日本長期国債格下げに一時激震!円全面安!
昨日のドル円は、FOMC声明の米景気認識が市場参加者の予想ほど明るい内容にならなかったことで、オセアニア時間から軟調な展開となるなか、月末を控えて本邦輸出企業のドル売りが入ったことから82.018円まで下落した。売り一巡後は、日経平均やアジア株、GLOBEXのNYダウ先物が堅調な動きになったことを受けて、円を積極的に買い進める展開ともならず下値も限定的になると、東京市場終盤にかけては82.10円付近でこう着となった。その後も小動きが続いていたが、欧州時間に米格付け機関S&P(スタンダードプアーズ)が日本の長期ソブリン格付けを「AA」から「AA-」への引き下げを発表すると一気に円売りが進み一時83.204円まで急騰した。格付け発表後は、野田財務相が「財政規律を守るメッセージを出し市場の信認を守る」とコメント。また、与謝野経済財政担当相は「日本政府の財政再建の取り組みは真剣だ」「S&Pの誤解は少しずつ解けていく」と発言したことで落ち着きを取り戻したものの、83.00円前後の高値圏の推移となった。NY時間では米労働省が発表した新規失業保険申請件数は45万4000件と、市場予想平均の40万5000件程度よりも悪い結果となったほか、米商務省が発表した12月の米耐久財受注も前月比2.5%減少となり、いずれも市場予想を下回ったことで83円を割れた。また、引けにかけて米7年債入札結果から米10年債利回りが3.393%まで低下すると徐々に上値が重くなり82.880円で取引を終えた。
ユーロ円は、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)債が50億ユーロの募集額に対し10倍の500億ユーロの応募が集まるなど、高い需要がみられたことを背景に東京市場序盤は112.60円付近まで上昇した。その後は豪州の新税導入の報道により豪ドルが急落した影響を受け112.40円付近までつれ安となる局面もあったが、欧州勢が参入すると日本国債の格下げが報じられ113.55円付近まで急反発した。更に欧州時間ではビニ・スマギECB(欧州中銀)専務理事が「輸入製品インフレは無視できない」と発言したことが早期利上げと連想されたことで、ユーロ買いが一段と進む展開となり一時114.006円まで続伸した。NY時間も欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測を背景としたユーロ買いと、日本の国債格下げを受けた円売りが追い風となり、地合いは強く113円後半でしっかりした展開。引けにかけ、利益確定売りに押される場面も見られたが113.807円で取引を終え、2日続伸となった。
本日の展開
米格付け機関S&Pは、日本国債の格付けを「AA」から「AA-」に1段階引き下げた。今回の引き下げの理由を「日本の財政赤字が高止まりし、財政の柔軟性が低下すると予想」とし、改めて日本の財政悪化懸念が意識されており、短期的には円売り主導の展開が予測される。ただ、格下げを受け日本国債が売られれば日本の長期金利が上昇し、日米金利差が縮小する構図を鑑みれば、強弱材料が入り混じる結果となり、今後も円安傾向が続くかは不透明だ。また、米国長期金利は、新規失業保険申請件数の悪化を受けて3.3%台へ戻しており、オバマ米大統領の財政引き締め方針を受けて長期金利の先安観が強まったことや、FOMCの結果を受けて緩和解除のハードルは高いと言えよう。10年債利回りが3.5%を突破し、ドルを押し上げる展開となるためには、本日発表される第4四半期GDPや来週の雇用統計が相当強い数字となる必要があるだろう。
ユーロドルはFOMCが全会一致で緩和維持を決定したことで米財政引き締めや金融緩和観測が強まっており、米長期金利の先安観が一段と強まってきた一方、欧州では信用不安が下火となっている上、インフレ懸念を背景にECBの利上げ観測が高まっており、両国の地合いを見てもユーロは強気スタンスを継続してもよいと思われる。また、対円も日本のソブリン格下げで一気に市場の関心が円売りに集まる可能性もあり、押し目での買い意欲は強いとみられる。テクニカル面からも前日の上昇で200日線を完全に上抜け、100日線と200日線のゴールデンクロスも間近となっており、中期的な上昇トレンド形成の兆候も見せ始めている。ただ、懸念材料としてベルギーは昨年の総選挙から228日を経ても新政権を発足させることができず、7党による連立協議を再開させるための直近の調停工作も不調に終わっている為、同国の格下げリスクが高まれば、欧州ソブリン危機が蒸し返される可能性も考えられるため、潜在的なリスクとして意識しておきたいところ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 82.00-84.00
