米経済指標に一喜一憂する展開か!?
金曜日のドル円は仲値決済に向けたドル買い需要に伴い89.711円まで上昇した。しかし、安く寄り付いた日経平均株価がそのまま安値圏を推移すると、徐々に円買いが優勢となり値を崩す展開となった。午後に入りアジア株が軒並み下落するとリスク回避の動きから円買いが強まり89.456円まで下落、欧州時間には自立反発から89.771円まで上昇したが、ドル買いは続かずあえなく反落となった。その後、米国時間に発表された米四半期GDP(予想:前期比年率3.0%、結果:2.7%)が予想を下回った事でドル売りとなり89.218円まで下落。NYダウも前日比プラス圏まで値を戻したものの、引けにかけて値を崩したためドル円も同日安値水準に近い89.256円で取引を終えた。
ユーロ円は、東京時間午前は方向感に欠ける動きとなったが、独輸入物価指数(予想:前年同期比8.0%、結果:8.5%)が予想を上回ったことがユーロにとって久しぶりの好材料となり、110.83円付近まで上昇した。その後、欧州時間にはリスク回避の円買いが優勢となり109.574円まで下落したものの、週末のG20を前にしたポジションの調整が入ったため、この日の高値となる110.883円まで上昇した。今週は5日続落となっていたため瞬間的な反発幅は1円強と大きくなったが、終値ベースでは前日とほぼ同水準の110.509円で取引を終えた。
今週の展開
さて今週のドル円だが、週明けはG20終了に伴い、イベントリスク解消で値が軽くなり、方向性が出てくる可能性が考えられる。また、先週は人民元相場の弾力化に過度の注目が集まり株価に影響を及ぼしていたが、6月25日に中国人民銀行国際局の謝局長が「人民元改革とは柔軟性を高めるものであり、通貨の急激な上昇を意味するものではない」と明確に示した。この発言を受けて今後は2005年~2008年までのような緩やかな上昇になるとの見方が強まれば為替相場への影響は少ないのではないかと思われる。なお、今週最大の注目は7月2日の米雇用統計となるが、その前にも29日にケースシラー住宅価格指数、30日のADP雇用統計等、注目度の高い指標を控えており、発表の毎に値が上下に振れる可能性もあるため柔軟な対応が必要となりそうだ。
ユーロ円は下落基調が続いており、依然として上値の重い展開が予想される。ギリシャは財政再建に前向きに取り組み、市場の不安を払拭しようと要人から度重なる発言もあるが、ギリシャCDSは高水準にとどまりユーロにとっての重しになっている。また、欧州大手銀行に対するストレステストの結果公表を7月末に控えているが、先に合意された大手25行の他に、規模の大きい地方銀行も対象に増やすよう欧州委員会が要請している。金融危機で痛手を被っているものの、損失規模は不透明な銀行も多いため、欧州主要銀行が市場の想定以上の損失を抱えている事が発覚、もしくは不安が高まるだけでもユーロの弱気が続く可能性は高く、引き続き慎重な判断が求められそうだ。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 88.00-91.00
ユーロ・円 108.00-113.40
ポンド・円 130.40-137.00
【今週の主な経済指標】
28日
08:50 JPY 大型小売店(既存店)販売額
08:50 JPY 小売業販売額
12:00 NZD NBNZ企業信頼感
17:00 EUR マネーサプライM3
21:30 USD 個人消費支出(PCE)
21:30 USD 個人所得
29日
07:45 NZD 住宅建設許可件数
08:30 JPY 全世帯家計調査・消費支出
08:30 JPY 有効求人倍率
08:30 JPY 失業率
08:50 JPY 鉱工業生産・速報値
15:45 FRF 消費者信頼感指数
17:30 GBP マネーサプライM4確定値
17:30 GBP 消費者信用残高
18:00 EUR 消費者信頼感(確定値)
21:30 CAD 原料価格指数
21:30 CAD 鉱工業製品価格
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数
23:00 USD 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
30日
08:01 GBP GFK消費者信頼感調査
10:30 JPY 毎月勤労統計調査-現金給与総額
14:00 JPY 新設住宅着工戸数
15:00 GBP ネーションワイド住宅価格
15:00 ZAR マネーサプライM3
16:55 DEM 失業率
16:55 DEM 失業者数
17:30 GBP 四半期経常収支
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、確定値)
18:00 EUR 消費者物価指数(HICP、速報値)
18:30 CHF KOF景気先行指数
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
