は、RSIを頼りに逆張りが有効となりそうだ。
ユーロ円は、欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測などを背景に来月利上げに向けユーロ買いの流れはまだまだ続く可能性があるだろう。しかし、トリシェ総裁は、次回会合での利上げの可能性を示唆する一方で、事前の確約は決してしないとも述べ、あくまで今後のインフレ動向次第と考える事もできようか。そうしたなか、外部要因である中東情勢の行方と原油価格の動向が重要となるが、リビアでの政府軍と反体制派の緊張が続いており、アルアラビーヤによると「リビア反体制派がラスラヌフを制圧」と伝わっている一方「政府軍はトリポリ西部の都市ザウィアを包囲している」とも報じられ、情報が錯綜している。不透明感が漂うなか、事実上の内戦状態にあるリビアの事態収拾に向けた和平協議の行方がカギを握ることになろう。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-84.00
ユーロ・円 111.00-117.00
ポンド・円 129.00-137.00
【今週の主な経済指標】
3月7日
6:45 NZL 住宅建設許可
22:30 CAN 住宅建設許可
3月8日
8:50 JPN 国際収支-貿易収支
8:50 JPN 国際収支-経常収支
9:01 GBR RICS住宅価格
20:00 GER 製造業受注
22:15 CAN 住宅着工件数
3月9日
8:50 JPN 機械受注
18:30 GBR 貿易収支
21:00 GER 鉱工業生産
22:30 CAN 新築住宅価格指数
3月10日
5:00 NZL NZ中銀 政策金利発表
8:50 JPN 四半期GDP
8:50 JPN 四半期GDPデフレータ
9:30 AUS 新規雇用者数 / 失業率
17:00 GER 貿易収支
17:00 GER 経常収支
18:30 GBR 鉱工業生産
21:00 GBR 英中銀(BOE) 政策金利発表
22:30 USA 新規失業保険申請件数
22:30 USA 貿易収支
22:30 CAN 貿易収支
3月11日
17:00 GER 消費者物価指数
18:30 GBR 生産者物価指数(コア)
21:00 CAN 失業率 / 雇用者数変化
22:30 USA 小売売上高 / 小売売上高(除自動車)
23:55 USA ミシガン大学消費者信頼感指数
≪2011年3月4日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米雇用統計は非農業部門就業者数が19万2000人増とまずまずの数字になったほか、
失業率は8.9%と市場予想よりも良い結果となり「ブル」は継続されている。リビ
ア情勢の緊迫化に関する報などを受けて米長期金利低下から下落しており、今週
も中東情勢混迷からリスク許容度に神経質な値動きとなりそうだ。今後の予測と
しては米・NATOもできれば軍事介入など深入りしたくないことから、和平に向け
た水面下の動きが活発化するかもしれず、リビアの和平期待が高まれば米長期金
利上昇からドルは底堅い展開となろう。ただ、本邦3月決算に絡むリパトリの円転
玉が本格的に持ち込まれる公算が高く、82円後半から実需の売りも観測されてお
り、やはり一本調子の上昇は難しいか。
ポンド円「ブル」
2月英ハリファックス住宅価格が予想よりも弱い結果となったものの、英利上げ期
待がサポートとなり、参加者のポジションは僅かに「ブル」優勢となった。英国
では製造業・建設業PMIが比較的強い内容となっており、英国経済の先行きに再び
明るい兆しが見え始めていることは強気材料となろう。加えて、消費者物価指数
の上昇率がイングランド銀行(BOE)のインフレターゲットの上限である+3%を大
きく上回っている状況を鑑みれば早期利上げへの期待も期待できる。しかし、英
10-12月期国内総生産(GDP)改定値が予想外の下方修正となったことについては、
不透明感を強めた部分があることも事実であり、高値ではポンド買いを進めてい
けるような状況ではないだろう。底堅さを示しながらも上値余地も限定的となる
公算は高く、当面は英国経済の動向を見極めながら対応していきたい。
豪ドル円「ブル」
リビアの和平期待や株高連鎖期待、商品相場の幅広い上昇を背景に「ブル」に変
化はなかった。しかし、早期の追加利上げへの期待感が剥落しているなか、今後
発表される経済指標は洪水被害や大型サイクロンの影響を含んだ結果が多くなる
であろうことから、上値はやや重い状態が続くかも知れない。また、11日には中
国の消費者物価指数などの発表を控えており、これらの結果によっては荒っぽい
展開も想定される。