FXレポート

リスク回避色鮮明! ギリシャ不安は払拭しきれず

ドル円は序盤、東京市場が祝日休場となる中、米国の景気回復期待を受けた買いが先行し高値94.979円と
95円のレジタンスにトライする場面も見られたが、欧州時間に入ると流れは一転した。依然として払拭し
きれないギリシャ財政不安を背景としたリスク回避姿勢が優勢となり、欧州株式の全面安などから対ユー
ロで円が買われると、対ドルでも徐々に円買いが加速した。その後にNY時間に発表された米住宅販売保留
指数[前月比](予想:5.0%、結果:5.3%)、米製造業新規受注[前月比](予想:-0.1%、結果:1.3%)は
軒並みマーケットの予想より強い結果となったが、NYダウが寄り付きから-170ドル超、その後も下げ幅を
拡大したことで市場の反応は限定的に。結局94.323円まで売られ、前日終値とほぼ変わらずの94.521円で
取引を終えた。

ユーロ円は序盤、昨日のギリシャへの金融支援合意の期待感から高値125.455円まで上昇する場面がみられ
た。しかし、ギリシャの財政赤字削減策を見極めたいとの思惑やユーロ加盟諸国の債務懸念が徐々に強ま
ると一転して神経質な商いとなり、財政基盤の弱いPIIGS諸国の株価が急落したことを背景にユーロ売りが
加速。また、NYダウが一時-282.58ドル下落、NY原油も4ドル超下落とリスク回避の流れが加速するとユー
ロ円も一時122.631円まで下落し、終値122.754円と123円台を割り込んで引けた。

                                                 今日の展開


ユーロ加盟諸国の比較的遅い財政健全化や格下げ懸念等のソブリンリスクを背景に、リスク回避の流れが
強まりを見せているように思われる。ギリシャに対し合意がなされた支援額1100億ユーロに対し、早くも
「財政を建て直すには不十分であり市場で調達する必要性に迫られる」との見方が広まっている。また、
ポルトガルも1000億ユーロ規模の財政支援を必要とするだろうとの指摘もなされており、ギリシャ債務問題
がユーロ圏各国に広まるとの考えが強まっている。ユーロは特に対ドルでは一時1.30258ドルまで売られ、
昨年の4月28日以来の約1年ぶり低水準となった。本日も下値を模索する展開が続く可能性が高いと思われ、
ユーロ売りに歯止めがかかるまではユーロ建て資産は敬遠されることが予想されると考えられることから、
逆張りは慎重な姿勢で臨みたい。

一方、豪中銀(RBA)は昨日、2009年10月以降6度目の利上げを発表した。利上げ幅は25bpでオフィッシャ
ル・キャッシュレートは4.50%となる。これにより2008年12月以来の金利水準へと戻すこととなったが、
声明で「金利は平均的な水準になった」と発言されたことが、次回以降の利上げが遠のくと解釈され、市場
は豪ドル売りで反応している。しかし専門家や市場関係者の中には、同国の「景気の強さを考慮すると再度
の利上げが必要となる」と見る向きも強くあるようで、先週のロイター調査でも多くのアナリストが「今後
12ヶ月以内に金利が5.5%の上昇を必要とする可能性がある」と意見している。それを裏付けるようにス
ティーブンスRBA総裁自身も「今年のインフレ率が目標レンジの半ばではなく、半分よりも上になる」と示
唆していることから中長期スタンスで臨むならロングポジションに妙味があるかもしれない。6月1日予定さ
れる次回金利発表は特に注目度が高まるだろう。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  93.500- 95.200
ユーロ・円 121.500-125.000
ポンド・円 141.000-144.000


【今日の主な経済指標】

10:30 AUD 住宅建設許可件数
17:00 EUR サービス部門購買担当者景気指数
18:00 EUR 小売売上高
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
20:30 USD チャレンジャー人員削減数
21:15 USD ADP雇用統計
23:00 USD ISM非製造業景況指数


≪2010年5月4日クローズ時点≫

ドル・円     : 「ベア」
ユーロ・円   : 「ブル」
ユーロ・ドル : 「ブル」
英ポンド・円 : 「ブル」
豪ドル・円   : 「ブル」
NZドル・円   : 「ベア」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ベア」
リスク資産圧縮の動きからドル買いと円買いの圧力は拮抗しつつあるが、若干「ベア」寄りのセンチメ
ント。リスク回避が強い情勢でポジションはどちらにも傾きづらい状況だが、昨日米国の主要指標等か
らも確認できるように米国のファンダメンタルズは極めて良好で、きっかけがあればロングに傾きやす
い地合いと考えられる。このことから本日注目されるADP雇用統計・ISM非製造業景況指数発表の結果に
ついて動向を見守りたい。

ユーロ円は「ブル」
前日比-1.966円(-1.58%)の下落に対する反動から、極めて偏った「ブル」となっている。
既に否定されているが、噂で「スペインがEUに2800億ユーロの支援を要請する」と流れると、スペイン
やポルトガル国債が売られる場面がみられたように、ソブリンリスクの高まりからユーロ売りとなる動
きが改めて確認された格好だ。前週末のギリシャ財政懸念に対する支援策合意で、ある程度の安心感は
出ているものの当面は売られやすい地合いが継続されると思われる。

豪ドル円は「ブル」
利上げ発表による材料出尽くし感からやや下落したが、押し目買いのチャンスとみる見方から買いが入
り、強い「ブル」となっている。豪中銀は25bp利上げし4.50%を発表したが、声明で追加利上げに対す
る先行き不透明感が出てきており当面は弱い地合いとなりそうだが、インカムを狙うなら仕込み時と捉
えることもできる。下落局面においては、買いが入りやすい地合ではないかと考えられる。

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