ポルトガル国債入札を無事通過! 欧州信用不安はやや後退か!?
ドル円は、欧州信用不安が再燃したことを背景に欧米諸国の先行き不透明感が意識され、安全資産とされる円が買われる地合いを引き継いで始まった。序盤からジリジリと値を崩し、政府や日銀の関係者からは円高を警戒する声が聞かれたものの相場の流れは変えられず、前日の安値である83.495円を割り込むと投機筋の円買いが活発となり、安値83.344円まで下落した。しかしマイナスで始まった欧州株がプラスに転じるとリスク回避色が後退しドルの買い戻しがやや優勢となり、東京時間の下げを取り戻した。NY勢参入後も、欧州株の反発を受けてNYダウも反発して始まりドル円は84円台をトライ、一時84.041円まで上昇したが、その後に発表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)が、前回と比較し景気減速の兆候が広がってきたことが指摘されると若干弱含みとなり、引けは前日とほぼ変わらずの83.931円となり上値の重い展開となった。
ユーロ円は、前日の欧州金融機関に対するストレステストの結果が疑問視された流れを引継ぎ、アイルランドやギリシャの信用不安が蒸し返され、アジア株式市場は引き続き全面安の展開となったことから、リスク回避色が強まり、一時106円を割り込んで安値105.791まで下落した。その後も発表されたギリシャGDP(改定値)が前期比-1.8%となったことや、ドイツ鉱工業生産が予想を下回ったことから、波紋が更に広がるとの思惑から弱含む場面も見られたが、懸念されていたポルトガル債入札で3年債が1.9倍、10年債が2.6倍との応札倍率が示され、約10億ユーロの資金調達に成功、需要の旺盛さが確認されたことで、ひとまず安心感が広がり欧州株が上げに転じた。リスク回避色は和らぎユーロは上げ幅を拡大、その後もNYダウが堅調に推移したことから買い戻しが優勢となり、高値107.115円まで上昇、106.768円で取引を終えた。
本日の展開
市場の欧州ストレステストに対する信頼性への疑念は、やや落ち着きを取り戻しつつあるものの完全に火が消えたわけではない。欧州信用不安は根深く、ユーロから逃避された資金は消去法で安全資産とされる円買いに向かうとの見方が強く、ドル円の一段高に対する警戒感も根強いものと考えられる。円高・株安の悪循環は日本経済に一層の打撃を与えることも指摘されており、野田財務相は衆院財務金融委員会で「必要な時には断固たる措置をとる。当然介入も含んでいる」と日本単独での為替介入も辞さない姿勢を強調した。日銀の白川総裁も「景気の下振れリスクが顕在化すれば追加措置をとる」と追加緩和の可能性に言及した。しかし欧米政府や中央銀行は景気減速やデフレ懸念の背景に自国通貨安志向を強めており、市場では単独介入や追加緩和では効果は限られるとの冷ややかな見方だ。当面はボリンジャーバンドの下限となる83円付近がサポートラインとして意識されながら株式・債券・商品市場の動向をにらむ神経質な展開が予想される。
カナダドルは、カナダ中銀が0.25%の利上げを発表、政策金利を1.00%に設定した。据え置き、利上げとの見方が対等していたため若干のサプライズとなったようだ。しかも8月Ivey購買部協会指数が65.9と予想の55.5(前回:7月54.0)を大幅に上回る予想外の強さを示したこともあり一段高の反応となった。ただカナダの輸出の8割は米国向けとなっており米国景気が減速気味であることから先行きは良好とはいえない。声明でも「追加利上げには注意深い検討が必要」と慎重姿勢を示しており、次回追加利上げに踏み切る可能性は低いかもしれない。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 83.000- 85.500
ユーロ・円 105.000-108.500
ポンド・円 128.500-132.500
【今日の主な経済指標】
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
08:50 JPY 四半期法人企業景気予測調査・大企業業況判断指数(BSI)
08:50 JPY 四半期法人企業統計調査・ソフトウェア含む全産業設備投資額
10:30 AUD 失業率
10:30 AUD 新規雇用者数
14:00 JPY 消費者態度指数・一般世帯
14:30 FRF 非農業部門雇用者・改定値[前期比]
15:00 DEM 消費者物価指数(CPI、改定値)
17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
17:30 GBP 貿易収支
20:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
21:15 CAD 住宅着工件数
21:30 USD 新規失業保険申請件数
21:30 CAD 貿易収支
21:30 CAD 新築住宅価格指数
23:00 ZAR 南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利
≪2010年9月8日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「べア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
リスク回避色が薄れたこともあり、継続して買いが入りポジションは「ブル」。政府・日銀
の口先介入もむなしく円高傾向が続いているが、民主党代表選挙を目前に控え、市場は対応
が棚上げとなることを見透かしているようだ。口先介入が繰り返されるたび、円高けん制効
果が薄まっているのが現状で、力強い具体的な対策が講じられない限り口先介入による円高
是正は期待しづらい状況か。
ユーロ円は「ブル」
ポルトガル国債入札が無事に通過したことで欧州信用不安はやや後退、ユーロ買戻しとなり
「ブル」となっている。一時105.791円まで下落し、反転したものの8月24日の安値105.424
円を試す動きも見られた。新たな金融規制(バーゼルⅢ)による銀行破たんの可能性が排除で
きないことから、当面は下向きの構えで望むのが無難かもしれない。
ポンド円は「ブル」
ハリファックス住宅価格が予想を上回ったことやアジア系中銀のポンド買いもあり「ブル」
