中東情勢を巡り神経質な展開!
金曜日のドル円だが、サウジアラビアや国際エネルギー機関(IEA)が原油供給懸念解消に乗り出し、原油先物が約2年5ヶ月ぶりの高値となった103.41ドルから一時95ドル台まで大幅反落したことでリスク回避ムードが一服して82円台前半まで回復するスタートとなった。買い一巡後は新規材料難となるなか、中東情勢の懸念からリスク回避の円買いと、5・10日仲値でのドル需要が交錯し、欧州市場中盤まで81.90円付近でもみ合いが続いた。NY勢参入後は米商務省が発表した10-12月期の米国内総生産(GDP)改定値が実質で前期比年率2.8%増と、速報値の3.2%増や市場予想平均の3.3%増を下回ったことを受けて81.65円付近まで軟化したものの、その後発表された2月米消費者態度指数が強い結果となったことで81.80円付近と指標発表とほぼ同水準まで反発し、往って来いとなった。ただ引けにかけて米10年物国債利回りが低下幅を拡大すると軟調に推移し、4日続落となる81.683円で取引を終えている。
ユーロ円は、リビア情勢の緊迫化を受けたリスク回避の動きが一旦一服し、日経平均やGLOBEXのNYダウ先物が堅調推移となったことを受けて円売りが優勢となったほか、ECBの利上げ期待が高まっていることもサポートとなり東京市場では113.45円付近まで上昇。その後はリビア情勢や欧米勢の出方を見極めたいムードもあり動意が乏しくなると、欧州市場にかけて113.30円前後で小動きとなった。欧州勢参加後は2月の独消費者物価指数(CPI)前年同月比2.0%と市場予想平均を下回ったことで、ややインフレ圧力の高まりに対する懸念が後退したとの見方から売りが持ち込まれると113円台を割れる展開となった。NY時間でも週末を前に利益確定の売りが散発的に入りジリジリと下値を拡大すると112.310円まで下落し取引を終えた。
今週の展開
ドル円は雇用統計を始め重要な米経済指標が控えており、最近好調な指標が今週も継続されるかが焦点なろう。28日は1月米個人消費支出(POE)・1月米個人所得・2月シカゴ購買部協会景気指数・2月住宅販売保留指数、1日は1月米建設支出・2月ISM製造業景況指数、2日は2月ADP雇用統計・ベージュブック、3日新規失業保険申請件数・10-12月期米非農業部門労働生産性・2月ISM非製造業景況指数、4日は2月米雇用統計・1月米製造業新規受注などの発表が控えている。特に米2月雇用統計では、2か月連続で0.4%の改善をした失業率が今回も改善を継続できるかが大きな注目となるだろう。ただ、先週の値動きを見ると良好だった米経済指標に対するドル買いは限定的となっており、市場は指標よりアフリカ・中東情勢の緊迫化を受けたリスク許容度の変化や米長期金利の動向に傾く可能性があるだろう。そうしたなか、混迷が続くリビアでは、反体制派が首都トリポリの東部・西部、それに主な製油所のある北部地域を制圧し、カダフィ大佐に対する包囲網を狭めつつあるが、カダフィ大佐は国営テレビにて演説を行い「勝利に向けて戦う」「最後まで戦う」等とコメントするなど不透明感が漂っており、荒れた相場展開に注意が必要な週となりそうだ。
ユーロは、メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁が3月3日開催の会合で「インフレを巡る文言を強める公算」、ウェーバー独連銀総裁「金利の動きは上昇しかない」とコメントしたほか、複数の欧州要人がタカ派発言をしており、ECBは今週木曜日の理事会でインフレ警戒姿勢を強める可能性が高く、金利面からサポートされそうだ。特に対ドルでは米国10年債利回りが節目の3.5%を下回り金利差が鮮明になっているほか、テクニカル面でも5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスを形成してからの地合いは強く、今週は大台である1.400ドルも視野に入ってくるだろう。ただ、対円は中東情勢を巡る先行き不透明感の拡大を受けて市場ではリスクポジションを圧縮する円買いの動きも考えられるため、慎重に対応したい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-84.00
ユーロ・円 111.00-117.00
ポンド・円 129.00-137.00
【今週の主な経済指標】
2月28日
06:45 NZL 貿易収支
08:50 JPN 鉱工業生産
19:00 EUR 消費者物価指数
22:30 CAN 四半期経常収支
22:30 CAN 四半期GDP(年換算)
22:30 USA 個人所得
22:30 USA 個人支出
22:30 USA PCEコア・デフレータ
23:45 USA シカゴ購買部協会景気指数
3月1日
00:00 USA 中古住宅販売保留指数
08:30 JPN 完全失業率 / 有効求人倍率
09:30 AUS 四半期経常収支
09:30 AUS 小売売上高
12:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
16:00 GBR ネーションワイド住宅価格
17:55 GER 失業率 / 失業者数増減
18:28 GBR 製造業PMI
19:00 EUR 消費者物価指数
19:00 EUR 失業率
