米景気減速懸念のなか米雇用統計は如何に!?
昨日のドル円だが、東京市場は前日の米ADP雇用統計や米ISM非製造業総合景況指数の上振れを受けた米株高や円高一服感から日経平均が前日比+200円近い上昇となり、86.45円付近へと上値を拡大。しかし、86円台中盤に差し掛かると上値が重くなり、円高警戒感から日経平均が一時上げ幅を縮小したほか、米長期金利が低下したことで86.00円付近までじりじりと反落した。欧州時間には、スペイン3年物国債入札が無難に通過したことや、独製造業新規受注が強い内容となったことで対ユーロ中心に徐々にドル売りが優位になると、対円でもドル売りとなり85円台を示現。ニューヨーク勢参入後も、新規失業保険申請件数が弱い内容となったことを受け米雇用市場に対する警戒感が再燃、ドル売りが一段と強まると、一時85.770円と最安値を更新し、その後も安値圏での揉み合いとなり85.850円で取引を終えた。
ユーロ円はNY時間の流れを引き継ぐ形で株高連鎖期待から東京市場序盤には113.80円付近へと上昇したものの、日経平均が一時伸び悩み、アジア株も上値の重い展開となったことから113.15円付近まで反落した。しかし、東京市場終盤にかけては日経平均が再び上昇幅を拡大すると対円は113.55円付近まで持ち直し、欧州市場に移ってもIMF(国際通貨基金)のギリシャ担当官がギリシャについて、「改革の軌道に乗っている」「改革への見事なスタートを切った」等、前向きな認識を示した上、ドイツの6月製造業受注の強い数値が好感され113.80円付近まで上昇した。注目されたECB理事会ではトリシェ総裁が記者会見で「第2四半期のデータは力強いものになる見込み」「第3四半期のデータは予想より良好になる見込み」との認識を示し概ね明るい内容となった。ただトリシェ総裁は最後に「勝利を宣言することは検討していない」「経済は年末に減速する可能性も」とコメントしたことが楽観的な見通しに釘を刺すこととなりユーロ買いが失速。利益確定の売りが散見すると113円を割れる水準まで下落した。米国市場の取引時間帯に入っても売り優位の展開となり、弱い米雇用指標を受けて、ダウが下落するとリスクポジションを閉じる動きが強まり、一時112.759円の安値を付けた。引けにかけ売りが一服し113円は回復したものの、113.258円で取引を終えた。
本日の展開
先日のISM非製造業景気指数及びADP雇用統計においてサービス業における雇用改善が確認されたものの、前日の米新規失業保険申請件数は予想以上に増加している。本日の米雇用統計に対する不安感が強まっており、積極的なドル買いは控えられている状況であろうか。雇用統計の市場予想コンセサンスは、非農業部門雇用者数変化が-6.5万人(前月は-12.5万人)、失業率は9.6%(前月は 9.5%)となっているが、下振れする状況となれば米連邦準備理事会(FRB)による追加金融緩和観測が強まり、ドル売りバイアスに
拍車が掛る可能性が高いと考えられる。また、仮に予想を上回る結果となっても、根底に流れている米景気減速懸念や来週火曜日のFOMCを前にした追加金融緩和観測からドル敬遠ムードを覆すことは難しく、上昇余地は限定的と考えることもでき、5日移動平均が差し掛かる86円台中盤付近では戻り売りスタンスが有効となるかもしれない。
ユーロは、ECB理事会で政策金利を1.00%に据え置き、トリシェ総裁の記者会見も「政策金利は適切」と繰り返し、サプライズはなく全体的に慎重なコメントが目立った。しかし、短期金利市場について「正しい方向に進んでいる」国債買取策についても「政策浸透メカニズムが確実に改善した」とし、政策スタンスも「必要に応じて調整する」とのコメントしたことは出口政策の地ならしと捉えることもでき、好感できるコメントととることもできる。好調な欧州経済と対照的に米国の景気下振れ懸念も払拭されておらず、
雇用統計まではドルも積極的には買い難いことから、対ドルは底堅い動きとなる可能性が高いとみる。一方、対円はこのところ112-114円のレンジ取引が続いており、一目均衡の雲の中心で居心地が良くなってきているのか、113円近辺から動きが鈍い。堅調なファンダメンタルズからユーロに買い気配はあるものの、ドル円の軟調な動きが上値を抑えている事や、75日移動平均が差し掛かる113.80円付近で上値を抑えられていることが上値更新への懸念材料と考えられそう。また、114円近辺では想定為替レートを110-115円に下方修正した本邦輸出企業の売りオーダーも警戒され上値は重そうだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 84.70-87.00
