アジア勢の旧正月の休暇がスタート
金曜日のドル円は、東京市場序盤日本国債格下げを受けて上昇した利益確定の動きや、月末要因から本邦輸出企業のドル売り注文が入り82.80円付近で上値の重い展開となった。また、上海総合や日経平均が下げ幅を拡大した上、前日に発表された米雇用指標が予想を下回ったことが再び意識されると82.60円付近へと下押しした。欧州勢参加後は米第4四半期GDP速報値の発表を控えて積極的な売買も手控えられ、全般的に小動きとなるなかNY勢の参加待ちとなった。NY市場では、商務省が発表した注目の第四半期米GDP速報値が実質で前期比年率3.2%増と、市場予想平均の3.5%増より弱かったことを受けて82.20円付近まで下落した。その後発表されたミシガン大学消費者信頼感指数は74.2と市場の予想を上回ったことで一時的に下げ止まったものの、NYダウが100ドルを超す下げ幅となると81.991円まで下値を拡大。引けにかけても安値圏でもみ合いが続き82.113円で取引を終えた。
ユーロ円は、昨日の米S&Pによる日本のソブリン格付け引き下げの影響が剥落する中、本邦輸出企業の円転に加え、アジア株安を受けたリスク回避の円買いが強まったこともあり、東京市場では113.25円付近まで下落。欧州市場序盤では中国の温家宝首相が「中国は今後も債務危機問題で欧州を支援」と発言したことで一時113.60円付近まで上昇する場面も見られた。しかしその後は、エジプトでムバラク大統領の強権支配に反発する反政府デモや騒乱が続くなか、欧米の株価が大きく下落するとリスク許容度の低下から売りを誘い一気に112円を割れるまで下落。NYタイムに移っても、このところほぼ一本調子で上昇し買い持ち高が膨らんでいたほか、週末でもあるためポジション調整の売りが断続的に入り下値を拡大、前日比-2.039円の111.768円で取引を終えた。
今週の展開
今週からアジア勢の旧正月の休暇がスタートする。中国市場が2-8日、韓国市場休場も2-4日、香港、シンガポール市場が3-4日と休日となっており、中国人民銀行が旧正月前に利上げに踏み切るとの観測から中国関連のニュースには神経質な反応を示す可能性があるだろう。また、アジア時間の取引が閑散となるなか薄商いを狙った投機的な動きにも注意する必要がありそうだ。
ドル円は、1月米雇用統計(4日)を筆頭に米経済重要指標が目白押しで、12月米個人所得(31日)、1月ISM製造業景況指数(1日)、1月ADP雇用統計(2日)、12月米製造業新規受注(3日)などが予定されている。注目の1月米雇用統計は非農業部門雇用者数が13万人増と改善する一方、失業率は前月の9.4%から9.5%に悪化する見通しで、好悪のコンセンサスが予測を難しくしそうだ。また、日本のソブリンリスクだが、長期国債価格はの米格付け会社S&Pによる格下げにもかかわらず、悪材料出尽くし感などから2週間ぶりの高値を付けており、格下げの影響は限定的と考えるとこもできる。米国の財政引き締め観測や金融緩和の長期化観測が強まっている中、米格付け会社ムーディーズが「米国の格付け見通しを向こう2年以内にネガティブにする可能性が高まっている」とコメントしており、日米のソブリンリスク相殺された感があり、一方的な円安は考えにくいか。
ユーロは、先週末に急上昇した調整から大きく売られたものの、米国の財政引き締めと金融緩和長期化観測を背景にドルが売られやすい中、日本の財政悪化が注目されたことで円も積極的に買いづらいことから、相対的にユーロは買われやすい局面が続くとみる。また、欧州高債務国のソブリン・リスクに関する話題も下火となる一方、インフレ懸念を背景にECBの利上げ観測が浮上しており、ユーロ自体の地合いも強まりつつあるだろう。対ドル、対円ともにバイアスは強気としたい。ただし、短期的にはエジプトを中心としたアフリカでの政局不安、テロや大規模なストなどの影響からリスク回避のドル買い、円買いが優勢となる可能性も否定できず、警戒が必要となろう。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-85.00
