ユーロの金融危機に、ついにG7動くも具体策でず!
先週末のドル円は序盤、木曜日のパニック的な投売りで急落していた金融市場が落ち着きを取り戻したことや日銀が緊急で2兆円の資金供給を実施したことを背景に92.75円付近まで上昇。また、米財務省高官が「主要7カ国(G7)財務相はギリシャ問題について電話協議を実施する」と述べたことも上昇圧力の一因となった。その後、主要7カ国(G7)財務相の緊急電話会議の期待感や、注目の米非農業部門雇用者数変化[前月比](予想:19万人、結果:29万人)の予想よりも強い結果、米オバマ大統領の「4月の雇用統計は勇気付けられるニュース」との発言などが市場に好感され、一時高値93.240円をマークした。しかし、G7の電話会議後に具体策が示されなかったことに対する失望感から米株式市場のNYダウ平均が前日比でマイナスに転じるとリスク回避の動きが強まりドル円は安値90.846円まで下落。引けにかけ、市場参加者が減少する中、ポジション調整の買い戻しが入り91.542円で取引を終えた。
ユーロ円は序盤、木曜日の歴史的な株価の大暴落が、一部金融機関の誤発注が原因との見方が広がったほか、G7財務相が緊急電話会議を開催するとの報道を受けた期待感から、ユーロに買い戻しが入り117.90円付近まで上昇。しかし、急ピッチで買い進んだことで、短期参加者からの利益確定の売りが出され反落。さらに、英総選挙で保守党が過半数を獲得できず、英政局への不透明感が高まったことを背景にユーロ売りが加速し115.843円まで下落。しかし、売り一巡後はショートカバーが入ったほか、下げに転じた時間外のNYダウ先物が持ち直したことも支えとなり117.80円付近まで値を戻した。その後も、米雇用統計を控え堅調な値動きとなっていたが、NYダウ平均が一時270ドル安まで下落したことでリスク回避の円買いが優勢となり114.589円まで急落した。引けにかけて、週末要因のポジション調整が入り116.565円で取引を終えた。
今週の展開
ギリシャをはじめとするソブリンリスクの高まりと株価の急落により、投資家のリスク許容度は著しく低下している。一方で、IMFとユーロはギリシャ支援にようやく本腰を入れてきており、今週は市場の落ち着き度合いを探る展開となりそうだ。ドル円は先週に年初来安値更新となる87.952円を記録したが、金曜に発表された雇用統計を受けて米景気の先行き見通しに明るさが取り戻され、今週は堅調な動きとなる可能性が高い。株式市場が再度、上昇基調になるようだとユーロに対して信用不安要素がないだけに景況感の回復が素直に折り込まれる格好となろう。テクニカル的には一目均衡表の雲を巡る展開となりそうで、雲上限となる91.50付近がサポートラインとして機能しそうだ。
ギリシャに対するIMFとユーロ圏各国の支援が総額1100臆ユーロとなった事を受けて、ユーロ円には買いが集まる展開が想定される。ようやく本腰を入れた支援が決定されたことを市場参加者はいったんは素直に受け入れるだろう。ただし、今回のギリシャ問題はユーロが抱える複合通貨としての問題を浮き彫りにしたとも言え、引き続きポルトガルやスペインのソブリンリスクが根底にある限り、ユーロの価値上昇は限定的と見る必要があるかもしれない。ユーロ円は短期的には120円台に戻る可能性も高いが、円の売り材料が台頭する以外は戻りも限定的となり上値の重い展開を想定する必要がありそうだ。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 89.600- 93.600
ユーロ・円 113.800-121.400
ポンド・円 132.800-140.800
【今週の主な経済指標】
10日 08:50 JPY 日銀・金融政策決定会合議事要旨
10日 10:30 AUD NAB企業景況感指数
10日 15:00 DEM 経常収支
10日 15:00 DEM 貿易収支
10日 15:00 DEM 貿易収支
10日 15:45 FRF 鉱工業生産指数[前月比]
10日 20:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
10日 21:15 CAD 住宅着工件数
11日 08:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査[前年同月比]
11日 08:01 GBP 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
11日 14:45 CHF スイスSECO消費者信頼感指数
11日 15:00 DEM 消費者物価指数(CPI、改定値)[前月比]
11日 15:00 DEM 生産者物価指数(PPI)[前月比]
11日 17:30 GBP 鉱工業生産指数[前月比]
11日 17:30 GBP 製造業生産指数[前月比]
11日 23:00 USD 卸売在庫[前月比]
12日 10:30 AUD 住宅ローン件数[前月比]
12日 14:00 JPY 景気先行指数(CI)・速報値
12日 14:00 JPY 景気一致指数(CI)・速報値
12日 15:00 DEM 国内総生産(GDP、速報値)[前期比]
12日 15:00 DEM 国内総生産(GDP、速報値)[前年同期比]
12日 17:30 GBP 失業率
12日 17:30 GBP 失業保険申請件数
12日 18:00 EUR 鉱工業生産[前月比]
12日 18:00 EUR 四半期域内総生産(GDP、速報値)[前期比]