ユーロ・円 112.00-114.00
ポンド・円 135.10-138.90
【今日の主な経済指標】
14:00 JPY 景気一致指数
14:45 CHF 失業率
15:45 FRF 貿易収支
15:45 FRF 財政収支
17:30 GBP 卸売物価指数
17:30 GBP 鉱工業生産指数
17:30 GBP 製造業生産指数
19:00 DEM 鉱工業生産
20:00 CAD 新規雇用者数
20:00 CAD 失業率
21:30 USD 非農業部門雇用者数変化
21:30 USD 失業率
23:00 CAD Ivey購買部協会指数
04:00 USD 消費者信用残高
≪2010年8月5日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
新規失業保険申請件数が47.9万件(前回 46.0万件)へと増加した事が雇用統計前に冷や水となり
85円台に突入すると押し目買いや、難平買いが散見し圧倒的な「ブル」が継続。来週から日本が
お盆のシーズンに入る為、市場参加者が薄いなかで輸出絡みのドル売りオーダーが上値を抑制す
ることも予想される。また、統計では一年を通じてニッパチと言われる2月と8月は過去10年で月
初・月末の水準比較でおおよそ1円93銭ほどドル円は円高傾向となっているデータもあり、今年も
データ通りと考えるなら、上値の重い展開も予想される。
ポンド円は「ブル」
BOEは政策金利を0.50%で据え置き、資産買い入れ枠も2000億ポンドに維持することを決定。しか
し、想定通りだった事で方向感を探る1日となったが、好調なファンダメンタルズや早期利上げ期
待などから「ブル」が優勢。今回のBOE会合における議事録は18日(水)に公表されるが、こうし
た四半期インフレ報告の内容を受けどのような意見が飛び交ったのか?という点で、早くもその
議事録への注目が高まっている。
豪ドル円は「ブル」
NZ第2四半期失業率は6.8%と予想の6.2%に対し弱い結果となり、豪ドル円もつられて79円を割れる
展開に参加者は絶好の押し目買いとみて「強気」のスタンスが維持されている。テクニカル的には
一目均衡では雲の中心にあり、こう着感が一層強まりそうだが、6月下旬から続く三角もち合いが
今夜の米雇用統計などをきっかけに上方ブレイクすれば節目80円を試す展開も予想されよう。
ユーロ円はNY時間の流れを引き継ぐ形で株高連鎖期待から東京市場序盤には113.80円付近へと上昇したものの、日経平均が一時伸び悩み、アジア株も上値の重い展開となったことから113.15円付近まで反落した。しかし、東京市場終盤にかけては日経平均が再び上昇幅を拡大すると対円は113.55円付近まで持ち直し、欧州市場に移ってもIMF(国際通貨基金)のギリシャ担当官がギリシャについて、「改革の軌道に乗っている」「改革への見事なスタートを切った」等、前向きな認識を示した上、ドイツの6月製造業受注の強い数値が好感され113.80円付近まで上昇した。注目されたECB理事会ではトリシェ総裁が記者会見で「第2四半期のデータは力強いものになる見込み」「第3四半期のデータは予想より良好になる見込み」との認識を示し概ね明るい内容となった。ただトリシェ総裁は最後に「勝利を宣言することは検討していない」「経済は年末に減速する可能性も」とコメントしたことが楽観的な見通しに釘を刺すこととなりユーロ買いが失速。利益確定の売りが散見すると113円を割れる水準まで下落した。米国市場の取引時間帯に入っても売り優位の展開となり、弱い米雇用指標を受けて、ダウが下落するとリスクポジションを閉じる動きが強まり、一時112.759円の安値を付けた。引けにかけ売りが一服し113円は回復したものの、113.258円で取引を終えた。
本日の展開
先日のISM非製造業景気指数及びADP雇用統計においてサービス業における雇用改善が確認されたものの、前日の米新規失業保険申請件数は予想以上に増加している。本日の米雇用統計に対する不安感が強まっており、積極的なドル買いは控えられている状況であろうか。雇用統計の市場予想コンセサンスは、非農業部門雇用者数変化が-6.5万人(前月は-12.5万人)、失業率は9.6%(前月は 9.5%)となっているが、下振れする状況となれば米連邦準備理事会(FRB)による追加金融緩和観測が強まり、ドル売りバイアスに
