FXレポート

財務省・日銀は正念場!市場介入に踏み切れるか!?

金曜日のドル円は実質的な5・10日ということもあり仲値でのドル需要があった上、野田財務相が「必要なときに断固たる措置をとる」「為替介入はG7の前後であろうと関係ない」と発言したことも下支え要因となる中、82.50円付近へと小幅に上昇。その後は米雇用統計やワシントンで開催される先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を控えてポジションを大きく傾けにくく、欧州勢参加後も動意がなくもみ合いが続いた。NY市場では米雇用統計が発表され、米国の9月失業率は9.6%と前月から横ばいだった一方、非農業部門雇用者数変化は-9.5万人と予想(-0.5万人)より大幅に悪化し、2010年6月以来最大のマイナス幅を記録したことで一時81.730円まで値を下げ15年ぶりの安値を記録した。引けにかけ米10年物国債利回りが低下幅を縮めると、買い戻しが散発的に入り小幅反発し82円台に回復、82.081円で取引を終えた。

ユーロ円は、米雇用統計の発表やG7を控えて模様眺めムードが強まり、東京市場序盤にはこう着状態が続いたものの、その後は米格付け会社ムーディーズが中国の格付けを引き上げる方向で見直すと発表したことを受けて、リスク選好の流れから114.90円付近へと強含む展開になった。欧州市場序盤にかけては日経平均が安値引けし、GLOBEXのNYダウ先物も下げ幅を拡大する展開になる中、米雇用統計やG7を前にポジション調整の動きが強まり、114.60円付近へと小幅に押し戻された。NY時間では米雇用統計が予想を大幅に悪化すると一気にドル安が強まり、対ドルでユーロ買いが一時強まると、つられて114.80円付近まで上値を拡大した。ただし、ユンケル・ルクセンブルク首相(ユーログループ議長)が「ユーロは強過ぎる」「ドルはファンダメンタルと一致していない」などと発言し、ユーロ高をけん制したと伝わると売り優勢の展開となり、一時113.657円まで下落した。引けにかけ週末のポジション調整もあり、114.324円まで回復し取引を終えた。

                           今週の展開

ドル円は、米9月雇用統計の弱い内容を受けて81.730円まで下落しており、1995年4月の最安値79.750円を意識した展開が予測される中、来月2-3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加緩和措置の実施を睨んで、ドル売り相場が継続するのか、財務省・日銀が介入を実施できるかが今週最大の焦点となるだろう。円売り・ドル買い介入についてはG7が終了したことで今週中に実施する可能性は高いと思われ、月曜日は本邦が祭日であるものの、市場介入はいつ入ってもおかしくないと考えておいたほうがいいだろう。ただし、日銀の追加金融緩和が円高抑止効果をほとんど発揮しなかった失望感が高まっている中、介入効果は限定的となる事は想定しておきい。また、今週から米企業の7-9月の決算発表がスタートし、堅調なNYダウを支えられるか、リスク許容度の変化にも注視したい。ただし、株式市場が下落すればリスク回避型の円買い、上昇すればリスク選好型のドル売りと、いずれのケースでもドル売りの口実とされる可能性も否定できない。その他材料は、12日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、14日に8月米貿易収支、9月米卸売物価指数、15日に米消費者物価指数、9月米小売売上高、10月ミシガン大・消費者態度指数などを受けて米金融追加緩和を維持するかが注目となろう。

一方のユーロは、米景気の下振れ懸念やFRBの追加金融緩和観測が強まっていることから、来月2・3日の FOMCで大規模な国債買い入れが打ち出される可能性が高まっている一方、ECBは危機対応の追加金融緩和措置を段階的に解除する姿勢を示しており、米欧の金融スタンス格差は拡大方向にある。欧州PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)諸国の信用不安の話題も下火となり、金融市場が落ち着いていることも買い安心感につながるだろう。また、対ドル、対円の水準は過去数年間のレンジからみれば高すぎるとはいえず、ユーロ買いのバイアスは引き続き強いものと考えられる。


[今週の予想レンジ]
ドル ・円   79.50-86.00
ユーロ・円 108.00-117.50
ポンド・円 127.00-137.00

【今週の主な経済指標】
11日
10:30 AUD 住宅ローン件数[前月比]     
15:45 FRF 鉱工業生産指数[前月比]