ユーロ・円 109.00-117.00
ポンド・円 125.00-134.00
【今週の主な経済指標】
1月31日
6:45 NZL 貿易収支
6:45 NZL 住宅建設許可
8:50 JPN 鉱工業生産
16:00 GER 小売売上高指数
19:00 EUR 消費者物価指数
22:30 USA 個人所得
22:30 USA 個人支出
22:30 USA PCEコア・デフレータ
23:45 USA シカゴ購買部協会景気指数
2月1日
9:30 AUS 四半期住宅価格指数
12:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
16:00 GBR ネーションワイド住宅価格
17:55 GER 失業率 / 独・失業者数増減
18:28 GBR 製造業PMI
19:00 EUR 失業率
2月2日
0:00 USA ISM製造業景況指数
0:00 USA 建設支出
19:00 EUR 生産者物価指数
22:15 USA ADP民間雇用者数
2月3日
6:45 NZL 四半期失業率
9:30 AUS 住宅建設許可
9:30 AUS 貿易収支
17:58 EUR 製造業PMI
17:58 EUR サービス業PMI
18:28 GBR サービス業PMI
19:00 EUR 小売売上高
21:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
22:30 USA 新規失業保険申請件数
2月4日
0:00 USA 製造業受注
0:00 USA ISM非製造業景況指数
9:30 AUS 豪中銀四半期金融政策報告
21:00 CAN 失業率 / 加・雇用者数変化
22:30 USA 非農業部門雇用者数 / 米・失業率(雇用統計)
0:00 CAN Ivey購買部協会指数
≪2011年1月28日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ベア」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米GDPの下振れを受けて、一時81円台を示現するなどバーゲン・ハント的な買いが入り「ブル」
となっている。米GDPは3.2%と市場の事前予想には届かなかったものの、これは2010年第1四半
期以来の伸びで6四半期連続でのプラス成長となり、個人消費も4.4%と予想を上回り、2006年
第1四半期以来の強い伸びとなるなど総体的には良い内容と言え過度に悲観する必要はなく、安
値圏ではリバウンド狙いのロングポジションも検討してみたい。テクニカル面では短期的な上
値目処として5日・25日両移動平均線が集まる82.50円付近で戻り売り、下値の目処を1月3日安
値80.907円→1月7日高値83.675円の76.4%押しの81.60円付近が押し目買いと、レンジ内での逆
張りも有効となりそうだ。ただし、12月16日から1月12日を結ぶ下降トレンドと1月3日から1月2
6日を結ぶ上昇トレンドから三角保ち合いを形成しておりどちらかに大きく動くことも念頭に入
れておきたい。
ポンド円は「ブル」
CPIの上昇によるBOEの早期利上げの可能性が参加者の「強気」スタンスにつながっているもの
の、先週発表の英GDPマイナス成長のネガティブインパクトでほぼかき消されてしまったと言え
よう。また、依然として弱い雇用環境や最優先課題である財政赤字削減の進捗が芳しくない状
況を加味すれば、ポンドの上昇余地については限定的となる公算もあり、バイアスはやや弱気
となりそうだ。テクニカル面でも一目均衡表の雲下限を一気にブレイクしており、今週末に向
け低下している雲の下限に沿って下値を試すこととなれば128.00円付近までの下振れは意識し
ておきたい。
豪ドル円は「ブル」
豪洪水復興資金調達のための新税導入を受けて、売り優勢な地合いの中、NY原油先物が一時85
.11ドルまで下落すると81.30円付近まで下値を拡大した。参加者は同水準が最近のレンジ下限