ユーロ・円 112.00-114.50
ポンド・円 129.00-132.00
【今日の主な経済指標】
18:00 EUR マネーサプライM3
19:30 CHF KOF景気先行指数
22:30 USD 四半期実質国内総生産(GDP、速報値)
23:55 USD ミシガン大学消費者態度指数
≪2011年1月27日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ベア」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米格付け会社スタンダード&プアーズによる日本の格下げの場面ではドル買いが散見して
「ブル」優勢の展開となった。テクニカル面では3日ぶりに日足一目均衡表の雲下限を上抜
けて、5日や25日など主だった移動平均線を一気に突破するなど地合いは悪くないだろう。
仮に1月の高値83.675円をブレイクすれば12月の高値84.505円も視野に入ってこようか。
ポンド円は「ベア」
先週より抵抗帯であった132円台に乗せた事で高値警戒感から僅かに「ベア」となった。英
中銀金融政策委員会でセンタンス委員に加え、新たにウィール委員が利上げを主張したこ
とで市場では英利上げ期待が膨らんでいる。しかし、今週火曜日に発表された英第四半期
GDP速報値が予想外のマイナス成長となったばかりであり、今回の議事録で英中銀の利上げ
の可能性が高まったと考えるには時期尚早かもしれない。来月の英中銀四半期インフレレ
ポートを確認するまでは英中銀の利上げが差し迫っているとは考えにくく、過度の期待は
禁物だろう。
豪ドル円は「ブル」
ギラード豪首相が「洪水が2010~2011年の国内総生産(GDP)を0.5ポイント押し下げる見通
し」と発言したことが豪ドル売りに繋がった。豪ドル円は一時81.60円付近まで下落すると
押し目買いが散発的に入り「ブル」となっている。次回2月1日の会合で政策金利を据え置く
ことは市場のコンセンサスとなっているものの、RBAは商品価格の上昇等に対し、インフレ
抑制を優先するという考え方に立っている。今後、豪州経済指標の改善がみられれば再び利
上げ期待が高まることも想定されよう。また、対円では市場の関心が日本の財政悪化にシフ
トする可能性があり、下落局面では買い場を探してみたい。
ユーロ円は、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)債が50億ユーロの募集額に対し10倍の500億ユーロの応募が集まるなど、高い需要がみられたことを背景に東京市場序盤は112.60円付近まで上昇した。その後は豪州の新税導入の報道により豪ドルが急落した影響を受け112.40円付近までつれ安となる局面もあったが、欧州勢が参入すると日本国債の格下げが報じられ113.55円付近まで急反発した。更に欧州時間ではビニ・スマギECB(欧州中銀)専務理事が「輸入製品インフレは無視できない」と発言したことが早期利上げと連想されたことで、ユーロ買いが一段と進む展開となり一時114.006円まで続伸した。NY時間も欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測を背景としたユーロ買いと、日本の国債格下げを受けた円売りが追い風となり、地合いは強く113円後半でしっかりした展開。引けにかけ、利益確定売りに押される場面も見られたが113.807円で取引を終え、2日続伸となった。
本日の展開
