米二番底懸念払拭できるか!?
金曜日のドル円だが東京市場では、仲値公示にかけたドル需要観測や、上海株が堅調な推移をみせるにつれ、88.701円へと高値を更新する展開となった。しかし、その後は新規材料難から動意に乏しい値動きとなり88円台半ばでの推移が続いた。欧州勢参入後も動意は少なく、カナダの雇用指標を受けて円売りを誘う場面もあったものの、時間外ダウ先物の下げ幅が広がったことをなどを背景にリスクポジション解消目的の円買いが入り円の下値は限られた。NY市場に入っても主だった米経済指標の発表のなかったためこう着状態となり88.50円を挟んだ約10銭程度のレンジ内相場となった。週末特有の調整フローは確認できず無風のままクローズ、88.591円で引けた。
ユーロ円はトリシェECB総裁の会見がユーロ圏の景気に関して楽観的な見方を示した事を受けてNYではユーロ買いが優勢になったものの、東京市場に入ると週末を前にした利益確定の売りが入ったこともあり、112.20円付近まで小幅に下落。しかし、日経平均が前日比49円高と小幅に上昇して終了し、アジア株も軒並み前日比プラス圏で堅調な動きとなったことから、一時112.65円付近まで反発した。欧州時間ではGLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を拡大し、小幅に上昇した欧州株も伸び悩む展開となったこともあり、持ち高調整のユーロ売りが散見され111.524円と安値まで売られた。NY市場に入り、一部メディアが関係筋のコメントとして「ドイツ銀行、コメルツバンク、バイエルン州立銀行はストレステスト(健全審査)に合格した」と報じた事が意識され112円台を回復し112.028円で取引を終えた。
今週の展開
ドル円だが、本格化する米主要企業の決算発表に向けて業績上振れ期待などから、景気の二番底懸念が後退しつつあり、米10年債利回りも3.0%まで回復し、大台の90円回復が視野に入る水準まで反発してきた。今週は米景気二番底懸念がどこまで払拭できるかに注目が集まる中、米指標では14日の小売売上高、FOMC、15日の生産者物価指数、連銀製造業景況指数、16日の消費者物価指数、ミシガン大消費者信頼感指数などの指標が流れを作るものと考えられる。また、米企業決算では、前週までの下げ相場で目先の悪材料は織り込み済みとする見方から楽観的な声が大半を占めており、ダウが堅調な値動きとなれば、当面底堅い展開が予想される。しかし、中国の不動産バブル崩壊懸念や、GDP鈍化の兆し、さらにインフレ率が上昇といった外部要因が足枷となる可能性も捨てきれず警戒が必要となろう。
ユーロ円は、好調な独指標発表結果に加えて、ECB理事会後のトリシェECB総裁の会見内容を受けたリスク許容度の回復から、株価の堅調な推移を背景に底堅い地合いとなっている。また、テクニカル的に日足チャートを見ても移動平均線の5日線が25日線を上抜いており、更なる上昇も予想される。しかし、悪材料に反応しやすいユーロにとって12日のユーロ圏財務相会合、13日のEU財務相会合、独・ユーロ圏の7月ZEW景気期待指数などを無事通過しないかぎり、欧州圏の信頼回復とまではいかないのではないかと考えられる。また、23日に結果が公表されるストレステストに対し、市場参加者からは南欧諸国の国債に対するヘアカット(担保の掛け目)率は2桁台にすべきとの懸念がみられ、信用不安再燃の可能性は燻っており下振れリスクへの警戒を怠らないようにしたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 87.00-91.00
ユーロ・円 110.00-115.50
ポンド・円 131.50-136.00
【今週の主な経済指標】
12日 10:30 AUD 住宅ローン件数
12日 15:45 FRF 経常収支
12日 17:30 GBP 四半期経常収支
12日 17:30 GBP 四半期国内総生産
13日 08:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査
13日 10:30 AUD NAB企業景況感指数
13日 13:30 JPY 鉱工業生産
13日 14:00 JPY 消費者態度指数
13日 15:45 FRF 消費者物価指数
13日 16:15 CHF 生産者輸入価格
13日 17:30 GBP 小売物価指数
13日 17:30 GBP 消費者物価指数
13日 18:00 DEM ZEW景況感調査
13日 21:30 USD 貿易収支
13日 21:30 CAD 貿易収支
14日 03:00 USD 月次財政収支
14日 07:45 NZD 小売売上高指数
14日 09:00 SGD 四半期国内総生産
14日 13:00 JPY 日銀・金融政策決定会合
14日 17:30 GBP 失業保険申請件数
14日 17:30 GBP 失業率
14日 18:00 EUR 鉱工業生産
14日 18:00 EUR 消費者物価指数
14日 18:30 ZAR 小売売上高
14日 20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
14日 21:30 USD 小売売上高
14日 21:30 USD 輸出物価指数
