日米金利差の拡大!米ドル円は81.964円まで上昇!
昨日のドル円は、東京市場序盤に発表された日本の9月国際収支の結果が経常収支+1兆9,598億円(予想+1兆6,843億円)、貿易収支+9,269億円(予想+8,769億円)といずれも予想を上回ったことが好感され81円を割れる展開となった。その後も欧州諸国の財政懸念が材料視され、欧州市場ではユーロ円が111円台後半まで下落するなどリスク回避の円買い地合いが強まり、ドル円は80円台後半で上値の重い値動きが続いた。しかし、NY勢参加後は米9月卸売在庫が強い内容となったことや、米10年物国債の利回りが上昇幅を広げるなど日米金利差の拡大を意識した買いも加わり、81円台を回復。さらに引けにかけストップロスを巻き込むと前日高値81.435円や、米連邦公開市場委員会(FOMC)直後に付けた高値81.522円を上抜けし、10月27日以来の81.964円まで上昇、その後は軟調地合となり81.721円で取引を終えた。
ユーロはPIIGS諸国の財政懸念を背景としたユーロ売り地合いが継続する中、オセアニア市場で対ドルはストップロスを巻き込みつつ1.3850付近へと急落。さらに日経平均や上海株など株価軟調を背景にリスク回避ムードも広がるなか上値は限定的となり、東京市場終盤に一時1.3835ドル付近まで下値を拡大。一方、対円も欧州の信用不安を背景に東京市場序盤に112.40円付近まで下落すると、その後は中国の資本流入規制発表や株安を受けたリスク回避の円買いも加わり112.10円付近まで下値を拡大した。さらに欧州勢の参入後には欧州の債務問題が引き続き材料視される中、111.75円付近まで続落した。ただその後は、時間外のダウ先物や英・独の株価指数が持ち直し、リスク志向が改善すると円が売られたほか、ギリシャの26週物政府証券入札を無難に通過、資金繰り懸念が緩和したとして112円台まで上昇した。NY時間ではドル円が強含み81円台後半まで上昇する中、ドル円の上昇がクロス円を牽引すると112.569円まで回復し取引を終えた。
本日の展開
本日のドル円は、強力なレジスタンスとなっていた25日間移動平均線の81.50円付近を明確に上抜いたことでテクニカル面ではサポートとなりそうだ。また、ドイツ政府筋からメルケル首相はサミットで米国の金融政策を取り上げる方針であるとの話がでているように、G20に向け先進国を含めた米ドル安是正の機運が高まっており、目先は米ドルが買い戻されやすい地合いを予測することもできる。しかし、本格的な反発には3週間以上に渡ってレジスタンスとなっている82.00円付近を明確にブレイクしてくることが必要で、81円台後半から82円台にかけては本邦輸出企業のドル売り需要も根強いことからドル上昇にはまだ強気一辺倒とはいかない模様だ。尚、11日の米国は退役軍人の日(Veterans' Day)のため、新規失業保険申請件数など本来木曜日に公表される経済指標が前倒しで本日(10日)に発表される。
ユーロ円は昨日111.717円を示現するなど大幅に水準を下げた。ただし8月安値と10月高値の38.2%押しであり、10月に強いサポートとなった111円台後半を短期的な下値目途と見る向きも多く、同水準では押し目買いを仕掛ける参加者も散見されている。しかし、テクニカル的な要因から下値はサポートされている現状だが、ファンダメンタルでは米国の金融緩和を背景としたドル売りが一服し、ユーロが相対的に売られやすくなっている上、欧州PIIGS諸国の財政懸念も強まっている。今週木・金曜日の20カ国・地域(G20)首脳会議では、米国の量的緩和やドル安に対して各国の批判が集中する可能性があり、対ドルでは木曜日までドルのショート・ポジションを縮小する可能性も否めない。対円も本邦輸出企業の売りオーダーが下方修正してきており、113円台は重い展開が予想される。仮に10月20日安値の111.556円を下回るような場合は、心理的な節目ともなる大台110.00円付近まで下値余地が拡大する可能性もあり注意を要したい。
[今日の予想レンジ]
米ドル円 80.50-82.50
ユーロ円 110.50-113.50
ポンド円 129.00-132.50
【今日の主な経済指標】
14:00 JPY 消費者態度指数
