FXレポート

米景気浮揚期待が高まる一方、欧州ソブリンリスクに引続き警戒!

昨日のドル円は序盤、欧州のソブリンリスクからユーロ円が下落したことに連れて83円を割れる展開となったものの、日足一目均衡表雲上限の位置する82.90円前後がサポートとして意識されると反発し、底堅い値動きとなった。その後は東京市場が成人の日のため祝日休場で市場参加者が減少しているほか、取引材料も乏しかったことで概ね83.10円前後での小動きが続いた。欧州勢参加後も新規材料難から83円台前半での狭いレンジでの取引が続き、動意の乏しい値動きが継続。しかし、NY時間に入ると今年のG20議長国であるフランスのサルコジ大統領が訪米しオバマ大統領との首脳会談が開催され、サルコジ大統領がドルを基軸通貨とする国際通貨体制の改革を呼びかけたことでドル売りが膨らむと一時82.667円まで下落した。引けにかけてもNYダウが軟調に推移したことに加え、米長期金利の低下が重しとなり82.693円で取引を終えた。

ユーロ円は、欧州圏諸国の国債入札への懸念を背景とした売りが散発的に入った事で序盤は106.90円付近まで下落する場面もあったが、売り一巡後は107.20円付近まで回復し一進一退の値動きとなった。欧州時間に移ると一部通信社が「欧州中央銀行(ECB)はポルトガルやアイルランドなどの国債を購入した」と報じるとポルトガルなど南欧諸国とドイツ10年物国債の利回り格差が縮小し107.668円と高値を更新した。また、パリを訪問している玉木財務官が「日本は近く、ユーロ圏に投資する可能性」「日本政府がユーロ圏国債の買入れを検討する可能性」等と述べた事も、ユーロの押し上げに寄与する形となった。しかし、NY勢参加後はダウ平均が一時100ドル超下落すると、リスク回避の売りに押されて106.820円まで下値を拡大。引けにかけて107円台を何とか回復したが3日続落の107.109円で取引を終えた。

                              本日の展開

12月の米雇用統計の発表を終えて非農業部門雇用者数が予想を下回るなど、米景気回復への過度な期待は後退したものの、失業率が大幅改善した上、10月分・11月分の非農業部門雇用者数が上方修正されるなど、全体的にみれば米労働市場の緩やかな回復継続を映し出す内容と言えよう。また、ドルの相対的な動きを指数化したドルインデックスも一時81.27をつけ、昨年11月30日の81.19を突破する等、ドルに強気のバイアスがかかりやすい状況となっている。ただ、対円では83.00円付近では本邦輸出の売りオーダーが観測されている上、短期的なサポートとして期待された5日間移動平均線82.90円付近を下抜けおり、テクニカル的な地合いは目先は悪化傾向にあると言える。下値目途として今年の安値、高値の半値押しにあたる82.30円付近は意識しておきたい。

ユーロドルは、米国の緩やかな景気回復シナリオとドルの先高観は維持される一方、ユーロは依然ソブリンリスクが燻っており、今週水曜日にポルトガル、木曜日にスペインとイタリアの国債入札を控えて債務国の国債利回りが一段と上昇する可能性から引続きダウンサイドリスクが高いといえよう。また、対円もドル円が84円台まで上昇していくような展開とならない限り、対ドルの下落に連れ安となることは避けられない局面か。テクニカル的にもこれといったサポートラインがない上、4ヶ月ぶりの安値を更新して下落モメンタムが加速しており、昨年の安値となった105.424円を視野に入れる展開も考えておきたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   82.30-84.00
ユーロ・円 106.00-109.00
ポンド・円 126.00-131.00

【今日の主な経済指標】

14:00  JPY  景気一致指数
22:15  CAD  住宅着工件数
24:00  USD  卸売在庫 

≪2011年1月10日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米長期金利の低下から軟調な値動きとなったものの、景気浮揚期待や金利先高観は
継続されており、参加者の心理にも変化はなく「ブル」となっている。バーナンキ
議長は先週「FRBはQE(量的緩和)から円滑に脱却する手段有している」と前向き
な見方から、今年6月に予定されているQE3に突入する可能性は低くなっており、米
長期金利の先高観も継続する可能性が高いと言えようか。

ポンド円は「ブル」
英国の12月のハリファックス住宅価格が事前予想以上に下落したことが嫌気された
ほか、アラスカの石油パイプライン事故が英BP社のものだったことでポンド円は12
8円前半まで下落すると割安感から買いが入り「ブル」となった。英付加価値税(V
AT)引き上げに伴う便乗値上げで、英インフレ率は今年前半に加速すると予想され
ており、一部では英中銀の早期利上げ観測も浮上している。日米欧に比べポンドは
金利面での地合いも悪くない上、相対的に売られ過ぎを修正する動きも出ており、
本日もリバウンド狙いや、バーゲンハント的な買いを呼び込む可能性はあるだろう。

豪ドル円は「ブル」
豪北東部のクイーンズランド州で発生した洪水が依然として豪ドルの圧迫要因とな
るなか、上海総合指数が1%超下落したことがセンチメントを更に悪化させ一時82
円を割れる展開となったが、参加者は絶好の買い場とみて「ブル」は継続されてい
る。豪洪水被害を材料とした豪ドル売りもすでに1週間以上が経過し、ロングの整
理も一巡したと考えることができ、加えて米景気浮揚期待を背景に商品相場は概ね
底堅く推移しており、更に下押しする局面では押し目買いを検討してみたい。

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