になっていることで押し目買いが散発的に入り「ブル」優勢となった。米国の財政再建の遅れ
や、日本のソブリン格下げ、日米の超低金利長期化観測のなか、主要国の中で債務残高の対GD
P比率が低く、財政が比較的健全で高金利の豪ドルが改めて見直される可能性があるだろう。
ギラード豪首相が発表した新税が心理的な重石となっているものの、新税の税率は0.5%-1.0
%と低く、個人消費への影響は軽微との見方もできる。また洪水被害の概要が明らかになり、
今後は復興需要に関心が移ると見られることから、押し目での買い意欲は強いとみる。
ユーロ円は、昨日の米S&Pによる日本のソブリン格付け引き下げの影響が剥落する中、本邦輸出企業の円転に加え、アジア株安を受けたリスク回避の円買いが強まったこともあり、東京市場では113.25円付近まで下落。欧州市場序盤では中国の温家宝首相が「中国は今後も債務危機問題で欧州を支援」と発言したことで一時113.60円付近まで上昇する場面も見られた。しかしその後は、エジプトでムバラク大統領の強権支配に反発する反政府デモや騒乱が続くなか、欧米の株価が大きく下落するとリスク許容度の低下から売りを誘い一気に112円を割れるまで下落。NYタイムに移っても、このところほぼ一本調子で上昇し買い持ち高が膨らんでいたほか、週末でもあるためポジション調整の売りが断続的に入り下値を拡大、前日比-2.039円の111.768円で取引を終えた。
今週の展開
今週からアジア勢の旧正月の休暇がスタートする。中国市場が2-8日、韓国市場休場も2-4日、香港、シンガポール市場が3-4日と休日となっており、中国人民銀行が旧正月前に利上げに踏み切るとの観測から中国関連のニュースには神経質な反応を示す可能性があるだろう。また、アジア時間の取引が閑散となるなか薄商いを狙った投機的な動きにも注意する必要がありそうだ。
ドル円は、1月米雇用統計(4日)を筆頭に米経済重要指標が目白押しで、12月米個人所得(31日)、1月ISM製造業景況指数(1日)、1月ADP雇用統計(2日)、12月米製造業新規受注(3日)などが予定されている。注目の1月米雇用統計は非農業部門雇用者数が13万人増と改善する一方、失業率は前月の9.4%から9.5%に悪化する見通しで、好悪のコンセンサスが予測を難しくしそうだ。また、日本のソブリンリスクだが、長期国債価格はの米格付け会社S&Pによる格下げにもかかわらず、悪材料出尽くし感などから2週間ぶりの高値を付けており、格下げの影響は限定的と考えるとこもできる。米国の財政引き締め観測や金融緩和の長期化観測が強まっている中、米格付け会社ムーディーズが「米国の格付け見通しを向こう2年以内にネガティブにする可能性が高まっている」とコメントしており、日米のソブリンリスク相殺された感があり、一方的な円安は考えにくいか。
ユーロは、先週末に急上昇した調整から大きく売られたものの、米国の財政引き締めと金融緩和長期化観測を背景にドルが売られやすい中、日本の財政悪化が注目されたことで円も積極的に買いづらいことから、相対的にユーロは買われやすい局面が続くとみる。また、欧州高債務国のソブリン・リスクに関する話題も下火となる一方、インフレ懸念を背景にECBの利上げ観測が浮上しており、ユーロ自体の地合いも強まりつつあるだろう。対ドル、対円ともにバイアスは強気としたい。ただし、短期的にはエジプトを中心としたアフリカでの政局不安、テロや大規模なストなどの影響からリスク回避のドル買い、円買いが優勢となる可能性も否定できず、警戒が必要となろう。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-85.00
ユーロ・円 109.00-117.00
ポンド・円 125.00-134.00
【今週の主な経済指標】
1月31日
6:45 NZL 貿易収支
6:45 NZL 住宅建設許可
8:50 JPN 鉱工業生産
16:00 GER 小売売上高指数
19:00 EUR 消費者物価指数
22:30 USA 個人所得
22:30 USA 個人支出
22:30 USA PCEコア・デフレータ
