米金融緩和策実施に向けドル売りの流れか!?
金曜日のドル円は、FRBの追加金融緩和を巡る思惑から米国債利回りが低下し、ドル売りが優勢となったNY市場の流れを引き継ぐ中、序盤は円高基調を嫌気して日経平均が前日比100円超の下落となり、リスク回避の円買いもやや強まったことから85.80円付近へと下値を探った。その後はアジア株やGLOBEXのNYダウ先物も堅調に推移したことから、東京市場終盤から欧州市場にかけて86.10円付近まで小幅上昇する場面も見られたが、米雇用統計を前に動意はつかずポジション調整が続いた。注目された米雇用統計だが、7月失業率は9.5%と市場の事前予想(9.6%)を下回り、前月(9.5%)から横ばいとなったが、7月非農業部門雇用者数変化は-13.1万人と、こちらは市場の予想コンセンサス(-6.5万人)を大きく上回る悪化となった。また、期待された民間部門雇用者数変化も7.1万人と事前予想(9.0万人)を下回り一時85.021円まで急落し年初来安値を更新した。引けにかけダウが下げ渋ったことで若干買い戻され85.490円で取引を終えた。
ユーロ円は東京市場序盤、日経平均が軟調に推移したことからやや下押ししたものの、日経平均が回復する動きをみせたほか、中国株式市場がプラス圏へと持ち直すとリスク許容度の回復を受けてじり高となり、113.50円付近へと強含みとなった。欧州時間では欧州株の底堅い動きが下支えとなる中、米雇用統計を前に円ロングの巻き戻しが優勢となり、113.70円付近まで上昇する場面も見られたが、NY勢参加後は一進一退。独経済指標が予想よりも弱い内容だったことや、対ドルで円買いが膨らんだことなどを受けて一時112.570円と日通し安値を付けた。しかしその後は、米雇用統計の下振れを受けドルに対してユーロが急伸したことからユーロ円に買いが入り急速に値を戻すと113円台を回復。ユーロドルが1.33332ドルと本日高値を付けた場面では113.60円付近まで反発するなど乱高下したが、結局往って来いの113.513円で取引を終えた。
今週の展開
さて今週のドル円だが、市場予想を下回った7月米雇用統計を受けて、火曜日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に向け、金融緩和策実施への期待感が高まる相場となり、週末のドル売りの流れが週初から継続する可能性があり注意したい。ただ、現状の米国の景況感からは、強弱入り混じる指標が見えており、実際週末の非農業者部門雇用者数も、ヘッド・ラインでマイナス13.1万人、民間部門雇用者数はプラス7.1万人で、市場予想は下回ったが、極端にネガティブな数字とも言えず、FOMCで金融緩和策が発表されない場合はドルの買い戻しには留意して対応したい。今週は本邦がお盆シーズンに突入することで、本邦輸出企業は休暇に入り、市場流動性が減少するなか、輸出企業のドル売りオーダーが上値を抑制する可能性も頭に入れておきたい。また、この時期の米国債など償還の円転でこのシーズンはドル売り優勢となる傾向が過去のデータからみると強くなっており、今年はデータ通りドル売りの流れとなるか、注目したい。
ユーロはDAX(ドイツ株価指数)が年初来高値を更新しており、好調なファンダメンタルズから引き続き堅調な推移が予想され、トリシェECB総裁の会見でも慎重な姿勢がやや緩和したことから、ECBは年内に出口戦略に着手し始めるとの見方も出ている。対照的にドルは7月の米雇用統計は民間雇用の増加が予想を下回るなど期待外れに終わった事や、追加金融緩和の有無が注目されているFOMC(米連邦準備制度理事会)を控えていることで、対ドルは上値を探る展開も考えられよう。一方、対円は終値ベースで112-114円のレンジ取引が8営業日続いており、一目均衡の雲の中心に位置していることもあって、113円近辺からの動きが鈍い。さらに米雇用統計下振れに株安連鎖→円独歩高の可能性も払拭できず、ドル円が再び昨年安値である84.810円を視野に入れていることを鑑みても対円は下値警戒を怠れないだろう。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 82.00-87.00
ユーロ・円 110.00-115.00
ポンド・円 133.10-141.00
【今週の主な経済指標】
9日
8:50 JPY マネーストックM2
08:50 JPY 国際収支・貿易収支
10:30 AUD 住宅ローン件数
13:00 JPY 日銀・金融政策決定会合
14:00 JPY 景気ウオッチャー調査-現状判断DI
15:00 DEM 経常収支
15:00 DEM 貿易収支
10日
08:01 GBP 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
08:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査
09:00 SGD 四半期国内総生産(GDP、確定値)[前期比年率]
10:30 AUD NAB企業景況感指数
14:45 CHF スイスSECO消費者信頼感指数
15:00 DEM 消費者物価指数(CPI、改定値)
15:45 FRF 鉱工業生産指数
21:15 CAD 住宅着工件数
21:30 USD 四半期非農業部門労働生産性・速報値
21:30 CAD 新築住宅価格指数
23:00 USD 卸売在庫
11日
03:15 USD 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
08:50 JPY 国内企業物価指数
08:50 JPY 機械受注
14:00 JPY 金融経済月報(基本的見解)
