FXレポート

ドル円は年初来高値を更新!84円台も視野に!  

昨日のドル円だが、東京市場序盤は5・10日の仲値需要から83.40円付近へと上昇スタートしたものの、買い一巡後は本邦輸出企業のドル売りに加え、米債償還利払いに絡む円転観測で上値が重く83.20円付近まで反落する一進一退の値動となった。ただ、正午過ぎに日銀金融政策決定会合で政策金利・金融資産買い入れ額・新型オペの規模と全員一致で据え置きを決定したなかで、景気改善テンポが鈍化から徐々に脱しつつあるとし景気判断を前進させたことが株価の上昇を誘った上、米金融大手JPモルガン・チェースが金融危機以降初めて円建て外債の発行条件を決め、円安・ドル高材料として注目を集めると83.60円付近へと反発した。欧州時間でも時間外の米長期金利が上昇し、日米金利差拡大への思惑から年初来高値の83.675円を上抜けストップロスを誘発すると、昨年12月20日以来の高値となる83.911円まで上値を拡大した。NY時間では米商務省が発表した1月の米小売売上高は前月比0.3%増と7カ月連続でプラスとなったものの、伸び率は市場予想を下回り、ドルは一時上げ幅を縮小した。しかし、2月のニューヨーク州製造業景況指数や、1月の輸入物価指数も市場予想を上回ったことから下値は限定的となり、引けにかけても米債券利回りが再度上昇したことを受けて高値圏をキープして83.774円で取引を終えた。

ユーロ円は、再建を巡り不透明感が高まっていた独ウエストLBに関して、英FT紙が「複数の貯蓄銀行や他の複数の州立銀行がウエストLBの分割で合意」と報じたほか、ユーロ圏財務相会合で「2013年に欧州金融安定メカニズムの規模を2倍にすることで合意」したこともサポートとなり、東京市場には一時 112.90円付近まで上値を拡大した。欧州市場に入ると東欧勢やロシア勢、アジア勢などの売り観測があったほか、独・仏GDPが下振れしたことが重石になったこともあり、112.55円付近まで急反落する場面もあったが、売り一巡後はポジション調整的にユーロを買い戻す動きが活発化し113.05円付近まで続伸した。NY勢参加後もギリシャの国債入札の結果などが好感された上、ポンド円やドル円が上昇基調を強めたことも追い風になると、一時113.385円まで上昇し112.985円で取引を終えた。

                                本日の展開

本日のドル円だが、堅調な米国経済指標が続いていることで買い安心感が広がっている上、年初来高値の83.675円を突破したことで去年11月より強固な抵抗帯となっている84.50円付近を試す展開が予測されよう。ただ、84-85円は本邦輸出企業の採算に合う水準であることから、同水準では依然ドル売り圧力が強く、さらに上昇するには何らかの燃料投下が必要かもしれない。また、ドル円は一本調子で上昇している反動から新規の悪材料が出た場合は格好の売り場となる可能性があり、今夜発表予定の住宅着工件数、建設許可件数が予測を下回った場合や、FOMC議事録(1月25日・26日開催分)でネガティブな材料がでた場合は注意が必要となろう。仮に83円割れまで下落するようであれば、一目均衡表の雲上限や、ボリンジャーバンドの中心線が差しかかる82円ミドルがサポートラインとなろう。

ユーロは、対ドルを中心に下値を探る展開が続きそうだ。米景気堅調・米株高・米長期金利上昇といった要因のほか、新興国を中心にドルキャリー取引の巻き戻しも高まっており、ドル買い意欲が高いと考えられる。一方のユーロは、ウェーバー独連銀総裁の退任を受けた早期利上げ観測の後退や、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の融資能力拡大についてドイツが国内情勢を背景に反対姿勢を貫いており、市場では再び足並みの乱れを不安視する声も聞かれるなど積極的には買いづらいと言えよう。また、テクニカル面でも1.3500ドルを割り込んだことで、1.3860付近を頂点としたヘッド・アンド・ショルダーが完成しており、目先は下値を探る調整局面入りとなる可能性が高まっている。対円においてもユーロ地合いは弱いと考えられるが、米景気回復の兆候を示すドル円の上昇にサポートされ、方向感が掴みづらい展開も想定される為、現時点では中立スタンスで様子をみるのが賢明とも思える。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   82.50-84.50
ユーロ・円 111.00-114.00
ポンド・円 133.50-137.00

【今日の主な経済指標】
    
14:00 JPY 金融経済月報
17:00 ZAR 消費者物価指数
18:30 GBP 失業保険申請件数
18:30 GBP 失業率
19:30 GBP 英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
20:00 ZAR 小売売上高
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
22:30 CAD 景気先行指数
22:30 CAD 対カナダ証券投資額
22:30 CAD 製造業出荷
22:30 USD 住宅着工件数
22:30 USD 建設許可件数
22:30 USD 卸売物価指数
23:15 USD 鉱工業生産
23:15 USD 設備稼働率
04:00 USD 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
06:45 NZD 四半期卸売物価指数(PPI

≪2011年2月15日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ベア」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
「ブル」継続となったが、2月に入り約4円の上昇に高値警戒感から割合は買いの52%と
参加者のポジションは拮抗している。上昇が急ピッチだったことで一旦調整が入る可能
性はあるものの、エジプトの政情不安が沈静化に向かっていることでVIX恐怖指数は16.
59と前営業日から0.64ポイント高い水準で推移するなど地政学リスクは後退しており、
米株高→米長期金利上昇→ドル高、といった流れは鮮明になっている。東京市場の展望
としては本邦輸出企業や、米債償還利払いに絡むのドル売りをこなしながら84円台を示
現できるかが焦点となりそうだ。

ポンド円「ベア」
キング英中銀総裁がオズボーン英財務相に宛てた書簡でインフレ警戒姿勢を示したこと
が買いを誘い、昨年9月以来となる135円台を示現した。参加者のポジションはボリンジ
ャーバンド+2σが135.25円付近に控えている上、RSI:14でも70%を超えるなど売りシグ
ナルの点滅から約80%が「ベア」となっている。ただし、本日発表の英中銀四半期イン
フレレポートの内容次第では、早期利上げ観測に拍車をかける可能性があり、上昇局面
で戻り売りを検討する場合はインフレレポートをしっかり見極める必要がありそうだ。

豪ドル円「ブル」
豪準備銀行議事録で「2010年第4四半期と2011年第1四半期のGDP伸び率は洪水の影響で
鈍化の見通しではあるものの、2011年第2四半期は非常に強いと予想している」などと
楽観的な内容になったことを好感し参加者の「ブル」に変化はなかった。豪準備銀行議
事録を受けて長期的には利上げ期待が回復している上、中国の消費者物価指数が下振れ
したことを背景に利上げ観測も幾分後退しており、強気のバイアスがかかりそうだ。テ
クニカル面では直近高値の83.889円を明確に上抜けた場合、心理的節目となる84円台も
視野に入ってくるだろう。しかし、83円ミドル付近で上値が抑え続けられるようなら、
一目均衡表転換線83.00円付近、あるいは25日移動平均の差しかかる82.50円付近までの
下落も想定しておきたい。

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