12日 18:00 EUR 四半期域内総生産(GDP、速報値)[前年同期比]
12日 18:30 GBP 英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
12日 20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
12日 21:30 CAD 新築住宅価格指数[前月比]
12日 21:30 CAD 貿易収支
12日 21:30 USD 貿易収支
12日 03:00 USD 月次財政収支
13日 08:50 JPY 国際収支・経常収支
13日 08:50 JPY 国際収支・貿易収支
13日 08:50 JPY マネーストックM2[前年同月比]
13日 10:30 AUD 新規雇用者数
13日 10:30 AUD 失業率
13日 17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
13日 17:30 GBP 貿易収支
13日 21:30 USD 輸入物価指数[前月比]
13日 21:30 USD 輸出物価指数[前月比]
13日 21:30 USD 新規失業保険申請件数
13日 23:00 ZAR 南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利
14日 07:45 NZD 小売売上高指数[前月比]
14日 21:30 CAD 製造業出荷[前月比]
14日 21:30 USD 小売売上高[前月比]
14日 22:15 USD 鉱工業生産[前月比]
14日 22:15 USD 設備稼働率
14日 22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・速報値
14日 23:00 USD 企業在庫[前月比]
≪2010年5月7日クローズ時点≫
ドル・円 : 「ブル」
ユーロ・円 : 「ブル」
ユーロ・ドル : 「ブル」
英ポンド・円 : 「ブル」
豪ドル・円 : 「ブル」
NZドル・円 : 「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
ポジションは「ブル」となっている。
米雇用統計の結果が強かったことから、米国景気は出口戦略に向けて動き出すとの可能性も
出てきた。今後は米連邦準備理事会(FRB)による超低金利政策の長期化についても再考す
る可能性が高まるようであると上乗模索となる展開が想定しやすい。ただし、ユーロのソブ
リンリスクの波及状況によっては、米株式市場の上値も重くなる可能性も高く注意が必要だ。
ユーロ円は「ブル」
ポジションは「ブル」。IMFとユーロ圏のギリシャ問題への支援が固まったもことにより、5
月6日高値120.719円への回復が注目される。ただし、ユーロという通貨自体への信任が揺ら
いでおり買戻し一巡後は再度軟調な展開となる可能性もありそうだ。
豪ドル円は「ブル」
ポジションは「ブル」。ソブリンリスクの高まりによりキャリートレードもいったんはスク
エアにされたようだが、高金利通貨とコモディティ通貨としての魅力がロングポジションを
後押ししているようだ。テクニカル的には一目均衡表の雲の中に日足は入っており、方向感
の見極めにくい展開が当面は続きそうだ。
ユーロ円は序盤、木曜日の歴史的な株価の大暴落が、一部金融機関の誤発注が原因との見方が広がったほか、G7財務相が緊急電話会議を開催するとの報道を受けた期待感から、ユーロに買い戻しが入り117.90円付近まで上昇。しかし、急ピッチで買い進んだことで、短期参加者からの利益確定の売りが出され反落。さらに、英総選挙で保守党が過半数を獲得できず、英政局への不透明感が高まったことを背景にユーロ売りが加速し115.843円まで下落。しかし、売り一巡後はショートカバーが入ったほか、下げに転じた時間外のNYダウ先物が持ち直したことも支えとなり117.80円付近まで値を戻した。その後も、米雇用統計を控え堅調な値動きとなっていたが、NYダウ平均が一時270ドル安まで下落したことでリスク回避の円買いが優勢となり114.589円まで急落した。引けにかけて、週末要因のポジション調整が入り116.565円で取引を終えた。
今週の展開
ギリシャをはじめとするソブリンリスクの高まりと株価の急落により、投資家のリスク許容度は著しく低下している。一方で、IMFとユーロはギリシャ支援にようやく本腰を入れてきており、今週は市場の落ち着き度合いを探る展開となりそうだ。ドル円は先週に年初来安値更新となる87.952円を記録したが、金曜に発表された雇用統計を受けて米景気の先行き見通しに明るさが取り戻され、今週は堅調な動きとなる可能性が高い。株式市場が再度、上昇基調になるようだとユーロに対して信用不安要素がないだけに景況感の回復が素直に折り込まれる格好となろう。テクニカル的には一目均衡表の雲を巡る展開となりそうで、雲上限となる91.50付近がサポートラインとして機能しそうだ。
ギリシャに対するIMFとユーロ圏各国の支援が総額1100臆ユーロとなった事を受けて、ユーロ円には買いが集まる展開が想定される。ようやく本腰を入れた支援が決定されたことを市場参加者はいったんは素直に受け入れるだろう。ただし、今回のギリシャ問題はユーロが抱える複合通貨としての問題を浮き彫りにしたとも言え、引き続きポルトガルやスペインのソブリンリスクが根底にある限り、ユーロの価値上昇は限定的と見る必要があるかもしれない。ユーロ円は短期的には120円台に戻る可能性も高いが、円の売り材料が台頭する以外は戻りも限定的となり上値の重い展開を想定する必要がありそうだ。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 89.600- 93.600