15:30 FRF 消費者物価指数
16:00 DEM 卸売物価指数
16:45 FRF 鉱工業生産指数
19:30 GBP 英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
22:30 CAD 貿易収支
22:30 USD 貿易収支
22:30 USD 輸入物価指数
22:30 USD 輸出物価指数
22:30 USD 新規失業保険申請件数
04:00 USD 月次財政収支
≪2010年11月9日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米10年債入札後に米金利が上昇幅を広げ、日米金利差の拡大を意識した参加者の買いが
集まって「ブル」となった。しかし、今週木曜日には中国の消費者物価指数など経済指
標の発表が集中しており、インフレ懸念が確認された場合は、中国人民銀行の金融引き
締め観測が浮上する可能性もあることから注意が必要だろう。米雇用統計の上振れ後ド
ルの独歩安には歯止めがかかっているものの、米量的緩和に伴う今後のドルの価値希薄
化懸念や信認低下懸念もくすぶっており、昨夜からのドル上昇は一過性のとの見方もで
きようか。
ポンド円は「ブル」
ロンドンフィキシングにかけて米系のまとまった売りが入ったとの観測が聞かれると軟
調な値動きが続き、一時129.838円まで下げ幅を拡大すると、大量の買いが集まり「ブ
ル」。先日のGDP発表以降、英中銀の緩和観測は一旦後退している状況だが、IMFは昨日
発表した英経済の年次報告で、英政府の財政再建により、英中銀による資産買取プログ
ラムは増加する可能性を示唆している。本日は英中銀四半期インフレ報告が発表される
が、ハト派的な見方が強まるようであれば、再び市場が緩和観測を強める可能性も十分
に秘めている。
豪ドル円は「ブル」
今週木曜日には10月豪雇用統計や、中国の消費者物価指数など重要経済指標の発表が集
中しており参加者のポジション調整も散見されたが、終値は82円台をキープするなど堅
調な地合いを背景に本日も「ブル」となっている。世界的な「通貨安戦争」のなか、ス
ワン豪財務相は「強い豪ドルは、強い豪経済を反映している」「豪ドル高は商品価格・
金利格差と一致し、安定の役割を果たしている」と指摘しており、豪ドル高容認のスタ
ンスだ。また、ゼーリック世銀総裁は「新しい基準として金を採用すべき」との見解を
示している。ドル安・ユーロ安に対する代替需要からNY金先物が史上最高値を更新する
など資源国通貨としての側面からも豪ドルの堅調な推移が続きそうだ。
ユーロはPIIGS諸国の財政懸念を背景としたユーロ売り地合いが継続する中、オセアニア市場で対ドルはストップロスを巻き込みつつ1.3850付近へと急落。さらに日経平均や上海株など株価軟調を背景にリスク回避ムードも広がるなか上値は限定的となり、東京市場終盤に一時1.3835ドル付近まで下値を拡大。一方、対円も欧州の信用不安を背景に東京市場序盤に112.40円付近まで下落すると、その後は中国の資本流入規制発表や株安を受けたリスク回避の円買いも加わり112.10円付近まで下値を拡大した。さらに欧州勢の参入後には欧州の債務問題が引き続き材料視される中、111.75円付近まで続落した。ただその後は、時間外のダウ先物や英・独の株価指数が持ち直し、リスク志向が改善すると円が売られたほか、ギリシャの26週物政府証券入札を無難に通過、資金繰り懸念が緩和したとして112円台まで上昇した。NY時間ではドル円が強含み81円台後半まで上昇する中、ドル円の上昇がクロス円を牽引すると112.569円まで回復し取引を終えた。
本日の展開
本日のドル円は、強力なレジスタンスとなっていた25日間移動平均線の81.50円付近を明確に上抜いたことでテクニカル面ではサポートとなりそうだ。また、ドイツ政府筋からメルケル首相はサミットで米国の金融政策を取り上げる方針であるとの話がでているように、G20に向け先進国を含めた米ドル安是正の機運が高まっており、目先は米ドルが買い戻されやすい地合いを予測することもできる。しかし、本格的な反発には3週間以上に渡ってレジスタンスとなっている82.00円付近を明確にブレイクしてくることが必要で、81円台後半から82円台にかけては本邦輸出企業のドル売り需要も根強いことからドル上昇にはまだ強気一辺倒とはいかない模様だ。尚、11日の米国は退役軍人の日(Veterans' Day)のため、新規失業保険申請件数など本来木曜日に公表される経済指標が前倒しで本日(10日)に発表される。