21:00 ZAR 貿易収支
21:15 USD ADP雇用統計
21:30 CAD 月次国内総生産(GDP)
22:45 USD シカゴ購買部協会景気指数
1日
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業全産業設備投資
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業製造業先行き
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業製造業業況判断
09:30 AUD 住宅建設許可件数
10:30 AUD 小売売上高
15:00 DEM 小売売上高指数
15:45 FRF 卸売物価指数(PPI)
16:30 CHF SVME購買部協会景気指数
17:30 GBP 製造業購買担当者景気指数(PMI)
20:30 USD チャレンジャー人員削減数
21:30 USD 新規失業保険申請件数
23:00 USD 住宅販売保留指数
23:00 USD 建設支出
23:00 USD ISM製造業景況指数
2日
08:50 JPY マネタリーベース
18:00 EUR 失業率
18:00 EUR 卸売物価指数(PPI)
21:30 USD 失業率
21:30 USD 非農業部門雇用者数変化
23:00 USD 製造業新規受注
≪2010年6月25日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
5月20日直近安値89.013円付近まで下落しており、サポートに期待も膨らみ「ブル」となった。
米景気の回復に陰りが見えはじめているため、今後発表される経済指標には今まで以上に注目が
集まりそうだ。景気先行き不安が増大する結果となった場合、下値を試す展開が考えられ、目先
の目処は前述の89.013円となるが、明確に下抜けた場合は5月6日安値87.952円が次の下値目標に
なると思われる。
ユーロ円は「ブル」
通貨としては弱基調ではあるが、ユーロ安の恩恵で国際競争力が向上しているドイツに期待して
いるためか「ブル」継続となった。日本同様輸出産業が発達しているドイツにとってユーロ安は
独輸出産業に活力をもたらしており、かつ緊縮財政も打ち出しているためドイツ一国のみで見る
と官民共に先行きが明るい点もある。そのため、長期のスタンスで考えると逆張り派にとって現
在の値位置は割安と見えるのかもしれない。
ポンド円は「ブル」
英財政に対する不安も弱まり、低金利政策の出口戦略に期待が膨らんでいるため「ブル」となっ
た。米景気に対する不安から世界的に株が軟調な動きとなり、リスク回避的な円買いが優勢とな
っている。横ばい推移が続いているが、対ドルでの強基調は明らかであり、円買い圧力が弱まれ
ばポンド円も上昇トレンド入りとなる可能性は否定出来ない。
ユーロ円は、東京時間午前は方向感に欠ける動きとなったが、独輸入物価指数(予想:前年同期比8.0%、結果:8.5%)が予想を上回ったことがユーロにとって久しぶりの好材料となり、110.83円付近まで上昇した。その後、欧州時間にはリスク回避の円買いが優勢となり109.574円まで下落したものの、週末のG20を前にしたポジションの調整が入ったため、この日の高値となる110.883円まで上昇した。今週は5日続落となっていたため瞬間的な反発幅は1円強と大きくなったが、終値ベースでは前日とほぼ同水準の110.509円で取引を終えた。
今週の展開
さて今週のドル円だが、週明けはG20終了に伴い、イベントリスク解消で値が軽くなり、方向性が出てくる可能性が考えられる。また、先週は人民元相場の弾力化に過度の注目が集まり株価に影響を及ぼしていたが、6月25日に中国人民銀行国際局の謝局長が「人民元改革とは柔軟性を高めるものであり、通貨の急激な上昇を意味するものではない」と明確に示した。この発言を受けて今後は2005年~2008年までのような緩やかな上昇になるとの見方が強まれば為替相場への影響は少ないのではないかと思われる。なお、今週最大の注目は7月2日の米雇用統計となるが、その前にも29日にケースシラー住宅価格指数、30日のADP雇用統計等、注目度の高い指標を控えており、発表の毎に値が上下に振れる可能性もあるため柔軟な対応が必要となりそうだ。
ユーロ円は下落基調が続いており、依然として上値の重い展開が予想される。ギリシャは財政再建に前向きに取り組み、市場の不安を払拭しようと要人から度重なる発言もあるが、ギリシャCDSは高水準にとどまりユーロにとっての重しになっている。また、欧州大手銀行に対するストレステストの結果公表を7月末に控えているが、先に合意された大手25行の他に、規模の大きい地方銀行も対象に増やすよう欧州委員会が要請している。金融危機で痛手を被っているものの、損失規模は不透明な銀行も多いため、欧州主要銀行が市場の想定以上の損失を抱えている事が発覚、もしくは不安が高まるだけでもユーロの弱気が続く可能性は高く、引き続き慎重な判断が求められそうだ。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 88.00-91.00