ユーロ・円 113.800-121.400
ポンド・円 132.800-140.800
【今週の主な経済指標】
10日 08:50 JPY 日銀・金融政策決定会合議事要旨
10日 10:30 AUD NAB企業景況感指数
10日 15:00 DEM 経常収支
10日 15:00 DEM 貿易収支
10日 15:00 DEM 貿易収支
10日 15:45 FRF 鉱工業生産指数[前月比]
10日 20:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
10日 21:15 CAD 住宅着工件数
11日 08:01 GBP 英小売連合(BRC)小売売上高調査[前年同月比]
11日 08:01 GBP 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
11日 14:45 CHF スイスSECO消費者信頼感指数
11日 15:00 DEM 消費者物価指数(CPI、改定値)[前月比]
11日 15:00 DEM 生産者物価指数(PPI)[前月比]
11日 17:30 GBP 鉱工業生産指数[前月比]
11日 17:30 GBP 製造業生産指数[前月比]
11日 23:00 USD 卸売在庫[前月比]
12日 10:30 AUD 住宅ローン件数[前月比]
12日 14:00 JPY 景気先行指数(CI)・速報値
12日 14:00 JPY 景気一致指数(CI)・速報値
12日 15:00 DEM 国内総生産(GDP、速報値)[前期比]
12日 15:00 DEM 国内総生産(GDP、速報値)[前年同期比]
12日 17:30 GBP 失業率
12日 17:30 GBP 失業保険申請件数
12日 18:00 EUR 鉱工業生産[前月比]
12日 18:00 EUR 四半期域内総生産(GDP、速報値)[前期比]
12日 18:00 EUR 四半期域内総生産(GDP、速報値)[前年同期比]
12日 18:30 GBP 英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
12日 20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
12日 21:30 CAD 新築住宅価格指数[前月比]
12日 21:30 CAD 貿易収支
12日 21:30 USD 貿易収支
12日 03:00 USD 月次財政収支
13日 08:50 JPY 国際収支・経常収支
13日 08:50 JPY 国際収支・貿易収支
13日 08:50 JPY マネーストックM2[前年同月比]
13日 10:30 AUD 新規雇用者数
13日 10:30 AUD 失業率
13日 17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
13日 17:30 GBP 貿易収支
13日 21:30 USD 輸入物価指数[前月比]
13日 21:30 USD 輸出物価指数[前月比]
13日 21:30 USD 新規失業保険申請件数
13日 23:00 ZAR 南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利
14日 07:45 NZD 小売売上高指数[前月比]
14日 21:30 CAD 製造業出荷[前月比]
14日 21:30 USD 小売売上高[前月比]
14日 22:15 USD 鉱工業生産[前月比]
14日 22:15 USD 設備稼働率
14日 22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・速報値
14日 23:00 USD 企業在庫[前月比]
≪2010年5月7日クローズ時点≫
ドル・円 : 「ブル」
ユーロ・円 : 「ブル」
ユーロ・ドル : 「ブル」
英ポンド・円 : 「ブル」
豪ドル・円 : 「ブル」
NZドル・円 : 「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
ポジションは「ブル」となっている。
米雇用統計の結果が強かったことから、米国景気は出口戦略に向けて動き出すとの可能性も
出てきた。今後は米連邦準備理事会(FRB)による超低金利政策の長期化についても再考す
る可能性が高まるようであると上乗模索となる展開が想定しやすい。ただし、ユーロのソブ
リンリスクの波及状況によっては、米株式市場の上値も重くなる可能性も高く注意が必要だ。
ユーロ円は「ブル」
ポジションは「ブル」。IMFとユーロ圏のギリシャ問題への支援が固まったもことにより、5
月6日高値120.719円への回復が注目される。ただし、ユーロという通貨自体への信任が揺ら
いでおり買戻し一巡後は再度軟調な展開となる可能性もありそうだ。
豪ドル円は「ブル」
ポジションは「ブル」。ソブリンリスクの高まりによりキャリートレードもいったんはスク
エアにされたようだが、高金利通貨とコモディティ通貨としての魅力がロングポジションを
後押ししているようだ。テクニカル的には一目均衡表の雲の中に日足は入っており、方向感
の見極めにくい展開が当面は続きそうだ。