FXレポート

米7年債入札の結果を受けた米長期金利の動向に注目!

昨日のドル円は、東京市場序盤に発表された本邦11月失業率が5.1%と予想通りの結果となったほか、11月鉱工業生産指数もほぼ予想通りの結果となったことで方向感に乏しいスタートとなった。しかし、年末の薄商いから値が振れやすい相場となる中、月内・年内最終のスポット日となる本邦輸出企業のドル売りが断続的に持ち込まれたことから、82.50円付近へと軟化。さらに中国の金融引き締め懸念などを背景に上海株が下げ幅を拡大して引ける展開になったことでリスク回避の円買いが強まると、欧州市場にかけては82.35円付近まで下値を拡大した。欧州時間では日足一目均衡表の雲下限82.40円や12月7日安値82.337円を下抜けると下げ足を速めたほか、米10年物国債利回りが低下したことが重なりストップロスを巻き込んで一時81.822円まで続落した。NY勢参加後も米10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数が前年比0.8%低下と前月の前年比0.6%上昇から悪化し弱い結果となると、81.83円付近で低空飛行が継続した。しかし、その後発表された米リッチモンド連銀が発表した12月の製造業景気指数が市場予想上回ったことで米金利の上昇幅が広がりドル売りが一服すると82円台を回復。引けにかけても米5年債入札が不調に終わった事で米10年物国債利回りが一時3.46%台まで続伸したことで日米金利差の拡大を意識した買い戻しが断続的に散見され82.439円取引を終えた。

ユーロ円は、年末で市場参加者が少なく流動性に乏しかった中、アジア中銀のユーロ買い観測などからストップロスを巻き込み東京市場序盤に一時109.50円付近まで上昇する場面が見られた。しかし買い戻し一巡後は上海株の軟調推移を受けて、リスク選好姿勢が後退すると円が買い戻され、欧州市場序盤には本邦輸出企業の売りが断続的に入ったこともあり108.90円付近まで下押した。その後もECBのフィキシングにかけてユーロ売りが持ちこまれたことや、欧州各国とドイツとの10年債利回り格差は拡大から欧州ソブリンリスクが嫌気され一本調子で続落となった。NY時間に移ってもモデル系ファンドの売りが観測されると11月30日の安値108.342円を下抜け一時107.631円まで下値を拡大した。引けにかけドル円のショートカバーにつれた円売りが散発的に入ると108.143円まで回復し取引を終えた。

                               本日の展開

本日の展開だが、年末のポジション調整や薄商いを狙ったファンドの仕掛けなど特殊なフローが飛び交う可能性があることから、振れの大きい展開も想定しておくべきだろう。また、今夜実施される米7年債入札の結果を受けた米長期金利の動向にも警戒が必要なほか、依然として欧州の財政懸念が根強く欧州発のニュースにも注意を払いたい。

ドル円は、連邦準備制度理事会(FRB)の追加緩和政策の効果に伴う株価など資産価格の上昇を背景に年末商戦が好調となっており、前年比4%増の売り上げが予想されるなど米景気回復の期待から年末に向けてドルのサポート要因となりそうだ。また、本邦輸出企業のスポット円転も年内最終受け渡しが終了しており需給面でもバイアスは強気となろう。ただテクニカル面では一目均衡表の遅行スパンが日足とデッドクロスし、転換線と基準線はいずれも下向きに傾いており弱気シグナルが点灯しているといえよう。雲下限の82.40円付近を明確下回れば下落トレンド突入の危険性は否めないだろう。

ユーロ円は、中国の利上げも概ね消化済みとなったことや、NYダウが年初来高値を更新するなどリスク選好の流れがサポート要因となろう。また、年末を前にした最終的なポジション調整や前日の下落に対してショート・ポジションが巻き戻されやすくなっており戻りを試す展開も予測される。ただし、クリスマス休暇明けのロンドン市場で欧州財政危機国のソブリンリスクが再び蒸し返される展開となれば上昇余地は限定的か。テクニカル面でも11月30日の安値108.342円を下抜けたことで年初来安値である105.424円まで大きなサポートが見当たらないことも懸念材料だろう。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   81.200-83.10
ユーロ・円 106.80-109.20
ポンド・円 124.80-128.00

【今日の主な経済指標】

18:00 EUR マネーサプライM3
19:30 CHF KOF景気先行指数
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数

≪2010年12月28日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米10月のケース・シラー住宅価格指数が市場予想を下回って11月12日以来の安値水準に
押し目買いが散見した事や、米5年債の入札結果を背景に米債券市場で利回りが上昇し
たことが追い風となって「ブル」となった。今夜も7年債入札が予定されており、入札
が不調に終わった場合、金利上昇からドル買いの契機となる可能性があるものの、好調
な結果となれば金利は低下しドル安要因となることから入札結果を受けた米金利動向を
慎重に見極めたい。

ポンド円は「ブル」
ロンドン市場が休場で薄商いの中、本邦輸出企業の売りやモデル系ファンドのまとまっ
た売りが観測され126円前半まで下落するとバーゲンハント的な買いが集中し「ブル」
となった。英住宅価格指数の低下に加えて、民間調査会社によるクリスマス期間中の英
小売動向調査では小売店販売額が前年比-22.8%と振るわず、英経済に対する根強い不
透明感が引き続きポンド上昇の足かせとなりそうだ。ただ対ドルは米長期金利が高値圏
にあることから、一旦調整の局面となれば年末を前に対ドルではショートカバーが入る
可能性もあるだろう。

豪ドル円は「ブル」
日米欧の金利差を背景とした買いや、第一生命が豪生保大手タワー・オーストラリア・
グループを約1,000億円で買収する方針を固めたとの報道もサポート材料となり「ブル」
は継続された。中国の利上げという悪材料を無事消化したことで安心感は広がっている
上、ボラティリティ低下からキャリートレードには好環境が続いており、下値を切り上
げる展開となろうか。ただテクニカル的には12月14日高値83.676円を抜けきれない展開
が続いており高値警戒感が強まっているため、仮に上抜けできない場合は短期的な調整
局面への移行する可能性は否定できず注意はしておきたい。

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