23:45 USA シカゴ購買部協会景気指数
2月1日
9:30 AUS 四半期住宅価格指数
12:30 AUS 豪中銀(RBA) 政策金利発表
16:00 GBR ネーションワイド住宅価格
17:55 GER 失業率 / 独・失業者数増減
18:28 GBR 製造業PMI
19:00 EUR 失業率
2月2日
0:00 USA ISM製造業景況指数
0:00 USA 建設支出
19:00 EUR 生産者物価指数
22:15 USA ADP民間雇用者数
2月3日
6:45 NZL 四半期失業率
9:30 AUS 住宅建設許可
9:30 AUS 貿易収支
17:58 EUR 製造業PMI
17:58 EUR サービス業PMI
18:28 GBR サービス業PMI
19:00 EUR 小売売上高
21:45 EUR 欧州中央銀行(ECB) 政策金利発表
22:30 USA 新規失業保険申請件数
2月4日
0:00 USA 製造業受注
0:00 USA ISM非製造業景況指数
9:30 AUS 豪中銀四半期金融政策報告
21:00 CAN 失業率 / 加・雇用者数変化
22:30 USA 非農業部門雇用者数 / 米・失業率(雇用統計)
0:00 CAN Ivey購買部協会指数
≪2011年1月28日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ベア」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米GDPの下振れを受けて、一時81円台を示現するなどバーゲン・ハント的な買いが入り「ブル」
となっている。米GDPは3.2%と市場の事前予想には届かなかったものの、これは2010年第1四半
期以来の伸びで6四半期連続でのプラス成長となり、個人消費も4.4%と予想を上回り、2006年
第1四半期以来の強い伸びとなるなど総体的には良い内容と言え過度に悲観する必要はなく、安
値圏ではリバウンド狙いのロングポジションも検討してみたい。テクニカル面では短期的な上
値目処として5日・25日両移動平均線が集まる82.50円付近で戻り売り、下値の目処を1月3日安
値80.907円→1月7日高値83.675円の76.4%押しの81.60円付近が押し目買いと、レンジ内での逆
張りも有効となりそうだ。ただし、12月16日から1月12日を結ぶ下降トレンドと1月3日から1月2
6日を結ぶ上昇トレンドから三角保ち合いを形成しておりどちらかに大きく動くことも念頭に入
れておきたい。
ポンド円は「ブル」
CPIの上昇によるBOEの早期利上げの可能性が参加者の「強気」スタンスにつながっているもの
の、先週発表の英GDPマイナス成長のネガティブインパクトでほぼかき消されてしまったと言え
よう。また、依然として弱い雇用環境や最優先課題である財政赤字削減の進捗が芳しくない状
況を加味すれば、ポンドの上昇余地については限定的となる公算もあり、バイアスはやや弱気
となりそうだ。テクニカル面でも一目均衡表の雲下限を一気にブレイクしており、今週末に向
け低下している雲の下限に沿って下値を試すこととなれば128.00円付近までの下振れは意識し
ておきたい。
豪ドル円は「ブル」
豪洪水復興資金調達のための新税導入を受けて、売り優勢な地合いの中、NY原油先物が一時85
.11ドルまで下落すると81.30円付近まで下値を拡大した。参加者は同水準が最近のレンジ下限
になっていることで押し目買いが散発的に入り「ブル」優勢となった。米国の財政再建の遅れ
や、日本のソブリン格下げ、日米の超低金利長期化観測のなか、主要国の中で債務残高の対GD
P比率が低く、財政が比較的健全で高金利の豪ドルが改めて見直される可能性があるだろう。
ギラード豪首相が発表した新税が心理的な重石となっているものの、新税の税率は0.5%-1.0
%と低く、個人消費への影響は軽微との見方もできる。また洪水被害の概要が明らかになり、
今後は復興需要に関心が移ると見られることから、押し目での買い意欲は強いとみる。