ユーロ・円 108.00-113.40
ポンド・円 130.40-137.00
【今週の主な経済指標】
28日
08:50 JPY 大型小売店(既存店)販売額
08:50 JPY 小売業販売額
12:00 NZD NBNZ企業信頼感
17:00 EUR マネーサプライM3
21:30 USD 個人消費支出(PCE)
21:30 USD 個人所得
29日
07:45 NZD 住宅建設許可件数
08:30 JPY 全世帯家計調査・消費支出
08:30 JPY 有効求人倍率
08:30 JPY 失業率
08:50 JPY 鉱工業生産・速報値
15:45 FRF 消費者信頼感指数
17:30 GBP マネーサプライM4確定値
17:30 GBP 消費者信用残高
18:00 EUR 消費者信頼感(確定値)
21:30 CAD 原料価格指数
21:30 CAD 鉱工業製品価格
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数
23:00 USD 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
30日
08:01 GBP GFK消費者信頼感調査
10:30 JPY 毎月勤労統計調査-現金給与総額
14:00 JPY 新設住宅着工戸数
15:00 GBP ネーションワイド住宅価格
15:00 ZAR マネーサプライM3
16:55 DEM 失業率
16:55 DEM 失業者数
17:30 GBP 四半期経常収支
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、確定値)
18:00 EUR 消費者物価指数(HICP、速報値)
18:30 CHF KOF景気先行指数
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
21:00 ZAR 貿易収支
21:15 USD ADP雇用統計
21:30 CAD 月次国内総生産(GDP)
22:45 USD シカゴ購買部協会景気指数
1日
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業全産業設備投資
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業製造業先行き
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業製造業業況判断
09:30 AUD 住宅建設許可件数
10:30 AUD 小売売上高
15:00 DEM 小売売上高指数
15:45 FRF 卸売物価指数(PPI)
16:30 CHF SVME購買部協会景気指数
17:30 GBP 製造業購買担当者景気指数(PMI)
20:30 USD チャレンジャー人員削減数
21:30 USD 新規失業保険申請件数
23:00 USD 住宅販売保留指数
23:00 USD 建設支出
23:00 USD ISM製造業景況指数
2日
08:50 JPY マネタリーベース
18:00 EUR 失業率
18:00 EUR 卸売物価指数(PPI)
21:30 USD 失業率
21:30 USD 非農業部門雇用者数変化
23:00 USD 製造業新規受注
≪2010年6月25日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
5月20日直近安値89.013円付近まで下落しており、サポートに期待も膨らみ「ブル」となった。
米景気の回復に陰りが見えはじめているため、今後発表される経済指標には今まで以上に注目が
集まりそうだ。景気先行き不安が増大する結果となった場合、下値を試す展開が考えられ、目先
の目処は前述の89.013円となるが、明確に下抜けた場合は5月6日安値87.952円が次の下値目標に
なると思われる。
ユーロ円は「ブル」
通貨としては弱基調ではあるが、ユーロ安の恩恵で国際競争力が向上しているドイツに期待して
いるためか「ブル」継続となった。日本同様輸出産業が発達しているドイツにとってユーロ安は
独輸出産業に活力をもたらしており、かつ緊縮財政も打ち出しているためドイツ一国のみで見る
と官民共に先行きが明るい点もある。そのため、長期のスタンスで考えると逆張り派にとって現
在の値位置は割安と見えるのかもしれない。
ポンド円は「ブル」
英財政に対する不安も弱まり、低金利政策の出口戦略に期待が膨らんでいるため「ブル」となっ
た。米景気に対する不安から世界的に株が軟調な動きとなり、リスク回避的な円買いが優勢とな
っている。横ばい推移が続いているが、対ドルでの強基調は明らかであり、円買い圧力が弱まれ
ばポンド円も上昇トレンド入りとなる可能性は否定出来ない。