FXレポート

円高地合が緩和するも、方向感はなし!

ドル円は、前日の米週間失業保険申請件数が市場予想よりも強い結果となったことや米長期金利上昇を背景としたリスク許容度回復の流れを引き継ぎ、83.804円で取引が始まった。午前は、仲値が公示されると輸入系企業のドル買いが先行し40銭程度値を上げたが、午後に入ると持ち高調整の動きから下落に転じ上げ幅を消した。欧州勢参入後もユーロにソブリン系の買いが観測されたことから相対的にドルが売られ、一時83.750円まで軟化した。しかしNY時間に発表されたカナダの雇用統計で新規雇用者数が3.58万人(前回:-0.93万人)と予想(3.00万人)を上回り、内容にも力強さが示されたことからリスク回避のムードは反転し本日の高値を更新、84.380円まで上昇したものの方向感がつかめないまま、引けは84.148円で取引を終えた。

ユーロ円は序盤、日本振興銀行の破綻を背景とした海外勢の円売りが観測され円が弱含む場面も見られたが、ロンドン時間に入り、欧州株価が冴えないことから次第に軟化、106.245円まで下落した。しかし下値ではソブリン系のユーロ買い観測や、モデル系が追随する動きを見せたことからショートカバーが強まりユーロが買い戻される展開となった。その後も、堅調なNYダウや米国債利回りの上昇が相場を後押しし、高値107.375円まで上昇、106.706円で週末の取引を終えた。

                        今週の展開   

今週のドル円は、14日に行われる民主党代表選の結果が市場にどのような影響を与えるかが注目となろうか。前評判では、小沢氏のほうが円高是正の為替介入に積極的とみられ、求心力にも定評があるようだ。政局不安が広がるなか、結果が好感された場合はリスク選好が強まり株高・円売り、逆に混迷が深まればやや円高へ傾くとの見方が強くなると予想されていることから、マーケットの試金石として結果が注目される。また経済指標に目を向けると14日には米8月小売売上高、15日には9月NY連銀製造業指数、8月鉱工業生産、16日には8月生産者物価指数、7月対米証券投資、17日には8月消費者物価指数と、個人消費や景況感を中心としたイベントが目白押しとなっている。地合の改善に繋がる場合は86円のレジスタンスを、悪化となる場合は83円サポートを意識したい。

欧州でも、14日に英8月消費者物価指数、英8月小売物価指数、独とユーロ圏の9月ZEW景況感調査、16日には英8月小売売上高指数などが発表予定だ。最近の欧州勢は強目のファンダメンタルズを背景とした金利先高感が相場を下支えしており、景況感やインフレ指数の行方が注目される。四半期末接近に伴うリパトリエーションを考慮しつつ、今後の金利動向にどのような影響を与えるかが焦点となりそうだ。


[今週の予想レンジ]
ドル ・円   82.500- 86.500
ユーロ・円 104.500-109.500
ポンド・円 126.500-132.500

【今週の主な経済指標】

13日
15:45 FRF 経常収支
16:15 CHF 生産者輸入価格[前月比]
18:30 ZAR 四半期 南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数

14日
03:00 USD 月次財政収支
07:45 NZD 小売売上高指数[前月比]
08:01 GBP 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
08:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査[前年同月比]
10:30 AUD NAB企業景況感指数
13:30 JPY 鉱工業生産・確報値[前月比]
14:30 FRF 消費者物価指数(CPI)[前月比]
17:30 GBP 小売物価指数(RPI)[前年同月比]
17:30 GBP 小売物価指数(RPI)[前月比]
17:30 GBP 消費者物価指数(CPI)[前年同月比]
17:30 GBP 消費者物価指数(CPI)[前月比]
18:00 EUR ZEW景況感調査
18:00 DEM ZEW景況感調査(期待指数)
18:00 EUR 鉱工業生産[前月比]
21:30 USD 小売売上高[前月比]
21:30 CAD 四半期設備稼働率
21:30 CAD 四半期労働生産性指数[前期比]
23:00 USD 企業在庫[前月比]

15日
17:30 GBP 失業保険申請件数
17:30 GBP 失業率
18:00 EUR 消費者物価指数(HICP、改定値)[前年同月比]
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
21:30 USD ニューヨーク連銀製造業景気指数
21:30 USD 輸出物価指数[前月比]
21:30 USD 輸入物価指数[前月比]
21:30 CAD 製造業出荷[前月比]
22:15 USD 設備稼働率
22:15 USD 鉱工業生産[前月比]

16日
06:00 NZD ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債)[前週分]
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対内株式)[前週分]
08:50 JPY 第三次産業活動指数[前月比]
16:15 CHF 四半期鉱工業生産 [前年同期比]
16:15 CHF 四半期鉱工業生産 [前期比]
17:30 GBP 小売売上高指数[前月比]
18:00 EUR 貿易収支     
21:00 CHF スイス国立銀行3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値
21:30 USD 四半期経常収支
21:30 USD 新規失業保険申請件数
21:30 USD 卸売物価指数(PPIコア指数、食品・エネルギー除く)[前月比]
21:30 USD 卸売物価指数(PPI)[前月比]
22:00 USD 対米証券投資(短期債除く)
23:00 USD フィラデルフィア連銀製造業景気指数

17日
15:00 DEM 生産者物価指数(PPI)[前月比]
17:00 EUR 経常収支
18:00 EUR 建設支出[前年同月比]
18:00 EUR 建設支出[前月比]
21:30 USD 消費者物価指数(CPIコア指数)[前月比]
21:30 USD 消費者物価指数(CPI)[前月比]
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・速報値

≪2010年9月10日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
相場に方向感が見えないままポジションは継続され「ブル」。ここにきて日本の為替動向
を巡る動きに注目が集まっている。今週14日には菅首相と小沢前民主幹事長の公開討論会
が行われる。円高については、菅首相は「激しい状況なら断固たる措置取る」と発言、小
沢氏は「政府は市場介入を辞さない姿勢を取るべき」とコメントするなど、双方とも積極
的な姿勢を顕にしている。日本振興銀行の経営破綻が円売りの材料とされる向きもあり、
これらの動きが投機的な円買いを抑制するようであれば、地合の更なる改善が見込めるか
もしれない。

ポンド円は「ブル」
リスク回避の雰囲気にやや一服感も出ておりポジションは「ブル」となっている。しかし
先週末発表された英生産者物価指数は予想を下回る伸びに留まるなど、積極的に買いスタ
ンスをとりづらい地合となっている。8月30日以来130円が強固な壁となっており、突破す
るには新たな材料が必要と考えられ、今週の英MPC終了後の要人の発言から金利見通しに
ついてのヒントがあるかどうかにも注目したい。

豪ドル円は「ブル」
前日の豪雇用統計が強い内容となったことも相場をフォローし、ポジションは「ブル」。
堅調なファンダメンタルズを背景に8日から3連騰しており、リスク選好度も回復しつつあ
ることから高金利通貨である豪ドルに投資資金が集まりやすいようだ。しかし3日間の連
騰で76円から78円の水準まで急上昇していることから、目先では調整が入る可能性も考え
られる。

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