14日 21:30 USD 輸入物価指数
14日 23:00 USD 企業在庫
15日 03:00 USD 米連邦公開市場委員会(FOMC)
15日 08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
15日 17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
15日 21:30 USD ニューヨーク連銀製造業景気指数
15日 21:30 USD 新規失業保険申請件数
15日 21:30 USD 卸売物価指数
15日 21:30 CAD 製造業出荷
15日 22:15 USD 設備稼働率
15日 22:15 USD 鉱工業生産
15日 23:00 USD フィラデルフィア連銀製造業景気指数
16日 07:45 NZD 四半期消費者物価
16日 08:50 JPY 第三次産業活動指数
16日 14:00 JPY 金融経済月報
16日 18:00 EUR 貿易収支
16日 21:30 USD 消費者物価指数
16日 21:30 CAD 景気先行指数
16日 22:00 USD 対米証券投資(短期債除く)
16日 22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数
≪2010年7月9日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
週末要因もあり、方向感に乏しく終始もみ合いとなったが、今週から本格的に始まる米企業決算
に対する期待から「ブル」となっている。米10年債利回りが3%台を回復したことに加えて、テ
クニカル的にも上値抵抗線として機能していた5日間移動平均線や、一目均衡表上の転換線を上
抜けるなど基調は強い。88円台前半で下値を固め、ドル買い安心感が高まれば、大台90.00円を
試す展開につながることも考えられるだろう。
ポンド円は「ブル」
英商品貿易収支は-80.62億ポンドと予想の-70.00億ポンドより赤字幅が拡大したほか、英生産者
物価コア指数も前年比+4.8%と予想の同+5.1%から下振れしたことから一時133円台前半まで下
値を拡大すると、押し目買いが散見し「ブル」が優勢となった。欧州通貨を敬遠する動きが一服
し底堅い動きとなりそうだが、ユーロ圏財政不安からポンドに逃避していた資金が逆流している
と考えられる為、対ユーロでは目先下値を探る展開に注意したい。
豪ドル円は「ブル」
豪雇用統計の改善を受け、8月のRBA(豪準備銀)理事会で政策金利の引き上げについて議論する
のではとの期待感に加えて、欧州景気に対する先行き不安の後退を背景に株価が堅調に推移する
など、リスク許容度の拡大がみられることから、参加者は「強気」だ。テクニカル的には77.00円
に差し掛かる25日間移動平均線と心理的な節目である78.00円が当面は上下の節目として意識され
そうだ。先にブレイクした方向へ動意が傾きやすくなることが考えられよう。
ユーロ円はトリシェECB総裁の会見がユーロ圏の景気に関して楽観的な見方を示した事を受けてNYではユーロ買いが優勢になったものの、東京市場に入ると週末を前にした利益確定の売りが入ったこともあり、112.20円付近まで小幅に下落。しかし、日経平均が前日比49円高と小幅に上昇して終了し、アジア株も軒並み前日比プラス圏で堅調な動きとなったことから、一時112.65円付近まで反発した。欧州時間ではGLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を拡大し、小幅に上昇した欧州株も伸び悩む展開となったこともあり、持ち高調整のユーロ売りが散見され111.524円と安値まで売られた。NY市場に入り、一部メディアが関係筋のコメントとして「ドイツ銀行、コメルツバンク、バイエルン州立銀行はストレステスト(健全審査)に合格した」と報じた事が意識され112円台を回復し112.028円で取引を終えた。
今週の展開
ドル円だが、本格化する米主要企業の決算発表に向けて業績上振れ期待などから、景気の二番底懸念が後退しつつあり、米10年債利回りも3.0%まで回復し、大台の90円回復が視野に入る水準まで反発してきた。今週は米景気二番底懸念がどこまで払拭できるかに注目が集まる中、米指標では14日の小売売上高、FOMC、15日の生産者物価指数、連銀製造業景況指数、16日の消費者物価指数、ミシガン大消費者信頼感指数などの指標が流れを作るものと考えられる。また、米企業決算では、前週までの下げ相場で目先の悪材料は織り込み済みとする見方から楽観的な声が大半を占めており、ダウが堅調な値動きとなれば、当面底堅い展開が予想される。しかし、中国の不動産バブル崩壊懸念や、GDP鈍化の兆し、さらにインフレ率が上昇といった外部要因が足枷となる可能性も捨てきれず警戒が必要となろう。