拍車が掛る可能性が高いと考えられる。また、仮に予想を上回る結果となっても、根底に流れている米景気減速懸念や来週火曜日のFOMCを前にした追加金融緩和観測からドル敬遠ムードを覆すことは難しく、上昇余地は限定的と考えることもでき、5日移動平均が差し掛かる86円台中盤付近では戻り売りスタンスが有効となるかもしれない。
ユーロは、ECB理事会で政策金利を1.00%に据え置き、トリシェ総裁の記者会見も「政策金利は適切」と繰り返し、サプライズはなく全体的に慎重なコメントが目立った。しかし、短期金利市場について「正しい方向に進んでいる」国債買取策についても「政策浸透メカニズムが確実に改善した」とし、政策スタンスも「必要に応じて調整する」とのコメントしたことは出口政策の地ならしと捉えることもでき、好感できるコメントととることもできる。好調な欧州経済と対照的に米国の景気下振れ懸念も払拭されておらず、
雇用統計まではドルも積極的には買い難いことから、対ドルは底堅い動きとなる可能性が高いとみる。一方、対円はこのところ112-114円のレンジ取引が続いており、一目均衡の雲の中心で居心地が良くなってきているのか、113円近辺から動きが鈍い。堅調なファンダメンタルズからユーロに買い気配はあるものの、ドル円の軟調な動きが上値を抑えている事や、75日移動平均が差し掛かる113.80円付近で上値を抑えられていることが上値更新への懸念材料と考えられそう。また、114円近辺では想定為替レートを110-115円に下方修正した本邦輸出企業の売りオーダーも警戒され上値は重そうだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 84.70-87.00
ユーロ・円 112.00-114.00
ポンド・円 135.10-138.90
【今日の主な経済指標】
14:00 JPY 景気一致指数
14:45 CHF 失業率
15:45 FRF 貿易収支
15:45 FRF 財政収支
17:30 GBP 卸売物価指数
17:30 GBP 鉱工業生産指数
17:30 GBP 製造業生産指数
19:00 DEM 鉱工業生産
20:00 CAD 新規雇用者数
20:00 CAD 失業率
21:30 USD 非農業部門雇用者数変化
21:30 USD 失業率
23:00 CAD Ivey購買部協会指数
04:00 USD 消費者信用残高
≪2010年8月5日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
新規失業保険申請件数が47.9万件(前回 46.0万件)へと増加した事が雇用統計前に冷や水となり
85円台に突入すると押し目買いや、難平買いが散見し圧倒的な「ブル」が継続。来週から日本が
お盆のシーズンに入る為、市場参加者が薄いなかで輸出絡みのドル売りオーダーが上値を抑制す
ることも予想される。また、統計では一年を通じてニッパチと言われる2月と8月は過去10年で月
初・月末の水準比較でおおよそ1円93銭ほどドル円は円高傾向となっているデータもあり、今年も
データ通りと考えるなら、上値の重い展開も予想される。
ポンド円は「ブル」
BOEは政策金利を0.50%で据え置き、資産買い入れ枠も2000億ポンドに維持することを決定。しか
し、想定通りだった事で方向感を探る1日となったが、好調なファンダメンタルズや早期利上げ期
待などから「ブル」が優勢。今回のBOE会合における議事録は18日(水)に公表されるが、こうし
た四半期インフレ報告の内容を受けどのような意見が飛び交ったのか?という点で、早くもその
議事録への注目が高まっている。
豪ドル円は「ブル」
NZ第2四半期失業率は6.8%と予想の6.2%に対し弱い結果となり、豪ドル円もつられて79円を割れる
展開に参加者は絶好の押し目買いとみて「強気」のスタンスが維持されている。テクニカル的には
一目均衡では雲の中心にあり、こう着感が一層強まりそうだが、6月下旬から続く三角もち合いが
今夜の米雇用統計などをきっかけに上方ブレイクすれば節目80円を試す展開も予想されよう。