米格付け機関S&Pは、日本国債の格付けを「AA」から「AA-」に1段階引き下げた。今回の引き下げの理由を「日本の財政赤字が高止まりし、財政の柔軟性が低下すると予想」とし、改めて日本の財政悪化懸念が意識されており、短期的には円売り主導の展開が予測される。ただ、格下げを受け日本国債が売られれば日本の長期金利が上昇し、日米金利差が縮小する構図を鑑みれば、強弱材料が入り混じる結果となり、今後も円安傾向が続くかは不透明だ。また、米国長期金利は、新規失業保険申請件数の悪化を受けて3.3%台へ戻しており、オバマ米大統領の財政引き締め方針を受けて長期金利の先安観が強まったことや、FOMCの結果を受けて緩和解除のハードルは高いと言えよう。10年債利回りが3.5%を突破し、ドルを押し上げる展開となるためには、本日発表される第4四半期GDPや来週の雇用統計が相当強い数字となる必要があるだろう。
ユーロドルはFOMCが全会一致で緩和維持を決定したことで米財政引き締めや金融緩和観測が強まっており、米長期金利の先安観が一段と強まってきた一方、欧州では信用不安が下火となっている上、インフレ懸念を背景にECBの利上げ観測が高まっており、両国の地合いを見てもユーロは強気スタンスを継続してもよいと思われる。また、対円も日本のソブリン格下げで一気に市場の関心が円売りに集まる可能性もあり、押し目での買い意欲は強いとみられる。テクニカル面からも前日の上昇で200日線を完全に上抜け、100日線と200日線のゴールデンクロスも間近となっており、中期的な上昇トレンド形成の兆候も見せ始めている。ただ、懸念材料としてベルギーは昨年の総選挙から228日を経ても新政権を発足させることができず、7党による連立協議を再開させるための直近の調停工作も不調に終わっている為、同国の格下げリスクが高まれば、欧州ソブリン危機が蒸し返される可能性も考えられるため、潜在的なリスクとして意識しておきたいところ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 82.00-84.00
ユーロ・円 112.00-114.50
ポンド・円 129.00-132.00
【今日の主な経済指標】
18:00 EUR マネーサプライM3
19:30 CHF KOF景気先行指数
22:30 USD 四半期実質国内総生産(GDP、速報値)
23:55 USD ミシガン大学消費者態度指数
≪2011年1月27日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ベア」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米格付け会社スタンダード&プアーズによる日本の格下げの場面ではドル買いが散見して
「ブル」優勢の展開となった。テクニカル面では3日ぶりに日足一目均衡表の雲下限を上抜
けて、5日や25日など主だった移動平均線を一気に突破するなど地合いは悪くないだろう。
仮に1月の高値83.675円をブレイクすれば12月の高値84.505円も視野に入ってこようか。
ポンド円は「ベア」
先週より抵抗帯であった132円台に乗せた事で高値警戒感から僅かに「ベア」となった。英
中銀金融政策委員会でセンタンス委員に加え、新たにウィール委員が利上げを主張したこ
とで市場では英利上げ期待が膨らんでいる。しかし、今週火曜日に発表された英第四半期
GDP速報値が予想外のマイナス成長となったばかりであり、今回の議事録で英中銀の利上げ
の可能性が高まったと考えるには時期尚早かもしれない。来月の英中銀四半期インフレレ
ポートを確認するまでは英中銀の利上げが差し迫っているとは考えにくく、過度の期待は
禁物だろう。
豪ドル円は「ブル」
ギラード豪首相が「洪水が2010~2011年の国内総生産(GDP)を0.5ポイント押し下げる見通
し」と発言したことが豪ドル売りに繋がった。豪ドル円は一時81.60円付近まで下落すると
押し目買いが散発的に入り「ブル」となっている。次回2月1日の会合で政策金利を据え置く
ことは市場のコンセンサスとなっているものの、RBAは商品価格の上昇等に対し、インフレ
抑制を優先するという考え方に立っている。今後、豪州経済指標の改善がみられれば再び利
上げ期待が高まることも想定されよう。また、対円では市場の関心が日本の財政悪化にシフ
トする可能性があり、下落局面では買い場を探してみたい。