23:00 CAN 加中銀(BOC)政策金利発表
3月2日
00:00 USA ISM製造業景況指数
00:00 USA 建設支出
09:30 AUS 四半期GDP(前期比/前年比)
19:00 EUR 生産者物価指数
22:15 USA ADP民間雇用者数
3月3日
04:00 USA ベージュブック(地区連銀経済報告)-公表
09:30 AUS 貿易収支
09:30 AUS 住宅建設許可
17:58 EUR サービス業PMI
18:28 GBR サービス業PMI
19:00 EUR 小売売上高
19:00 EUR 四半期GDP
21:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
22:30 USA 新規失業保険申請件数(前週分)
3月4日
00:00 USA ISM非製造業景況指数
22:30 USA 非農業部門雇用者数 / 失業率(雇用統計)
3月5日
00:00 USA 製造業受注
00:00 CAN Ivey購買部協会指数
≪2011年2月25日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
引続きバーゲンハント的な買いが旺盛で90%の参加者が「ブル」となっている。テクニカル面では5日移動平均線と25日移動平均線がデッドクロスを形成してから地合いが弱く、短期的にはボリンジャーバンド-2σが控える81.20円、2月4日安値81.069円、去年12月31日安値80.907円がサポートとして機能するか注目しておきたい。仮に同水準を割り込んだ場合は、心理的な節目となる80円付近まで大きなサポートが見当たらないだけ注意しておきたい。
ポンド円「ブル」
英GDPの結果は-0.6%と事前予想-0.5%下回ったことから131円前半まで下落したが、同水準は年初から続く上昇トレンドの38.2%押しある上、中期サポートの200日移動平均がさしかかっており参加者は「強気」だ。今後注目される英金利の動向だが、英1月消費者物価指数(CPI)が+4%とイングランド銀行(BOE)が目標としているインフレターゲットの上限+3%を大きく上回っている状況では早期の利上げも考えられる。しかし、失業者数が予想外の増加となっているほか、国内総生産(GDP)もマイナス成長と、CPI以外の英国指標については脆弱な部分も多く、英国経済の改善に勢いが出なければ積極的に金融引き締めに舵を切っていくのも難しいか。早期の利上げに不透明な部分が残ることや、シカゴIMM先物市場において2007年以来の5万枚超までロングポジションが積み上がっていることを鑑みると上値はやや重くなるかも知れない。
NZドル円「ブル」
格付け機関S&Pは「過去80年間で最悪の地震がNZ格付けにすぐさま影響しない」との見解が好感され、売りポジションの買い戻しが散見し4営業日ぶりの反発。参加者も「強気」スタンスに変化はなかった。リビアのカダフィ政権の崩壊が近いとの見方もあり、リバウンドを狙った仕掛けも面白いが、今後大きな被害を及ぼした洪水や地震に対する影響がNZ経済指標発表にも表れてくることが予想されるため、バイアスは引続き弱気としておきたい。
ユーロ円は、リビア情勢の緊迫化を受けたリスク回避の動きが一旦一服し、日経平均やGLOBEXのNYダウ先物が堅調推移となったことを受けて円売りが優勢となったほか、ECBの利上げ期待が高まっていることもサポートとなり東京市場では113.45円付近まで上昇。その後はリビア情勢や欧米勢の出方を見極めたいムードもあり動意が乏しくなると、欧州市場にかけて113.30円前後で小動きとなった。欧州勢参加後は2月の独消費者物価指数(CPI)前年同月比2.0%と市場予想平均を下回ったことで、ややインフレ圧力の高まりに対する懸念が後退したとの見方から売りが持ち込まれると113円台を割れる展開となった。NY時間でも週末を前に利益確定の売りが散発的に入りジリジリと下値を拡大すると112.310円まで下落し取引を終えた。
今週の展開
ドル円は雇用統計を始め重要な米経済指標が控えており、最近好調な指標が今週も継続されるかが焦点なろう。28日は1月米個人消費支出(POE)・1月米個人所得・2月シカゴ購買部協会景気指数・2月住宅販売保留指数、1日は1月米建設支出・2月ISM製造業景況指数、2日は2月ADP雇用統計・ベージュブック、3日新規失業保険申請件数・10-12月期米非農業部門労働生産性・2月ISM非製造業景況指数、4日は2月米雇用統計・1月米製造業新規受注などの発表が控えている。特に米2月雇用統計では、2か月連続で0.4%の改善をした失業率が今回も改善を継続できるかが大きな注目となるだろう。ただ、先週の値動きを見ると良好だった米経済指標に対するドル買いは限定的となっており、市場は指標よりアフリカ・中東情勢の緊迫化を受けたリスク許容度の変化や米長期金利の動向に傾く可能性があるだろう。そうしたなか、混迷が続くリビアでは、反体制派が首都トリポリの東部・西部、それに主な製油所のある北部地域を制圧し、カダフィ大佐に対する包囲網を狭めつつあるが、カダフィ大佐は国営テレビにて演説を行い「勝利に向けて戦う」「最後まで戦う」等とコメントするなど不透明感が漂っており、荒れた相場展開に注意が必要な週となりそうだ。
