FXレポート

ドル円9営業日ぶり反落! 

昨日のドル円は、三連休明けとなる東京市場で序盤から利益確定売りや本邦輸出企業の円買い観測に加え、米国債償還利払いを控えた円買い圧力などが懸念され83.30円付近で軟調に推移した。また、売り一巡後も本邦第4四半期GDP・一次速報値が前期比-0.3%と予想の同-0.5%を上回り、2010年通年の成長率は実質3.9%と3年ぶりにプラスに転じたことが好感され円が買われると一時83.090円まで下落した。しかし、欧州勢参加後は時間外で米長期金利が上昇しドルのサポートとなったほか、ユーロドルの下落につれた円売り、ドル買いが出たため一時83.494円まで上昇した。NY時間では米経済指標の予定がなかったことで手掛かり材料に乏しくもみ合いが続いたが、引けにかけて米長期金利が下落に転じたことに伴ってジリジリと値を下げると83.297円で取引を終え、9営業日ぶりの反落となった。

ユーロ円は、先週の欧州債務問題が依然として材料視された上、本邦輸出企業のドル売りを受けたドル円の下落も重石となったことから、東京市場序盤に112.50円付近まで下値を探る展開となった。売り一巡後は日経平均が上昇したほか、上海株も堅調に推移したことを受けて、リスク選好のドル売り・円売りが強まると112.70円へと反発する場面も見られた。しかし、欧州市場に入ると「公的資金を注入した独州立銀行ウエストLBの救済に不透明感が高まった」との報道が伝わったことを受けてユーロ売りが活発化し112.10円付近まで押し戻された。NY時間に移っても欧州諸国の債務問題に対する懸念が根強く意識され、対ドルでは約3週間ぶりの安値となる1.34279ドルまでまで下落するなど、引けにかけてユーロの軟調地合いが続き、2日続落の112.335円で取引を終えた。

                             本日の展開

本日のドル円だが、年初来高値を上抜けしきれずに反落したため明確な上昇トレンド確認とは至らなかったが、米国の良好な経済指標とインフレ懸念を背景とした長期金利の先高観も継続しており、米ファンダメンタルは悪くないと思われる。また、エジプト情勢は流動的で引き続き注視が必要だが、暴動拡大による無秩序状態など、最悪の事態は回避されたことで地政学リスクが収束し、安全通貨の円を売り戻す動きも入りそうだ。テクニカル面でも5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスを形成し地合いは強い上、昨年11月から形成していた三角持ち合いを上抜けした形となっており、年初来高値の83.675円を突破できれば強固な抵抗帯である84.50円付近をトライする展開もあるだろう。ただ、調整的に下落に転じた場合は5日間移動平均線のさしかかる82.90円付近が目安となろうか。

ユーロ円は、タカ派の筆頭で次期ECB総裁の有力候補だったウェーバー独連銀総裁が退任することになった上、ECB当局者からは「インフレ上昇は一時的」との発言が相次いでおり、早期の利上げ観測も剥落している。また、本日は欧州連合(EU)財務相理事会が開かれ、欧州金融安定ファシリティーの機能強化策が議題に上るが、ドイツが同議題を妥結すれば国内の負担が大きくなる為、政治状況を理由にドイツが消極的な姿勢を示す可能性は否めず、足並みの乱れからユーロ売りが再燃しないとも限らない。不安要因から売り圧力が強まった場合は、25日間移動平均線のさしかかる111.75円付近がサポートラインとなるが、仮に下抜けた場合は日足一目均衡の雲上限111.10円付近まで下値余地を広げておく必要がありそうだ。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   82.90-84.50
ユーロ・円 111.00-114.00
ポンド・円 132.50-135.50

【今日の主な経済指標】
    
13:30 JPY 鉱工業生産
15:30 FRF 国内総生産
16:00 DEM 国内総生産
18:30 GBP 消費者物価指数
18:30 GBP 小売物価指数
19:00 DEM ZEW景況感調査
19:00 EUR 貿易収支
19:00 EUR 四半期域内総生産
22:30 USD ニューヨーク連銀製造業景気指数
22:30 USD 輸入物価指数
22:30 USD 輸出物価指数
22:30 USD 小売売上高
23:00 USD 対米証券投資
00:00 USD 企業在庫
00:00 USD NAHB住宅市場指数

≪2011年2月14日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ベア」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
9営業日ぶりの反落に参加者の押し目買い意欲は強く「ブル」が継続。NYダウが約2年8ヶ月ぶりの高値を更新しているほか、米長期金利は一時3.7%台と上昇しており、節目の4.0%も視野に入ってきている。また、ムバラク大統領が辞任し、エジプトの地政学的リスクの後退を背景に、米株高→米長期金利上昇→ドル高をメインシナリオとして考えることもできよう。本邦輸出企業のドル売りをこなし、今夜の米1月小売売上高が予想を上回った場合は、去年12月15日高値84.505円が視野に入りそうだ。

ポンド円「ベア」
ボリンジャーバンド+1σのかかる133.75円付近は上値が重く、参加者も逆張りのスタンスが優勢で「ベア」となっている。しかし、ポンドは英インフレ懸念が依然くすぶっているほか、英産業連盟(CBI)は「英中銀は第2四半期から利上げを開始し、政策金利を1.25%へと引き上げる」との予想を示すなど英利上げ期待は継続している。明日公表される英中銀四半期インフレレポートがインフレに関してタカ派的な内容となった場合は、踏み上げ相場となって大きく上昇する可能性があり、警戒が必要となろう。

豪ドル円「ブル」
エジプトの政情不安が一服するなか、世界的に株価が堅調推移となっており、リスク選好の展開に「ブル」となっている。しかし、洪水に加えサイクロンの影響で経済失速が懸念されるなか、最大の貿易相手国である中国が金利引上げに踏み切っており、中長期的に豪ドルの重石となりそうだ。また、テクニカル面でも直近二週間上昇を続けてきただけにポジション調整の可能性は高く、1月31日の安値80.975円から2月14日の高値83.775円の半値押し82.40円付近を下値目処としておきたい。

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