ユーロ円は、好調な独指標発表結果に加えて、ECB理事会後のトリシェECB総裁の会見内容を受けたリスク許容度の回復から、株価の堅調な推移を背景に底堅い地合いとなっている。また、テクニカル的に日足チャートを見ても移動平均線の5日線が25日線を上抜いており、更なる上昇も予想される。しかし、悪材料に反応しやすいユーロにとって12日のユーロ圏財務相会合、13日のEU財務相会合、独・ユーロ圏の7月ZEW景気期待指数などを無事通過しないかぎり、欧州圏の信頼回復とまではいかないのではないかと考えられる。また、23日に結果が公表されるストレステストに対し、市場参加者からは南欧諸国の国債に対するヘアカット(担保の掛け目)率は2桁台にすべきとの懸念がみられ、信用不安再燃の可能性は燻っており下振れリスクへの警戒を怠らないようにしたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 87.00-91.00
ユーロ・円 110.00-115.50
ポンド・円 131.50-136.00
【今週の主な経済指標】
12日 10:30 AUD 住宅ローン件数
12日 15:45 FRF 経常収支
12日 17:30 GBP 四半期経常収支
12日 17:30 GBP 四半期国内総生産
13日 08:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査
13日 10:30 AUD NAB企業景況感指数
13日 13:30 JPY 鉱工業生産
13日 14:00 JPY 消費者態度指数
13日 15:45 FRF 消費者物価指数
13日 16:15 CHF 生産者輸入価格
13日 17:30 GBP 小売物価指数
13日 17:30 GBP 消費者物価指数
13日 18:00 DEM ZEW景況感調査
13日 21:30 USD 貿易収支
13日 21:30 CAD 貿易収支
14日 03:00 USD 月次財政収支
14日 07:45 NZD 小売売上高指数
14日 09:00 SGD 四半期国内総生産
14日 13:00 JPY 日銀・金融政策決定会合
14日 17:30 GBP 失業保険申請件数
14日 17:30 GBP 失業率
14日 18:00 EUR 鉱工業生産
14日 18:00 EUR 消費者物価指数
14日 18:30 ZAR 小売売上高
14日 20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
14日 21:30 USD 小売売上高
14日 21:30 USD 輸出物価指数
14日 21:30 USD 輸入物価指数
14日 23:00 USD 企業在庫
15日 03:00 USD 米連邦公開市場委員会(FOMC)
15日 08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
15日 17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
15日 21:30 USD ニューヨーク連銀製造業景気指数
15日 21:30 USD 新規失業保険申請件数
15日 21:30 USD 卸売物価指数
15日 21:30 CAD 製造業出荷
15日 22:15 USD 設備稼働率
15日 22:15 USD 鉱工業生産
15日 23:00 USD フィラデルフィア連銀製造業景気指数
16日 07:45 NZD 四半期消費者物価
16日 08:50 JPY 第三次産業活動指数
16日 14:00 JPY 金融経済月報
16日 18:00 EUR 貿易収支
16日 21:30 USD 消費者物価指数
16日 21:30 CAD 景気先行指数
16日 22:00 USD 対米証券投資(短期債除く)
16日 22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数
≪2010年7月9日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
週末要因もあり、方向感に乏しく終始もみ合いとなったが、今週から本格的に始まる米企業決算
に対する期待から「ブル」となっている。米10年債利回りが3%台を回復したことに加えて、テ
クニカル的にも上値抵抗線として機能していた5日間移動平均線や、一目均衡表上の転換線を上
抜けるなど基調は強い。88円台前半で下値を固め、ドル買い安心感が高まれば、大台90.00円を
試す展開につながることも考えられるだろう。
ポンド円は「ブル」
英商品貿易収支は-80.62億ポンドと予想の-70.00億ポンドより赤字幅が拡大したほか、英生産者
物価コア指数も前年比+4.8%と予想の同+5.1%から下振れしたことから一時133円台前半まで下
値を拡大すると、押し目買いが散見し「ブル」が優勢となった。欧州通貨を敬遠する動きが一服
し底堅い動きとなりそうだが、ユーロ圏財政不安からポンドに逃避していた資金が逆流している
と考えられる為、対ユーロでは目先下値を探る展開に注意したい。
豪ドル円は「ブル」
豪雇用統計の改善を受け、8月のRBA(豪準備銀)理事会で政策金利の引き上げについて議論する
のではとの期待感に加えて、欧州景気に対する先行き不安の後退を背景に株価が堅調に推移する
など、リスク許容度の拡大がみられることから、参加者は「強気」だ。テクニカル的には77.00円
に差し掛かる25日間移動平均線と心理的な節目である78.00円が当面は上下の節目として意識され
そうだ。先にブレイクした方向へ動意が傾きやすくなることが考えられよう。