ユーロは、メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁が3月3日開催の会合で「インフレを巡る文言を強める公算」、ウェーバー独連銀総裁「金利の動きは上昇しかない」とコメントしたほか、複数の欧州要人がタカ派発言をしており、ECBは今週木曜日の理事会でインフレ警戒姿勢を強める可能性が高く、金利面からサポートされそうだ。特に対ドルでは米国10年債利回りが節目の3.5%を下回り金利差が鮮明になっているほか、テクニカル面でも5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスを形成してからの地合いは強く、今週は大台である1.400ドルも視野に入ってくるだろう。ただ、対円は中東情勢を巡る先行き不透明感の拡大を受けて市場ではリスクポジションを圧縮する円買いの動きも考えられるため、慎重に対応したい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-84.00
ユーロ・円 111.00-117.00
ポンド・円 129.00-137.00
【今週の主な経済指標】
2月28日
06:45 NZL 貿易収支
08:50 JPN 鉱工業生産
19:00 EUR 消費者物価指数
22:30 CAN 四半期経常収支
22:30 CAN 四半期GDP(年換算)
22:30 USA 個人所得
22:30 USA 個人支出
22:30 USA PCEコア・デフレータ
23:45 USA シカゴ購買部協会景気指数
3月1日
00:00 USA 中古住宅販売保留指数
08:30 JPN 完全失業率 / 有効求人倍率
09:30 AUS 四半期経常収支
09:30 AUS 小売売上高
12:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
16:00 GBR ネーションワイド住宅価格
17:55 GER 失業率 / 失業者数増減
18:28 GBR 製造業PMI
19:00 EUR 消費者物価指数
19:00 EUR 失業率
23:00 CAN 加中銀(BOC)政策金利発表
3月2日
00:00 USA ISM製造業景況指数
00:00 USA 建設支出
09:30 AUS 四半期GDP(前期比/前年比)
19:00 EUR 生産者物価指数
22:15 USA ADP民間雇用者数
3月3日
04:00 USA ベージュブック(地区連銀経済報告)-公表
09:30 AUS 貿易収支
09:30 AUS 住宅建設許可
17:58 EUR サービス業PMI
18:28 GBR サービス業PMI
19:00 EUR 小売売上高
19:00 EUR 四半期GDP
21:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
22:30 USA 新規失業保険申請件数(前週分)
3月4日
00:00 USA ISM非製造業景況指数
22:30 USA 非農業部門雇用者数 / 失業率(雇用統計)
3月5日
00:00 USA 製造業受注
00:00 CAN Ivey購買部協会指数
≪2011年2月25日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
引続きバーゲンハント的な買いが旺盛で90%の参加者が「ブル」となっている。テクニカル面では5日移動平均線と25日移動平均線がデッドクロスを形成してから地合いが弱く、短期的にはボリンジャーバンド-2σが控える81.20円、2月4日安値81.069円、去年12月31日安値80.907円がサポートとして機能するか注目しておきたい。仮に同水準を割り込んだ場合は、心理的な節目となる80円付近まで大きなサポートが見当たらないだけ注意しておきたい。
ポンド円「ブル」
英GDPの結果は-0.6%と事前予想-0.5%下回ったことから131円前半まで下落したが、同水準は年初から続く上昇トレンドの38.2%押しある上、中期サポートの200日移動平均がさしかかっており参加者は「強気」だ。今後注目される英金利の動向だが、英1月消費者物価指数(CPI)が+4%とイングランド銀行(BOE)が目標としているインフレターゲットの上限+3%を大きく上回っている状況では早期の利上げも考えられる。しかし、失業者数が予想外の増加となっているほか、国内総生産(GDP)もマイナス成長と、CPI以外の英国指標については脆弱な部分も多く、英国経済の改善に勢いが出なければ積極的に金融引き締めに舵を切っていくのも難しいか。早期の利上げに不透明な部分が残ることや、シカゴIMM先物市場において2007年以来の5万枚超までロングポジションが積み上がっていることを鑑みると上値はやや重くなるかも知れない。
NZドル円「ブル」
格付け機関S&Pは「過去80年間で最悪の地震がNZ格付けにすぐさま影響しない」との見解が好感され、売りポジションの買い戻しが散見し4営業日ぶりの反発。参加者も「強気」スタンスに変化はなかった。リビアのカダフィ政権の崩壊が近いとの見方もあり、リバウンドを狙った仕掛けも面白いが、今後大きな被害を及ぼした洪水や地震に対する影響がNZ経済指標発表にも表れてくることが予想されるため、バイアスは引続き弱気としておきたい。