17:30 GBP 失業保険申請件数
17:30 GBP 失業率
18:30 GBP 英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
12日
3:00 USD 月次財政収支
8:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
10:30 AUD 新規雇用者数
13:30 JPY 鉱工業生産・確報値
14:00 JPY 消費者態度指数・一般世帯
17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
18:00 EUR 鉱工業生産
21:30 USD 新規失業保険申請件数
21:30 USD 輸出物価指数
21:30 USD 輸入物価指数
13日
7:45 NZD 小売売上高指数
8:50 JPY 日銀・金融政策決定会合議事要旨
15:00 DEM 国内総生産(GDP、速報値)
15:45 FRF 消費者物価指数(CPI)
15:45 FRF 非農業部門雇用者・速報値
16:15 CHF 生産者輸入価格
17:30 HKD 四半期域内総生産(GDP)
18:00 EUR 四半期域内総生産(GDP、速報値)
21:30 USD 小売売上高
21:30 USD 消費者物価指数(CPIコア指数)
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・速報値
23:00 USD 企業在庫
≪2010年8月6日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
7月非農業部門雇用者数変化が市場の事前予想を大きく上回り、2ヶ月連続での雇用減を記録した結果
を受け、米2年債利回りは0.50%を割り込み過去最低水準を記録し年初来安値を更新。参加者は雇用統
後の安値を狙い「ブル」一色となったが、火曜日のFOMCを控え、未だドル売りリスクが残る相場であ
り85.00円付近には、多くのオプションの設定などが観測されている為、85円を割り込むと大口のスト
ップロスが出る可能性が高く、特に商いの薄い時間帯など投機的な動きには警戒が必要と思われる。
ポンド円は「ブル」
米国債利回り低下からドル安の流れが継続し、対ドルを中心に上値を追う展開や、英銀大手ロイヤル
・バンク・オブ・スコットランドの上半期の純利益が900万ポンドと市場予想を大幅に上回ったことも
好感され「ブル」となった。テクニカル的にも引き続き良好な地合いが継続しており、日足一目均衡
表では分厚い雲上限136.20円付近に下値を支えられる形となっていることや、トレンド系指標も総じ
て上方向と上値を試す条件が揃っている。短期的なレジスタンスと考えられる5日移動平均線が掛かる
136.80円付近を上抜けることが出来るかがポイントとなろうか。
豪ドル円は「ブル」
豪準備銀行四半期金融政策報告書は「現在の政策金利水準は現段階で適切」と当面の金利据え置きを
示唆したものの、「交易条件は今後数年、引き続き非常に高水準となる可能性が高く、資源輸出の強
い伸びと設備投資の上向きを予想する」などと予想されたよりも明るい内容だったことから「ブル」
は継続。しかし、米雇用の悪化や、中国製造業PMIは過去3カ月に渡って低下基調をたどっていること
を背景としたリスクオフの展開も考えられ警戒したい。
ユーロ円は東京市場序盤、日経平均が軟調に推移したことからやや下押ししたものの、日経平均が回復する動きをみせたほか、中国株式市場がプラス圏へと持ち直すとリスク許容度の回復を受けてじり高となり、113.50円付近へと強含みとなった。欧州時間では欧州株の底堅い動きが下支えとなる中、米雇用統計を前に円ロングの巻き戻しが優勢となり、113.70円付近まで上昇する場面も見られたが、NY勢参加後は一進一退。独経済指標が予想よりも弱い内容だったことや、対ドルで円買いが膨らんだことなどを受けて一時112.570円と日通し安値を付けた。しかしその後は、米雇用統計の下振れを受けドルに対してユーロが急伸したことからユーロ円に買いが入り急速に値を戻すと113円台を回復。ユーロドルが1.33332ドルと本日高値を付けた場面では113.60円付近まで反発するなど乱高下したが、結局往って来いの113.513円で取引を終えた。
今週の展開
さて今週のドル円だが、市場予想を下回った7月米雇用統計を受けて、火曜日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に向け、金融緩和策実施への期待感が高まる相場となり、週末のドル売りの流れが週初から継続する可能性があり注意したい。ただ、現状の米国の景況感からは、強弱入り混じる指標が見えており、実際週末の非農業者部門雇用者数も、ヘッド・ラインでマイナス13.1万人、民間部門雇用者数はプラス7.1万人で、市場予想は下回ったが、極端にネガティブな数字とも言えず、FOMCで金融緩和策が発表されない場合はドルの買い戻しには留意して対応したい。今週は本邦がお盆シーズンに突入することで、本邦輸出企業は休暇に入り、市場流動性が減少するなか、輸出企業のドル売りオーダーが上値を抑制する可能性も頭に入れておきたい。また、この時期の米国債など償還の円転でこのシーズンはドル売り優勢となる傾向が過去のデータからみると強くなっており、今年はデータ通りドル売りの流れとなるか、注目したい。
