FXレポート

ユーロ力強い値動き!

昨日のドル円だが、日経平均が前週末比+37円と小幅高で始まったほか、NYダウ先物も堅調に推移したことを背景にクロス円がじり高に推移、86.70円付近へと強含んだ。しかし、その後は材料難のなか日経平均や上海総合が動意に欠ける展開となったことから86円台半ばで膠着状態が続いた。欧州勢参入後はクロス円が強含む展開で推移するとドル円もつれ高となり、86.80円付近へと上値を拡大。その後、スペイン・英国のPMI製造業が事前予想を上回ったことや、英HSBCの上半期決算が好感され、欧州の主要株価指数は軒並み上昇となり、リスク選好の流れからドルと円が売られる展開に。NY時間に入り、米7月ISM製造業景況指数は55.5と、市場の事前予想(54.0)を上回り、好悪分岐点の「50」を12ヶ月連続で上回ったものの、前月比ベースの低下はこれで3ヶ月連続となったことでドル売りに反応した。また、バーナンキFRB議長が講演で慎重姿勢を崩さなかったことで86.50付近にあったサポートをブレイクし、ストップを巻き込んで86.317円まで一時下落した。引けにかけてショートカバーが散見し86.490円で取引を終えた。

ユーロ円は週末に発表された中国の製造業PMIが噂ほど悪くなかったことなどを手掛かりに、GLOBEXのNYダウ先物が上昇して始まったほか、日経平均を含むアジア株も軒並み堅調となったことからリスクテイクの動きが先行し、東京市場には113.35円付近まで上昇。また、英FT紙が「ストレステスト通過で欧州の銀行の資金繰り不安が後退した」と報じたほか、仏銀大手BNPパリバの決算が予想を大幅に上回ったこともサポート材料となる中、欧州市場にかけては113.50円付近へと続伸となった。NY市場に移っても力強い動きが継続され、ダウ平均が上げ幅を拡大、一時114.171円まで上昇した。引けにかけ114円台を維持できず、113.983円で取引を終えた。

                          本日の展開

さて本日のドルだが、米景気鈍化懸念や低金利の長期化観測を受けたドル売りも根強く、上値の重い展開が続きそうだ。また、今週は金曜発表の米雇用統計を意識しながらの値動きとなるが、失業率は9.5%から→9.6%へと上昇することが予想されており、雇用の悪化が景気回復の重しになるとの懸念が浮上すればさらに下押しする可能性がありそうだ。しかし、楽観的な要素もあり、昨日発表された米7月ISM製造業景況指数の「雇用指数」は8ヶ月連続で「50」を上回り雇用指数の拡大は、雇用統計にとって明るい要因と言える。さらに先週に発表された新規失業保険申請件数の好結果やシカゴ購買部協会景気指数における「雇用指数」が改善していることを鑑みると一方的なドル売りが続くとも考えにくく、週末までは米景気指標発表に一喜一憂する神経質な相場が続きそうだ。

ユーロは、欧州の信用不安やソブリン・リスクが後退しつつある一方、米国の景気下振れ懸念や財政悪化に対する懸念が高まりつつあり、対ドルを中心に引き続き上昇余地があると考えられる。また、対円も6月以降順調に下値・上値を切り上げる展開が続いており、テクニカル的にも買いに安心感が広がりつつあると思われる。また、5日にECBが政策金利を発表、会見を予定しており、最近の好調なドイツなどユーロ圏の経済指標を受けて、トリシェ総裁がユーロ圏経済に対して明るい見通しを示すのでは?との期待もサポート要因となっている。ただ、スペインの緊縮財政による影響を危惧する声も多く、現在は米利上げ期待後退から、ドル売りユーロ買いの動きとなっているが、強い米経済指標など、何かのきっかけで動きが逆転する可能性も考えられる。勢いが増しているユーロではあるが、ロングでの深追いには注意をしておきたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   85.00-87.00
ユーロ・円 113.00-115.50
ポンド・円 135.50-138.90

【今日の主な経済指標】
10:30 AUD  小売売上高
10:30 AUD  住宅建設許可件数
13:30 AUD  豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
16:15 CHF  消費者物価指数(CPI)
18:00 EUR  卸売物価指数(PPI)
21:30 USD  個人所得
21:30 USD  個人消費支出(PCE)
23:00 USD  製造業新規受注
23:00 USD  住宅販売保留指数

≪2010年8月2日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ベア」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
バーナンキFRB議長は昨日「経済は依然、かなり脆弱な状況だ」「失業率は容認出来ないほど高い」等と、
ハト派的な内容を繰り返す慎重な見方を示したものの、この水準では材料に関係なく参加者は「強気」だ。
しかし、テクニカル的には下降トレンドへ突入しており、昨年11月につけた15年ぶりの安値である84.810
円が視野に入ってきたため、ドル売りにバイアスが掛っている状況は続いているようだ。

ポンド円は「ベア」
英サンデータイムズ紙による「英国は米国、ユーロ圏、日本よりも早い成長を見せるだろう」との記事、
事前予想を上回った英国の7月PMI製造業(予想:57.0、結果:57.3)、そして英HSBCホールディングス
の2010年上半期決算で税引き前利益が111億ドルと予想(91億ドル)を上回ったことが好感され137円台
を回復すると、短期逆張り系の売りが優勢となり「ベア」。しかし、明日から開かれる英中銀金融政策
委員会を控えてポンドを売り込みづらいムードであり、対ドルを中心に下値を切り上げる展開が続きそ
うだ。欧米の株式市場が引続き堅調となった場合は、対円も138円台を試す展開が考えられよう。

豪ドル円は「ブル」
週末に発表された中国製造業PMIが噂ほど悪くなかったことが買いを後押ししたほか、株価堅調を背景と
したリスク選好の動きもサポートとなり、「ブル」が継続されている。テクニカル的に日足チャートで見
ると三角持ち合いを形成しており、明確に上抜けした場合は上昇に拍車が掛かることも考えられる。

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