12日     
08:01 GBP 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数    
08:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査[前年同月比]         
09:30 AUD NAB企業景況感指数        
14:00 JPY 消費者態度指数・一般世帯         
15:00 DEM 消費者物価指数(CPI、改定値)[前月比]    
15:45 FRF 経常収支    
17:30 GBP 小売物価指数(RPI)[前年同月比]    
17:30 GBP 小売物価指数(RPI)[前月比]    
17:30 GBP 消費者物価指数(CPI)[前年同月比]    
17:30 GBP 消費者物価指数(CPI)[前月比]    
17:30 GBP 貿易収支

13日     
03:00 USD 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨             
08:50 JPY 機械受注[前月比]     
08:50 JPY マネーストックM2[前年同月比]     
14:30 FRF 消費者物価指数(CPI)[前月比]     
16:15 CHF 生産者輸入価格[前月比]    
17:30 GBP 失業保険申請件数     
17:30 GBP 失業率
18:00 EUR 鉱工業生産[前月比]    
18:30 ZAR 小売売上高[前年同月比]     
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]         
21:30 USD 輸出物価指数[前月比]    
21:30 USD 輸入物価指数[前月比]
21:30 CAD 新築住宅価格指数[前月比]     

14日
03:00 USD 月次財政収支         
06:45 NZD 小売売上高指数[前月比]    
08:50 JPY 国内企業物価指数[前年同月比]    
08:50 JPY 国内企業物価指数[前月比]    
09:00 SGD 四半期国内総生産(GDP、速報値)[前期比年率]    
17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報             
21:30 USD 新規失業保険申請件数    
21:30 USD 卸売物価指数(PPIコア指数、食品・エネルギー除く)[前月比]     
21:30 USD 卸売物価指数(PPI)[前月比]     
21:30 USD 貿易収支    
21:30 CAD 貿易収支     

15日
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債)[前週分]        
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対内株式)[前週分]         
13:30 JPY 鉱工業生産・確報値[前月比]          
18:00 EUR 貿易収支    
18:00 EUR 消費者物価指数(HICP、改定値)[前年同月比]     
21:30 USD ニューヨーク連銀製造業景気指数    
21:30 USD 小売売上高[前月比]
21:30 USD 消費者物価指数(CPIコア指数)[前月比]    
21:30 USD 消費者物価指数(CPI)[前月比]
21:30 CAD 製造業出荷[前月比]
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・速報値    
23:00 USD 企業在庫[前月比]

≪2010年10月8日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米雇用市場回復の遅れから81.730円まで続落するなど歴史的な安値とみて
9割以上の参加者が「ブル」となった。FRB(米連邦準備制度理事会)の追
加金融緩和観測が引き続きドルを圧迫する展開の中、各国の要人発言に注
目が集まる。各国の金融政策に対する見方や通貨に対する発言などが、市
場の波乱材料となりそうだ。

ポンド円は「ブル」
米雇用統計や週末要因からポジション調整の動きが散見していたものの、
米格付け会社ムーディーズによる中国の格付け見直し報道を受けてリスク
選好ムードが強まる中「強気」が継続された。しかし、英国の景気・財政
見通しは芳しくなく、さらなる量的緩和拡大や歳出削減先送りの可能性も
浮上していることから、バイアスは金融緩和方向にあるとみられ、ECBと
の金融政策スタンス格差は徐々に拡大しそうだ。テクニカル面では9月17
日高値となる135.047円、9月14日安値127.647円をそれぞれ今週の上下限
としたい。

豪ドル円は「ブル」
米国債利回りの低下が止まらない上、豪準備銀行は利上げ余地を残してお
り、金利面からは依然として豪ドルの上昇余地は大きく、参加者の「ブル」
が継続されている。また、FRBが大規模な国債買い入れでバランスシート拡
大に踏み切るとの見方が高まっており、ドルの代替資産である金への資金
シフトも継続しそうだ。対ドルはパリティ(1.0000豪ドル=1.0000ドル)を
視野に入れる展開、対円はテクニカル的に4月高値88.16円から5月安値72.0
4円の下落幅に対して61.8%戻しにあたる82.04円を明確に上抜けすること
ができるかを今週のポイントとしたい。

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