となっている。ボーダフォン保有のチャイナ・モバイル(中国移動)の株式を売却(509億香港
ドル≒5500億円)なども相場をサポートしているようだ。しかし英NIESRが発表する8月英GDP
予想は前期比+0.7%と前回7月発表の+1.3%から若干後退しており、一進一退の状況だ。本
日の英中銀政策委員会(MPC)の市場予想も政策金利・資産買取プログラムとも据え置きを見
込んでいるが、ポジティブサプライズとなった場合は再度130円をトライすることも想定し
ておきたい。
ユーロ円は、前日の欧州金融機関に対するストレステストの結果が疑問視された流れを引継ぎ、アイルランドやギリシャの信用不安が蒸し返され、アジア株式市場は引き続き全面安の展開となったことから、リスク回避色が強まり、一時106円を割り込んで安値105.791まで下落した。その後も発表されたギリシャGDP(改定値)が前期比-1.8%となったことや、ドイツ鉱工業生産が予想を下回ったことから、波紋が更に広がるとの思惑から弱含む場面も見られたが、懸念されていたポルトガル債入札で3年債が1.9倍、10年債が2.6倍との応札倍率が示され、約10億ユーロの資金調達に成功、需要の旺盛さが確認されたことで、ひとまず安心感が広がり欧州株が上げに転じた。リスク回避色は和らぎユーロは上げ幅を拡大、その後もNYダウが堅調に推移したことから買い戻しが優勢となり、高値107.115円まで上昇、106.768円で取引を終えた。
本日の展開
市場の欧州ストレステストに対する信頼性への疑念は、やや落ち着きを取り戻しつつあるものの完全に火が消えたわけではない。欧州信用不安は根深く、ユーロから逃避された資金は消去法で安全資産とされる円買いに向かうとの見方が強く、ドル円の一段高に対する警戒感も根強いものと考えられる。円高・株安の悪循環は日本経済に一層の打撃を与えることも指摘されており、野田財務相は衆院財務金融委員会で「必要な時には断固たる措置をとる。当然介入も含んでいる」と日本単独での為替介入も辞さない姿勢を強調した。日銀の白川総裁も「景気の下振れリスクが顕在化すれば追加措置をとる」と追加緩和の可能性に言及した。しかし欧米政府や中央銀行は景気減速やデフレ懸念の背景に自国通貨安志向を強めており、市場では単独介入や追加緩和では効果は限られるとの冷ややかな見方だ。当面はボリンジャーバンドの下限となる83円付近がサポートラインとして意識されながら株式・債券・商品市場の動向をにらむ神経質な展開が予想される。
カナダドルは、カナダ中銀が0.25%の利上げを発表、政策金利を1.00%に設定した。据え置き、利上げとの見方が対等していたため若干のサプライズとなったようだ。しかも8月Ivey購買部協会指数が65.9と予想の55.5(前回:7月54.0)を大幅に上回る予想外の強さを示したこともあり一段高の反応となった。ただカナダの輸出の8割は米国向けとなっており米国景気が減速気味であることから先行きは良好とはいえない。声明でも「追加利上げには注意深い検討が必要」と慎重姿勢を示しており、次回追加利上げに踏み切る可能性は低いかもしれない。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 83.000- 85.500
ユーロ・円 105.000-108.500
ポンド・円 128.500-132.500
【今日の主な経済指標】
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
08:50 JPY 四半期法人企業景気予測調査・大企業業況判断指数(BSI)
08:50 JPY 四半期法人企業統計調査・ソフトウェア含む全産業設備投資額
10:30 AUD 失業率
10:30 AUD 新規雇用者数
14:00 JPY 消費者態度指数・一般世帯
14:30 FRF 非農業部門雇用者・改定値[前期比]
15:00 DEM 消費者物価指数(CPI、改定値)
17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
17:30 GBP 貿易収支
20:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
21:15 CAD 住宅着工件数
21:30 USD 新規失業保険申請件数
21:30 CAD 貿易収支
21:30 CAD 新築住宅価格指数
23:00 ZAR 南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利
≪2010年9月8日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「べア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
リスク回避色が薄れたこともあり、継続して買いが入りポジションは「ブル」。政府・日銀
の口先介入もむなしく円高傾向が続いているが、民主党代表選挙を目前に控え、市場は対応
が棚上げとなることを見透かしているようだ。口先介入が繰り返されるたび、円高けん制効
果が薄まっているのが現状で、力強い具体的な対策が講じられない限り口先介入による円高
是正は期待しづらい状況か。
ユーロ円は「ブル」
ポルトガル国債入札が無事に通過したことで欧州信用不安はやや後退、ユーロ買戻しとなり
「ブル」となっている。一時105.791円まで下落し、反転したものの8月24日の安値105.424
円を試す動きも見られた。新たな金融規制(バーゼルⅢ)による銀行破たんの可能性が排除で
きないことから、当面は下向きの構えで望むのが無難かもしれない。
ポンド円は「ブル」
ハリファックス住宅価格が予想を上回ったことやアジア系中銀のポンド買いもあり「ブル」
となっている。ボーダフォン保有のチャイナ・モバイル(中国移動)の株式を売却(509億香港
ドル≒5500億円)なども相場をサポートしているようだ。しかし英NIESRが発表する8月英GDP
予想は前期比+0.7%と前回7月発表の+1.3%から若干後退しており、一進一退の状況だ。本
日の英中銀政策委員会(MPC)の市場予想も政策金利・資産買取プログラムとも据え置きを見
込んでいるが、ポジティブサプライズとなった場合は再度130円をトライすることも想定し
ておきたい。