ユーロはDAX(ドイツ株価指数)が年初来高値を更新しており、好調なファンダメンタルズから引き続き堅調な推移が予想され、トリシェECB総裁の会見でも慎重な姿勢がやや緩和したことから、ECBは年内に出口戦略に着手し始めるとの見方も出ている。対照的にドルは7月の米雇用統計は民間雇用の増加が予想を下回るなど期待外れに終わった事や、追加金融緩和の有無が注目されているFOMC(米連邦準備制度理事会)を控えていることで、対ドルは上値を探る展開も考えられよう。一方、対円は終値ベースで112-114円のレンジ取引が8営業日続いており、一目均衡の雲の中心に位置していることもあって、113円近辺からの動きが鈍い。さらに米雇用統計下振れに株安連鎖→円独歩高の可能性も払拭できず、ドル円が再び昨年安値である84.810円を視野に入れていることを鑑みても対円は下値警戒を怠れないだろう。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 82.00-87.00
ユーロ・円 110.00-115.00
ポンド・円 133.10-141.00
【今週の主な経済指標】
9日
8:50 JPY マネーストックM2
08:50 JPY 国際収支・貿易収支
10:30 AUD 住宅ローン件数
13:00 JPY 日銀・金融政策決定会合
14:00 JPY 景気ウオッチャー調査-現状判断DI
15:00 DEM 経常収支
15:00 DEM 貿易収支
10日
08:01 GBP 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
08:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査
09:00 SGD 四半期国内総生産(GDP、確定値)[前期比年率]
10:30 AUD NAB企業景況感指数
14:45 CHF スイスSECO消費者信頼感指数
15:00 DEM 消費者物価指数(CPI、改定値)
15:45 FRF 鉱工業生産指数
21:15 CAD 住宅着工件数
21:30 USD 四半期非農業部門労働生産性・速報値
21:30 CAD 新築住宅価格指数
23:00 USD 卸売在庫
11日
03:15 USD 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
08:50 JPY 国内企業物価指数
08:50 JPY 機械受注
14:00 JPY 金融経済月報(基本的見解)
17:30 GBP 失業保険申請件数
17:30 GBP 失業率
18:30 GBP 英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
12日
3:00 USD 月次財政収支
8:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
10:30 AUD 新規雇用者数
13:30 JPY 鉱工業生産・確報値
14:00 JPY 消費者態度指数・一般世帯
17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
18:00 EUR 鉱工業生産
21:30 USD 新規失業保険申請件数
21:30 USD 輸出物価指数
21:30 USD 輸入物価指数
13日
7:45 NZD 小売売上高指数
8:50 JPY 日銀・金融政策決定会合議事要旨
15:00 DEM 国内総生産(GDP、速報値)
15:45 FRF 消費者物価指数(CPI)
15:45 FRF 非農業部門雇用者・速報値
16:15 CHF 生産者輸入価格
17:30 HKD 四半期域内総生産(GDP)
18:00 EUR 四半期域内総生産(GDP、速報値)
21:30 USD 小売売上高
21:30 USD 消費者物価指数(CPIコア指数)
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・速報値
23:00 USD 企業在庫
≪2010年8月6日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
7月非農業部門雇用者数変化が市場の事前予想を大きく上回り、2ヶ月連続での雇用減を記録した結果
を受け、米2年債利回りは0.50%を割り込み過去最低水準を記録し年初来安値を更新。参加者は雇用統
後の安値を狙い「ブル」一色となったが、火曜日のFOMCを控え、未だドル売りリスクが残る相場であ
り85.00円付近には、多くのオプションの設定などが観測されている為、85円を割り込むと大口のスト
ップロスが出る可能性が高く、特に商いの薄い時間帯など投機的な動きには警戒が必要と思われる。
ポンド円は「ブル」
米国債利回り低下からドル安の流れが継続し、対ドルを中心に上値を追う展開や、英銀大手ロイヤル
・バンク・オブ・スコットランドの上半期の純利益が900万ポンドと市場予想を大幅に上回ったことも
好感され「ブル」となった。テクニカル的にも引き続き良好な地合いが継続しており、日足一目均衡
表では分厚い雲上限136.20円付近に下値を支えられる形となっていることや、トレンド系指標も総じ
て上方向と上値を試す条件が揃っている。短期的なレジスタンスと考えられる5日移動平均線が掛かる
136.80円付近を上抜けることが出来るかがポイントとなろうか。
豪ドル円は「ブル」
豪準備銀行四半期金融政策報告書は「現在の政策金利水準は現段階で適切」と当面の金利据え置きを
示唆したものの、「交易条件は今後数年、引き続き非常に高水準となる可能性が高く、資源輸出の強
い伸びと設備投資の上向きを予想する」などと予想されたよりも明るい内容だったことから「ブル」
は継続。しかし、米雇用の悪化や、中国製造業PMIは過去3カ月に渡って低下基調をたどっていること
を背景としたリスクオフの展開も考えられ警戒したい。