ユーロ円は昨日111.717円を示現するなど大幅に水準を下げた。ただし8月安値と10月高値の38.2%押しであり、10月に強いサポートとなった111円台後半を短期的な下値目途と見る向きも多く、同水準では押し目買いを仕掛ける参加者も散見されている。しかし、テクニカル的な要因から下値はサポートされている現状だが、ファンダメンタルでは米国の金融緩和を背景としたドル売りが一服し、ユーロが相対的に売られやすくなっている上、欧州PIIGS諸国の財政懸念も強まっている。今週木・金曜日の20カ国・地域(G20)首脳会議では、米国の量的緩和やドル安に対して各国の批判が集中する可能性があり、対ドルでは木曜日までドルのショート・ポジションを縮小する可能性も否めない。対円も本邦輸出企業の売りオーダーが下方修正してきており、113円台は重い展開が予想される。仮に10月20日安値の111.556円を下回るような場合は、心理的な節目ともなる大台110.00円付近まで下値余地が拡大する可能性もあり注意を要したい。
[今日の予想レンジ]
米ドル円 80.50-82.50
ユーロ円 110.50-113.50
ポンド円 129.00-132.50
【今日の主な経済指標】
14:00 JPY 消費者態度指数
15:30 FRF 消費者物価指数
16:00 DEM 卸売物価指数
16:45 FRF 鉱工業生産指数
19:30 GBP 英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
22:30 CAD 貿易収支
22:30 USD 貿易収支
22:30 USD 輸入物価指数
22:30 USD 輸出物価指数
22:30 USD 新規失業保険申請件数
04:00 USD 月次財政収支
≪2010年11月9日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米10年債入札後に米金利が上昇幅を広げ、日米金利差の拡大を意識した参加者の買いが
集まって「ブル」となった。しかし、今週木曜日には中国の消費者物価指数など経済指
標の発表が集中しており、インフレ懸念が確認された場合は、中国人民銀行の金融引き
締め観測が浮上する可能性もあることから注意が必要だろう。米雇用統計の上振れ後ド
ルの独歩安には歯止めがかかっているものの、米量的緩和に伴う今後のドルの価値希薄
化懸念や信認低下懸念もくすぶっており、昨夜からのドル上昇は一過性のとの見方もで
きようか。
ポンド円は「ブル」
ロンドンフィキシングにかけて米系のまとまった売りが入ったとの観測が聞かれると軟
調な値動きが続き、一時129.838円まで下げ幅を拡大すると、大量の買いが集まり「ブ
ル」。先日のGDP発表以降、英中銀の緩和観測は一旦後退している状況だが、IMFは昨日
発表した英経済の年次報告で、英政府の財政再建により、英中銀による資産買取プログ
ラムは増加する可能性を示唆している。本日は英中銀四半期インフレ報告が発表される
が、ハト派的な見方が強まるようであれば、再び市場が緩和観測を強める可能性も十分
に秘めている。
豪ドル円は「ブル」
今週木曜日には10月豪雇用統計や、中国の消費者物価指数など重要経済指標の発表が集
中しており参加者のポジション調整も散見されたが、終値は82円台をキープするなど堅
調な地合いを背景に本日も「ブル」となっている。世界的な「通貨安戦争」のなか、ス
ワン豪財務相は「強い豪ドルは、強い豪経済を反映している」「豪ドル高は商品価格・
金利格差と一致し、安定の役割を果たしている」と指摘しており、豪ドル高容認のスタ
ンスだ。また、ゼーリック世銀総裁は「新しい基準として金を採用すべき」との見解を
示している。ドル安・ユーロ安に対する代替需要からNY金先物が史上最高値を更新する
など資源国通貨としての側面からも豪ドルの堅調な推移が続きそうだ。